ECサイト運営完全マニュアル!業務内容や必要なことを初心者向けに解説
ECサイトの運営業務は多岐にわたり複雑です。でも大丈夫。この記事を読めばECサイト運営の仕事内容や流れが分かります。必要なこと(ノウハウや費用)のほか、勉強に役立つ本もおすすめします。ぜひ今後のEC運営業務に活かしてください。
ECサイトの運営とは?
自社のECサイト運営担当者になったものの、初心者や未経験では戸惑うことが多いと思います。
楽天市場などのECモールでの運営経験はあっても、自社ECとは勝手が違うので、運営の全体像や、業務の基礎や流れはどんなものか、売上を上げるためには何をすればいいのか、たくさんの疑問や不安があるでしょう。
ECサイト運営の大まかな流れ
ECサイト運営の流れは、大まかに下記の9つの業務に分けることができます。
- 商品企画
- 仕入れ・製造
- サイト制作・更新管理
- プロモーション
- 受注処理
- 在庫管理
- 出荷
- 配送
- アフターサービス(問い合わせ管理)
ECサイト運営業務は大きく2種類
ECサイトの運営は主にフロント業務とバックエンド業務のふたつに分かれており、上図の1~4がフロント業務(マーケティング)、5~9がバックエンド業務(フルフィルメント)となります。
フロント業務
フロント業務とは主にマーケティング活動のことで、商品の企画や仕入れ製造、サイトの運営管理や、自社商品の販売促進をするため、世間に紹介しアクセスを集めるプロモーションなどをおこないます。
ECサイトを立ち上げたばかりの頃は、世間への認知が低く、そのためアクセス数はなかなか集まりません。
そこでプロモーションをおこない、いかにアクセス数を集められるかが重要な指標になってきます。
バックエンド業務
一方バックエンド業務とは、商品が販売された後の受注処理から在庫管理、出荷からお客様の手元に商品が届いた後のアフターサービス(問い合わせ対応)などの事務作業を中心におこないます。
こちらもECサイト立ち上げ初期の段階では、注文数が少ないためバックエンド業務の負担も少なく済みますが、売上規模が大きくなってくると負担が大きく、またミスが発生する可能性も大きくなります。
バックエンド業務でのミスはその後の信用問題にもつながりかねないので、フロント業務以上に軽視できない業務となっています。
ECサイト運営の9つの業務内容
ECサイトの運営業務について、フロント業務とバックエンド業務の内容を詳しく解説します。
1.商品企画
フロント業務の中でも1番重要な部分となるのが商品企画でしょう。
ECサイトで利益を出すためには、商品が売れることが大前提となります。
そのためにはユーザー需要のリサーチやトレンド・季節を考慮したうえで、売れる商品を企画・検討することが大事です。
また、商品の原価率や利益率の計算などをおこない、半年以上前から具体的なビジネスプランを立て販売計画を作成するというフェーズが必要になります。
2.仕入れ・製造
事前に立てた販売計画に基づき、商品の仕入れや製造をおこないます。
ですがいくら販売予測を立てていたとしても、現在はSNSで話題になり「バズる」ことがあるなど、予測以上に売れてしまって在庫が無くなり、機会損失につながることも。
そんなもしもの場合に備えて、仕入れ先を複数確保しておく、クイックな発注ができるかどうかなどを考えておくことも必要になります。
3.サイト制作・更新管理
ECサイトの制作において必要なことは、自社が売りたい商品に合うデザインか、ユーザーが使いやすいデザインかどうかです。
いくらデザインに凝ったサイトを作っていても、ユーザビリティが悪ければユーザーは離脱してしまい購買にはつながりにくくなってしまいます。
