0円でも可!ネットショップでの上手な商品撮影のテクニック3つ
商品写真はネットショップの「顔」
直接商品を手に取って眺められないネットショップでは、同じ商品でも写真の見栄えだけで、売上は桁違いに変わってきます。
と、わかっていてもなかなかうまくいかないのが商品撮影。
撮影代行サービスもたくさんあるけれど、コストやスピードがネック。
できることなら自分でやりたいけれども…
「どうしても薄暗い写真になる」「見た目と色が違う…」「道具をそろえるのが大変そう」「高いカメラを持ってない。スマホじゃだめ?」「よくわからないけど難しそう」
そんな失敗やお悩みは、たった3つのポイントを押さえるだけで解決します!
なお、このサイトの記事は主にネットショップ向けに書かれていますが、商品写真撮影のテクニックはネットオークションやハンドメイド作品のオンライン販売にも、もちろん応用できますよ!
商品撮影のポイント1.「光」をコントロール
商品写真撮影で一番最初に悩むポイントは、「なんか薄暗い!」ではないでしょうか。
たとえばこう、みようみまねで白い紙の上に商品を置いて明るい部屋で撮影してみた結果、こんな感じの写真ができあがった経験がありませんか?
なんかパッとしない感じの写真例
(天井照明のみでスマートフォンで撮影)
私の妻が趣味で作成した羊毛フェルトのパンダブローチですが、この写真ではちょっと購入意欲はわきづらいですね。
形や色の雰囲気を伝えるだけならば、これでもなんとかなる気はしますが、ネットショップの商品写真としてはいろいろな問題があります。
解決すべきポイントは3つ。
- 立体感がなく商品の特徴が伝わりにくい → 適度な陰影をつけて立体感を出す。
- 色味が正確でなく、購入後にトラブルになる可能性がある → 見た目に近い色を再現する。
- 薄暗くてなんとなく安っぽく見える → ムラのないさわやかな明るさを出す。
これらはすべて「光」の問題なのです。
この問題の対策として、本格的な撮影スタジオでは大掛かりなセットに大量のライトをセッティングして撮影していますが、はじめたばかりのネットショップでそこまでの設備を用意するのは現実的ではないでしょう。
この記事を読んでいる皆さんはすでにご存知かもしれませんが、これを簡単に解決する簡易的な撮影ボックスが市販されています。
これさえ用意すればほぼ解決!なのですが、商材によっては小型の撮影ボックスでは対応できないこともあります。
また、撮影ボックスを使った撮影方法は、ほかのサイトでもたくさん紹介されていますので、ここでは身近なものを使ってなるべくお金も手間もかけずにワンランク上の商品写真を撮影する方法をご紹介したいと思います。
とりあえず、これからご紹介する方法で撮影した写真をごらんください!
最初の写真と見比べてみてください
いかがでしょうか。
最初の写真より立体感があり、素材の色もただの白ではなくやや生成りの羊毛であることが伝わるようになったと思います。
全体の雰囲気も明るく、あたたかな印象になっています。
この写真は前述の通り撮影ボックスは未使用です。
さらに室内の天井灯以外の人工照明も使用していません。
秘密は人間の目にモノが一番自然に映る光源、「太陽光」です。
撮影風景はこんな感じ。
自宅のダイニングで撮影
日中に日の差す明るい窓を光源として利用しています。
窓の脇にセッティングしたダイニングテーブルにブックスタンドを立てて、背景となる白い模造紙を固定しただけの簡易撮影ブースです。
左側にはもう一枚白い紙を立てることで光源となる窓からの光を反射して、撮影対象に強い影が出てしまうのを防いでいます。
日光は人間の目にとっては普段から慣れ親しんだ最高の光源ですので、日常の見た目のイメージに近い色を簡単に再現することができます。
そしてなんといってもコストもゼロ。
ライトなどの人工光と比べるといつでも利用できる利便性の高さでは負けますが、晴れた日中に撮影ができるのであればこれを利用しないのはもったいない!
ただし、明るい窓際といっても直射日光のあたる場所は避けた方が無難です。
影が強くなりすぎますし、ものによっては商品を痛める可能性もあります。
上の写真では窓からすこし離れた場所で直射日光を避け、さらにレースのカーテンで光を弱めています。
直射日光を当てて撮影した場合、下の写真のように商品は明るく映りますが、影が強く出すぎてしまい、なんだか屋外で撮影したような写真になってしまいます。
直射日光で撮影。
影がくっきりしてしまいちょっと暑苦しい。
ちなみに、ここまで掲載した写真では、いちばん最初の「パッとしない例」を除いてデジタル一眼レフカメラで撮影していますが、このセッティングですとスマートフォンのカメラでも、じゅうぶん使えるレベルの写真になります。
比較するとコントラストがやや弱いものの商品写真としてはそこそこ使えるレベル。
身近な光をうまく利用してコントロールすることで、特別な機材を用意しなくても簡単に高品位な商品撮影はできちゃうんです!
