ささげ業務とは?ECサイトの運営で重要な理由と効率化アップのコツ

ささげ業務とは、撮影(さつえい)、採寸(さいすん)、原稿(げんこう)の頭文字を取った略称です。
ECサイトは商品を試用できる実店舗とは異なり「写真」と「テキスト」のみで表現し、購入してもらわなければなりません。「ささげ業務」は、お客様がECサイトで購入してもらうための「売り込み」を行う重要なポジション。ささげ業務のクオリティ次第で売上アップが期待できますし、売上が伸びず悩んでいるなら「ささげ」に原因があるかもしれません。今回は「ささげ業務」が重要な理由と業務内容について解説します。また、効率化のカギとなる「外注・代行」の方法についても詳しくみていきましょう。

ささげ業務がECサイト運営で重要な3つの理由

「おしゃれなECサイトを構築したのに売れない」、「良い商品を販売しているのにぜんぜん売れない」…。もし売上に悩んでいるなら「ささげ」に原因があるかもしれません。売れているECサイトは、なぜ「ささげ」にこだわるのか?
理由を3つ紹介します。

理由1:魅力的な写真は売上アップにつながるため

お客様は3秒で「自分がほしい商品や情報があるか」を判断すると言われています。
ひと目で「欲しい」と思わせる魅力的な写真を掲載しない限り、クリックされずカートに進んでくれません。

ECサイトは、「商品バナー(広告)」⇒「商品一覧ページ」⇒「商品ページ」の順でカートに進みますよね。
いずれのページもファーストビューでお客様がまず見るのは「商品画像」です。

特にモール出店の場合は、検索結果においてライバル商品と肩を並べます。
写真が見劣りすればカンタンにお客様を奪われてしまうことに・・・。
ECサイトにとって「撮影の品質」は事業の生命線といっても過言ではないですね。

理由2:安心を与えて購入率を上げるため

お客様の購買心理として、常々「失敗したくない」という思いがあります。
特にアパレル商品は、サイズ感や色合いにとても敏感。
少しでも不安が残ると購入にいたりません。

質感(素材)やシルエット、サイズ感、重量などがしっかり記載されていてイメージしやすいと購入率アップが期待できます。
「ささげ」を丁寧に、正確に行うことでお客様へ「安心」を与えることができます。

理由3:返品やクレームを無くすため

「イメージしていた商品と違った」、「サイズが違った」、「ほしい機能が無かった」・・・。
ECサイト運営者なら、一度は返品・クレームを受けたことありますよね。
返品は労力もコストもかかります。

「ささげ」をしっかり行うことで返品やクレームを無くすことができます。
また、返品はお客様にとっても残念な体験であり、レビューにも影響を及ぼします。
その反面、クレームが少ないお店は「信頼」につながるので、新規顧客を獲得しやすい好循環が期待できるでしょう。

ささげ業務の基本的な作業内容とポイント

ささげ業務の目的は、「お客様に商品の正確な情報を伝える」こと。
そして「商品の魅力をアピール」することです。ささげ業務で最初にやるべきことは「商品を理解する」こと。
商品をよく理解した上で、それぞれの業務へ進みましょう。

撮影:商品をイメージしやすく工夫して撮る

商品の撮影はスマホでも可能ですが、撮影して完了ではありません。
撮影で大切なのは「商品が魅力的に写る」こと。
明るさや角度、背景色などの構図はもちろん、商品の大きさによって撮影方法が異なるので工夫しましょう。

物撮りの方法

商品によって適した物撮りパターンが異なります。
例えばアパレル系はモデル撮影すると商品イメージが伝わりやすくなります。また、モデルを参考にコーディネートの提案もしやすくなります。
商材によって、マネキンや吊り・置き、イメージを選びましょう。

写真を画像加工(レタッチ)する

撮影した写真をECサイトに掲載できるサイズに加工します。
また、モール出品に必要な「白抜き」やサムネイル画像もレタッチの段階で行います。
実際の商品と色合いに違いがある場合は、「色合わせ」も行いましょう。

特にアパレルやジュエリー系では「色合わせ」をしっかり行うことで返品率をグンと減らすことができます。

採寸:実寸との誤差を補正する

アパレル系はサイズを「S」、「M」、「L」で表記しますよね。
しかしメーカーによってサイズが若干異なります。

特に海外アパレルを輸入して販売する場合、日本基準のサイズと異なり、かつインチ表記のみの場合もあります。また、メーカー公表のサイズは、デザイナーの仕様であることが一般的。
そのため実寸では、工場で製造する際に数センチ単位の誤差がでてしまいます。