更新管理業務は「撮影(商品撮影)」「採寸」「原稿」の頭文字をとった「ささげ業務」から、商品の登録作業など多岐に渡ります。
とくに「ささげ業務」は商品の売れ行きを左右する重要な業務です。
商品写真、商品説明文はユーザーがその商品を購入するかどうかの1番の検討材料になるため、ECサイトの売上に直結する業務となっています。
4.プロモーション
ECサイトにおけるプロモーションとは、WEBマーケティングによる広告運用が主になります。
代表的なプロモーションチャネルは下記の5つ。
1. リスティング広告
2. ディスプレイ広告
3. アフィリエイト広告
4. コンテンツマーケティング
5. SNSマーケティング
リスティング広告・ディスプレイ広告はユーザーの行動や特性に合わせた広告を表示する方法で、いわゆる「Web広告(インターネット広告)」にあたります。
即効性のある広告にはなりますが、そのぶん費用がかかってしまうため、ECサイト立ち上げ初期では予算を割くことが難しいと思われます。
そこでうまく使っていきたいチャネルが、コンテンツマーケティングやSNSマーケティングになります。
コンテンツマーケティングは予算を割かずにプロモーションをおこなえる手法になっているため、即効性は感じられませんが、中・長期的な集客戦略として使わない手はありません。
SNSマーケティングも、その拡散力の高さを利用してファンを増やし、自社へのアクセスを増やすために必須のチャネルと言えるでしょう。
5.受注処理
お客様が商品を購入した後、最初に発生するバックエンド業務になります。
現在の注文状況をお知らせするメールの送信、在庫の引き当て作業、出荷指示がこれにあたります。
ここからはお客様とのやり取りが発生するので、ミスには最大限気を付けたいところです。
6.在庫管理
在庫の過不足の管理をおこなう業務になります。
販売予測に基づいた在庫の投入はもちろん、過剰在庫や品切れが起こらないように適宜調整が必要になるため、経験値を積まないと難しい業務でしょう。
実店舗や多くのモール展開をしているECサイトの場合、在庫の管理が難しくなってくるため、システムの導入などを考える必要もあります。
7.出荷
受注処理の際におこなわれる出荷指示にもとづいて、倉庫から商品を取り出し集めるピッキング作業、その商品を梱包して配送業者に引き渡すまでが、出荷作業の一連の流れとなります。
多くのECサイトがある中、梱包は他社と差がつく1つのポイントとして考えておきたいところです。
梱包資材の選定では、安全に配送できる丈夫さはもちろん、手元に届いた際の外装の印象も大事です。
また、それがコスト面で負担にならないかを考える必要があります。
手間はかかりますが同梱物の内容として手書きのメッセージを添えるなど、お客様への心遣いが感じられるサービスをおこなうのも効果的です。
8.配送
商品を出荷する際、どの配送業者を選ぶかも大事です。
コスト面も大事ですが、扱う商品のサイズに合った配送方法が使える業者を選びましょう。
1つの配送業者に絞らず、複数の配送業者を上手に使い分ける方法もあります。
9.アフターサービス
リピーターの獲得に欠かせない業務がアフターサービスです。
クレーム対応や問い合わせ対応、お客様の手元に商品が届いた後にレビュー投稿などを促すメールを配信、次回購入につながるようにクーポンを配信するなど、アフターフォローの内容も多岐に渡ります。
このアフターサービスの内容や質で、顧客への信頼度をあげてリピーターの獲得につなげていきます。
ECサイトの構築・運営に費用はいくらかかる?