以降の本記事でのサンプル写真も、上でご紹介した自宅ダイニングでの自然光下の撮影になりますので合わせて参考にしてみてください。
商品撮影のポイント2.「背景」をひと工夫!
商品写真では商品の色味や形を正確に伝えるために、背景はシンプルであることが必要です。
特に色味を正確に伝えるために、白い背景を利用するのが一般的になります。
ですが、真っ白い商品を白い背景で撮影してしまうと輪郭があいまいになりますし、逆に黒い商品を黒い背景で撮影しても埋もれてしまいます。
背景の選択に失敗した例
商品の色に合わせて背景の色も選択する必要がありますが、そのほかにも背景には商品のもつ雰囲気をいっぺんさせる効果もあります。
次の写真は一般的な腕時計の商品写真のイメージです。(私物なので使用感がある点はご勘弁を…)
よくある腕時計のサンプル写真ですね。
これはこれで商品のディテールを伝える役割はじゅうぶん果たしています。
白い文字盤と白い背景で、カジュアルで軽快な雰囲気の商品に見えますね。
では、次の写真と見比べてみるとどうでしょう。
背景を黒にチェンジ!
いかがでしょう。
背景を変えただけでちょっと高級感が出た気がしませんか?
背景の黒で写真がぐっと引き締まり、金属の光沢にもメリハリがついたことで輝きが一段増したように見えます。
前の白背景の商品と比べると、こちらの写真のほうが重厚で力強いイメージとなります。
商品の性質やターゲットとなる客層によって、意識的に背景色を変えてみるのも商品写真のポイントになると言えるでしょう。
また、背景は商品の後ろ側に写るものだけではありません。
次の写真をご覧ください。
黒い腕時計のサンプル
一見ちゃんとした商品写真に見えますが、文字盤が見づらくないでしょうか。
こちらの腕時計は文字盤が黒いのにくわえてガラスに軽いカーブがかかっているため、天井や壁などの「背景」がくっきりと写り込んでしまっているのです。(撮影者の頭も見きれてます)
こういった場合、写り込んでしまう方向にも単色の紙をかざして撮影することで余計な背景が写り込むことを防ぐことができます。
不要な背景の映り込みを排除
上の写真では、写り込んでしまう方向に黒い紙をかざして撮影しました。
文字盤全体に黒い紙を写り込ませることで不要な映り込みがなくなり、文字盤の立体感がよくわかる商品写真になりました。
ただし、ガラスのカーブの具合は伝わらなくなってしまいましたので、そちらを強調したい場合は白と黒の紙をつなげたものなどを用意して、あえて境界のある背景を写り込ませて歪みを表現するといった工夫も必要です。
金属など光沢のある被写体の場合、写り込ませるのは白い紙を使用することが多いのですが、この腕時計の場合は文字盤が明るくなってしまい、雰囲気が損なわれるため黒い紙を選択しました。
黒がさらに引き締まり魅力的です。
ふだんはあまり気にしない頭上や撮影者側の背景ですが、商品写真にとってはなかなか厄介なものです。
金属やガラス物など、反射の多い商品を取り扱う場合は注意してみてください。
商品撮影のポイント3. シチェーションを演出してみる
実際に商品を手に取れないネットショップの商品陳列では、商品のディテールを伝えることに加えて、その商品の持つ雰囲気を伝えることも重要です。
商品を手に取れる店頭の陳列と、見た目だけで商品やショップの魅力を伝えるショーウインドウの陳列の差をイメージしてみると良いかもしれません。
商品の雰囲気とは、
- 相対的な大きさ
- 様々な角度からの見た目
- 他の商品とのコーディネート
- 利用例
といった、商品単体の写真では伝えにくいものになります。
だからこそ、商品にあったシチュエーションや雰囲気づくりをした写真を掲載することで、より魅力的に商品を演出することができます。
ダイニングテーブルの木目をそのまま使ってみました
手作りのあたたかみが強調され、また、木目と比較することで単色の背景の写真よりも商品の大きさのイメージが伝わりやすいものにもなっています。
生活の中に置いてみたイメージや楽しげな雰囲気を演出するために、ほかの商品と混在させたシチュエーションで撮影する場合もあると思います。
商品単品の撮影ではスマートフォンのカメラを使った写真でも、そこそこ使える写真が撮れますが、こういったスナップ的な写真の場合はデジタル一眼レフのほうが向いています。
同じような構図でスマートフォンのカメラとデジタル一眼レフの作例を並べてみます。
あえてごちゃっと物を置いた写真です。
中心にあるナマケモノ君(仮称)が商品だと考えてください。