採寸を正確に行うことでEC利用者は安心して取引できるため購入率アップが期待できます。
また、返品を無くすことができるので丁寧に行いましょう。

原稿:商品イメージを伝える文章力が大切

原稿は「何を書いて良いかわからない…」という方も多いですよね。
原稿の目的は、商品写真で伝えきれない情報を伝えること。
そして、商品の魅力を文章で伝えることです。

画像引用元: https://baseu.jp/9201

商品画像では伝わりにくい質感(素材)やシルエット、サイズ感、重量などを文章にて記述しましょう。

商品アピールは購入意欲を高めるために重要ですが、過剰な表現はNGです。
商品を理解したうえで事実を書き、お客様へ正確な情報をわかりやすく伝えることを意識しましょう。

原稿で商品の「ストーリー」を伝える

商品説明においてストーリー性をもたせることは大切です。
例えば「ジーンズ」を例に2つの文章をみてみましょう。

A.「国内生産のジーンズです。オシャレなデニム生地をお楽しみください。」

B.「デニムの聖地と言われる岡山県倉敷市産のジーンズです。伝統の技でデニム本来の「青色」を追求し、職人の手で生産された『こだわりの1着』をお楽しみくだい。」

AとBどちらも国内産のジーンズの商品説明ですが、読み手に伝わるイメージが大きく異なりますよね。
Aは商品の魅力が十分に伝わりませんが、Bは生産地や作り手のこだわりを感じ取ることができます。

商品のストーリー性が高ければ高いほど、お客様から共感を得やすくなります。
また、ストーリー性をもたせることで「唯一無二」の付加価値を演出することができ、差別化を図れます。

検索キーワードを入れてSEO対策を行う

お客様が検索するキーワードを原稿に盛り込むことで、検索にヒットしやすくなります。
必ず入れておきたいキーワードは次のとおりです。

  • 商品名
  • メーカー名
  • ブランド名
  • 型番
  • サイズ

例えば「ナイキ スニーカー 25cm」のように、ブランド名・商品名・サイズの複合キーワードで検索するお客様もたくさんいますよね。
キーワードをしっかり盛り込むことでSEO効果が期待できます。

ささげ業務の市場規模は右肩上がり

ECサイトの出店数が増えるほど「ささげ業務」の市場規模は拡大します。
経済産業省が発表した電子商取引に関する市場調査(令和元年度)によると、EC市場規模は年々右肩上がり。また、物販系におけるEC化率も近年は7%に迫る勢いで伸びています。

2020年~2021年はコロナ禍による外出自粛の影響もあり、ネットショッピングの需要は一段と増しています。また、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の加速でこれまで実店舗のみ運営していた事業者も、新規EC出店する動向がますます高まるでしょう。

ささげ業務の効率化に外注・代行も検討する

あなたのECサイトは、「ささげ業務」を行うスタッフが足りていますか?
中小のECサイトは少人数精鋭で運用するスタイルが一般的。
「ささげ業務に手が回らない・・・」と悩む方も多いですよね。

EC事業における「ささげ業務」の現状について、流通コンサルタントの小島健輔氏は次のように述べています。

新商品の投入は大半の企業でECは店頭に遅れをとっている。
当社が主催するSPAC研究会メンバーアンケートでも「ほぼ同時」と答えたのは半数で、「店頭より遅れる」が半数、「店頭より早い」は皆無。
遅れる日数は3~7日で平均5.8日だった。その原因は「ささげ業務」。店頭展開は出荷から店着までの物流ラグがあっても最大2日ほどだが、採寸・計量、撮影、キャッチコピーや説明原稿の作成という「ささげ業務」は投入が集中すると処理し切れず、押せ押せになって何日もズレ込んでしまう。

引用元:(株)小島ファッションマーケティング代表取締役小島健輔の最新論文

「ささげ業務」はECサイトの売上を左右する重要なポジションですが、片手間で行えるほど楽な業務ではありません。また、実績の少ないスタッフに任せるのはクオリティに不安が残ります。
インハウスで処理しきれないと思ったなら、「ささげ業務」の外注・代行を検討しましょう。