ECサイトの構築の種類は多く、費用の相場も非常にわかりにくいため、なにを選べばいいのかよくわからないですよね。
構築費用は種類によって異なるので、自社の規模によって選ぶ
ECサイトの構築方法は大きく5つに分かれますが、ここではECモール以外の4つをご紹介します。
選ぶべき構築方法は年商規模によって大きく変わってくるので、まずは下記の表をご覧ください。
年商規模 | 構築方法 | 費用相場 |
---|---|---|
一億円未満 | ASP | ~数十万円 |
一億円~ | パッケージ型 | ~数百万円 |
一億円~ | オープンソース型 | 数百万円~ |
数十億円~ | フルスクラッチ型 | 数百億円~ |
BASEやmakeshopなどのASP、またはオープンソース型であれば、安価ではじめることができるため、低コストでECサイトを構築したい場合におすすめです。
ただし既存の構築ツールを使った制作になるので、高度なカスタマイズなどは望めません。
独自のデザインやシステムなどのカスタマイズをおこないたい場合は、パッケージ型やフルスクラッチ型を選びましょう。
ECサイト運営には多くのランニングコストがかかる
ECサイトの構築から運営までには、さまざまな費用が発生します。
基本的な構築システム費や人件費以外にかかる費用は主に以下になります。
- レンタルサーバー、ホスティング費用
- 独自ドメインの取得・維持費用
- 独自SSLサーバー証明書の取得・維持費用
- 決済代行会社の契約料
- Web広告配信費用
- 物流サービス費用
ECサイト運営で必要なこと
ECサイトを運営するには、構築~運営にかかる費用、運営に関するスキル、運用するための人員確保など必要なものが多岐に渡ります。
ECサイトを運営するには、構築~運営にかかる費用、運営に関するスキル、運用するための人員確保など必要なものが多岐に渡ります。
ECサイト運営にかかるお金と時間
ECサイト運営には大まかに、システム費・人件費・広告費や倉庫のレンタルなどの物流サービス費が挙げられます。
また、システムをイチから構築するようなサイトを制作する場合には数か月の期間を要することも。
ECサイト運営に必要なスキル
ECサイトを運営するうえで必要なスキルは大きく4つに分けることができます。
- WEBマーケティング
- クリエイティブ
- 商品企画・MD(マーチャンダイザー)
- カスタマーサポート
1つひとつのスキルが専門性の高い分野になるので、これを1人で賄うことは容易ではありませんが、規模が小さい企業の場合は1人で一通りの業務フローをこなさなくてはいけないことも。
ですが、この一連の流れをすべて1人で出来る場合にはかなりの強みになるでしょう。
1.WEBマーケティング
たとえばSEOや広告運用、SNSなど、主に集客を中心としたスキルが必要になります。
とくにECサイトをはじめて運営する際には、広告運用ができるかどうかで初期の集客に大きく関わります。
どれだけきれいなサイトデザインや、どれだけ魅力的な商品を取り扱っていたとしても、見に来てくれるユーザーを集客できないことには売上は上がりません。
言われればごく当たり前のことですが、思っているよりもWEBマーケティングのスキルは非常に重要だと認識しておきましょう。
2.クリエイティブ
商品の写真撮影、画像加工やバナー制作、販促ページの作成(HTML・CSSでのコーディング)まで、ECサイトを制作するうえで必要なクリエイティブスキルは多岐に渡ります。
PhotoshopやIllustlator、DreamWeaverのスキルはもちろん、現在ではYOUTUBEでの販促をおこなう企業も増えているので、動画制作のスキルもあれば重宝されるでしょう。
3.商品企画・MD(マーチャンダイザー)
商品企画は「売れる商品」を企画することが必要です。
市場やトレンドの調査・分析、ターゲット顧客の求める商品の開発から販売計画、予算の管理まですべてを一括でおこないます。
商品企画~開発、販売価格の設定まで、企業の利益に直結する部分を担う非常に重要なポジションとなっています。
4.カスタマーサポート
CS(カスタマーサポート)スキルは、お客様対応のスキルになります。
クレームや問い合わせの対応など、お客様と密に接する機会のある業務になるので、対人スキルが必要とされます。
また「お客様の気持ち・目線」になれることが大切なので、常に意識しておきましょう。
ECサイト運用にかかる人員