一見あまり違いがないように見えますが、左のデジタル一眼レフの写真のほうが「どれが商品か」が伝わりやすいと思います。
これは背景のボケの違いです。
デジタル一眼レフの写真では背景となるサボテンがボケていることで、中心にあるナマケモノ君が主役として浮きだして見えています。
右のスマートフォンのカメラを使った写真では背景にまでピントが合ってしまい、かつサボテンのほうが色鮮やかなためそちらに目が行ってしまいがちです。
このような撮影ができる分、商品撮影ではデジタル一眼レフのようなある程度しっかりしたカメラを用意したほうがより魅力的に商品を演出することができるといえるでしょう。
商品撮影の道具をそろえて本格的に
商品点数が増えてくると、商品写真撮影の手間もどんどん増えていきます。
また、前項では太陽光を利用した撮影をご紹介しましたが、作業場所や時間の都合でいつでも実践できる方法ではありません。
本格的なネットショップの展開を考える場合は、作業を効率化するための道具が必要になるでしょう。
最低限、以下の4つの道具をそろえておくといつでも安定した商品写真撮影ができる環境がととのいます。
1. ライト
本格的な写真撮影専用のライトもたくさんありますが、小物の撮影であれば家庭用のデスクライトなどでも十分応用できます。
専用のもの以外を使うときに注意したいのはライトの色。
「電球色」といった黄色っぽいライトですと、商品の色を正しく再現できません。
自然な太陽光に近い「昼白色」や「ナチュラル」という分類のものを選択するのがおすすめです。(「昼光色」では青っぽい写真になりがちなのでご注意を)
なるべく光の方向を自由に変えられるものを用意するとセッティングも楽ですね。
2. レフ版
光を反射するための道具です。ドラマやモデルさんの写真撮影のシーンなどで一度は目にしたことがあると思います。
光源からの強い光を反射してあげることで、商品の一方向に強い影が出てしまうことを防ぐ役割があります。
商品撮影のポイント1.「光」をコントロールでご紹介した自宅ダイニングでの撮影セットでは、光源となる窓の向かい側に白い紙を立てて代用していました。
ぺらぺらの紙ですとくりかえしでの使用にも向きませんし、固定するのも大変です。
レフ版を一つ用意しておけば手軽に撮影を開始できます。
3. バック紙
上の写真でも白い紙を置いていますが、写真の背景にする紙です。
背景に段差や影がでないように、縦長の紙などに適度なカーブを付けて設置するのがポイントです。
目の粗い画用紙などですと不要な影がでたり、やや暗めに写ってしまったりしますので、特別な意図がない場合は模造紙などのツルツルの紙が適しています。
基本的には白、黒の2種類を用意しておくと良いでしょう。
4. 三脚
カメラを固定する台です。
大量の商品の写真を同じ条件で連続して撮影する必要があるときなど、カメラの位置が動かないように固定してしまえばいちいちピント合わせをせずにつぎつぎと撮影ができますね。
三脚を使えば手ぶれも防げますので、失敗写真を量産することもありません。
また、ライトやレフ版、バック紙を固定するのにも応用できるので、安いものでも数本用意しておくとセッティングがぐっと楽になりますよ!
これらの道具は安いものならばトータル数千円でそろえられます。
「撮影うまくいかない!面倒くさい!」という苦手意識がつく前に買いそろえてしまったほうがいいかもしれませんね。
まとめ
いかがでしょうか。
本記事のポイントをまとめると
- 「光」をうまくコントロールしよう
- 「背景」に気を抜かずに一工夫
- 「シチュエーション」を作ってみよう
カタログや商品パッケージなどの印刷物の写真と違い、ネットショップの写真はいつでも、いくらでも差し替えができます。
まずは一発で完璧を目指さずとも、とにかく試行錯誤しながらたくさんの商品を撮影してみましょう。
最初はイマイチなものでも、納得できるものが撮れたら差し替えればいいのです。
繰り返しているうちに自然とあなたなりの正解が見えてくるようになり、それが商品撮影のスキルとなり、商品写真は立派なショップの看板となります。
実店舗では商品のディスプレイ陳列が売上を大きく左右するように、商品写真はネットショップに訪れたお客様をひきつける大事な「主役」です。
時代や商材、季節によっても求められる要素はかわります。
ネットショップ初心者の方はもちろん、すでに大きな売上を上げている方も、工夫を凝らした商品写真で売上アップを目指しましょう!