ささげ業務を外注・代行するメリット・デメリット

ささげ業務を委託する利点、欠点を見ていきましょう。

メリット1:ささげ業務の手間が解消し他の業務に注力できる

ささげ業務を委託する最大のメリットはこれですね。
とくに年間を通じてささげ業務があるわけではなく、季節変動など突発的に仕事が入るケースではメリットが大きいです。
ささげ業務の負担が減ることで、商品開発や集客など本来やるべき業務に注力できます。

メリット2:高い品質を保つことができる

自前で「ささげ業務」を行うのは、品質にもバラつきが出やすいですよね。
とくにアパレルやジュエリーは撮影や採寸が難しく、高いレベルの技量が必要です。ささげ業務を専門で受託する会社は専門性が高く、期待どおりの品質を期待できます。

デメリット1:委託のコストがかかる

ささげ業務の委託に踏み出せない最大の理由は「コスト」ですね。
少量で小物の商品であれば、自前でささげ業務したほうがコストを抑えることができるでしょう。
商品点数や撮影枚数、登録作業の委託など・・・。
委託する内容によってコスト感が大きく変わってきます。

デメリット2:信頼できる代行会社を選ぶのが大変

「ささげ 外注」や「ささげ 代行」と検索すると多くの会社がヒットします。
どの会社に委託すれば良いかは予算・品質・サービス内容・納期などによって異なりますが、実際に発注してみないと良し悪しはわかりません。

サービス内容を例にあげると、納品前にイメージ通りかこまめに連絡をしてくれる会社もあれば、修正は1回限りの会社もあります。
サービスのクオリティは予算によって異なりますが、「安かろう悪かろう」では本末転倒です。

ささげ業務の外注・代行する場合に意識したいポイント

ECは、ささげ業務の出来栄え次第で売上に大きな影響を及ぼします。
ささげ業務の外注・代行は効率化を図るためにオススメですが、ビジネスパートナーとして信頼できる会社へ委託したいですよね。
これから外注・代行検討する方が失敗しないためのポイントを紹介します。

実績が豊富な会社を選ぶ

まずは候補の会社をいくつかピックアップし、各社の実績を見てみましょう。
何百社の実績がある会社はノウハウが蓄積されているので、期待通りの仕上がりが期待できます。また、依頼したい商材の実績が豊富であることも重要。ウエブサイトに記載がない時は、直接問い合わせてみましょう。

複数の会社に見積もりを取り予算感を把握する

商品点数や撮影する商材、撮影枚数やサービス内容によって各社の相場が異なります。
見積もり依頼では予算が重要ですが、大切なのは「相性」です。
問い合わせを通じてやり取りを行うことで、信頼に足りる会社かどうかピンとくるとおもいます。

また、ささげ業務に限らず、ECサイト運営の悩みや苦労しているところ、目標などを相談して提案してくれる会社であれば尚良いです。EC運営を続ける以上、ささげ業務で長いお付き合いが続きます。
親身に寄り添ってくれるパートナーを見つけましょう。

サービス内容・納期を明確にする

「ささげ業務」の委託会社が受け持つサービスも多角化しつつあります。
例えば大手モールや自社ECの登録・編集を代行してくれたりと、かゆいところに手が届くサービスを取り揃えていたりします。

発注する際はどの範囲の作業を委託するかを明確にして、予算と相談しながら決めましょう。
また、繁忙期などであれば納期が長くなることもあるので、事前に確認しておくと良いですね。

発注する時はできるだけ多くの情報を渡す

「契約まで至ればいよいよ「ささげ業務」の委託がはじまります。
ただし最初から丸投げするのは禁物。
どのようなイメージで撮影してほしいか、原稿に書き起こしてほしいかを、箇条書きで構わないので用意しておきましょう。ストーリーを含めて伝えると委託会社としても作業しやすく、期待通りの出来上がりになります。

まとめ

「ささげ業務」が重要な理由と効率化のカギとなる外注・代行委託についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

ECサイトでは「ささげ」が完了しないと商品登録ができないので、スピード感がとても大切です。
また、「ささげ」の出来栄え次第で売上に大きな影響がでる以上、クオリティを追求することも不可欠です。

ECサイトを始めたばかりで運用資金が少ないスタートアップ企業であれば、自前で「ささげ業務」を行うこともできます。
ただしある程度の知識と経験がないと品質を求めるのは難しいので、投資する意味合いでも外注・代行はオススメです。
ささげ業務の効率化と品質を高めて売上アップを目指しましょう。

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