ECサイトを運営する際に、いったいどれくらいの人数が必要なのでしょうか。
まずは必要な業務を洗い出し、どこにリソースを配置するのかを考えていきましょう。
先述したように、ECサイトの運営は大まかにフロント業務とバックエンド業務の2つに分けることができます。
小規模事業であれば、担当者は1~2人が目安といったところですが、フロント業務とバックエンド業務を細分化するともう少し人数は必要になってくるでしょう。
また各業務をクロスオーバーして人材不足を補うことも必要ですが、商品企画やサイト制作、プロモーションに関しては専門的な知識が必要になる分野になります。
ECサイトの運営担当者が気を付けるべき注意点
EC運用において担当者が気をつけないといけないことは、流動性の高い分野なので常に最前線の情報や知識を勉強しておかなければ、その流れについていけなくなってしまうことです。
ですが、それ以前に「お客様の目線で考えること」や「お客様へのおもてなしの気持ち」を忘れてはいけません。
日々のルーティンワークに追われがちになりますが、常にお客様の立場で物事を考える気持ちを持ち続けましょう。
ECサイト運営の勉強に役立つ本
売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則
業界ではとても有名な本で、研修用テキストに採用している企業もあるとの話も。
ECサイト運営における一連の流れや、知っておきたい知識などがとてもよくまとまっており、内容もわかりやすいです。
とくにはじめてECサイト運営をする人にはぜひ読んでいただきたい一冊です。
ECサイト[新]売上アップの鉄則119 オムニチャネル時代の集客から接客まで (WEB PROFESSIONAL)
商品から集客、物流までECサイト運営における一連の流れから、重要なポイントごとにやるべきノウハウがとてもよくまとめられています。
「どこからどう手を付けていいかわからない」といった場合にはぜひ読んでいただきたい本で、「これなら手軽にできそう」といった部分から着手していけば、売上アップの効果が出てくるでしょう。
先輩がやさしく教えるEC担当者の知識と実務
はじめてのECサイト運営になると、周りに教えてくれる存在がいない人がほとんどではないでしょうか。
最低限知っておくべきことや、実際の作業レベルに合わせた解説が中心で、とても参考になる情報が詰まっています。
理解できるところからひとつひとつ着手していくことで、ECサイト運営で効果が出てくるでしょう。
図解即戦力 EC担当者の実務と知識がこれ1冊でしっかりわかる教科書
自社ECサイトの売上アップに特化した1冊です。
よくある「ネットショップの始め方」のような内容だけではなく、もう一歩先の集客やマーケティングまでしっかりとカバー。
写真やイラストを豊富に使って丁寧に解説されているため、はじめてEC運営に携わる人でも理解しやすい良書です。
EC担当者 プロになるための教科書
基礎知識から戦略の立て方、さらに大手3大モールでの売上アップに関する事例まで網羅的な内容となっています。
レベルの高い内容もあり読み切るのに時間はかかるものの、EC運営の担当者や責任者は人はぜひ読んでおきたい1冊。
主要チャネル別に実践的なノウハウが掲載されているため、実務に落とし込むことで売上アップにつなげられるでしょう。
ひとりEC 個人でも売上を大きく伸ばせるネットショップ運営術
「EC運営はやることが多く、1人では無理だろう……」と思っている人も多いのではないでしょうか?
本書では個人でECサイトを運営し、成長させるための方向性やテクニックが書かれています。
とはいえ企業規模のECサイトにも十分通用する内容で、「優先度の低い無駄な作業をやめる」などEC運営における本質や要素が学べます。
ECサイトの運営ノウハウを覚えて成果を出そう
ここまでお読みいただきありがとうございます。
ECサイトの運営は覚えること、手を動かすことが幅広くたいへんに思われがちですが、そのぶん成果が出たときの喜びはとても大きいものになります。
また常に業界の最前線を走り、自分の知識や技術を磨き続けることが必要になるので、とてもやりがいを感じることができます。
ECサイトを立ち上げる際、今回ご紹介した基礎知識以外にも覚えることはたくさんありますが、makeshopでは無料のセミナーも開催しています。
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