【決定版】ECサイトの売上改善・業務効率できるツール・サービスまとめ
EC事業を拡大するには、ITツールの導入は欠かせません。ただし漠然としたままツールを導入しても、使いこなせず「宝の持ち腐れ」になることはよくあります。今回はEC運営に特化したツールの紹介と、失敗しない導入方法を解説します。無料ツールもいくつかありますので、うまく活用して業務効率を向上させましょう。
EC運営に関わる5つの業務
EC業務をざっくり分けると、次の5つがあります。
- ECサイト制作・更新管理
- プロモーション
- 仕入れ管理
- 在庫管理
- 出荷・配送
それぞれの業務を効率化させるツールをご紹介します。
1. ECサイト制作・更新管理
ECサイトには、商品ページやカート(買い物かご)、商品検索や問い合わせフォームなどの機能があります。ECサイトの制作方法は4つあります。
- ECモール(Amazon、楽天市場など)
- カートASP(makeshop、FutureShopなど)
- ECパッケージ(GMOクラウドEC、ebisumartなど)
- フルスクラッチ
1~3の構築方法であれば、ECサイト制作に必要なデザインやページテンプレートのツールが標準装備されています。また、1と2はサーバー保守や管理もサービスに含まれていますので、パソコンに詳しくない方でもカンタンに自社ECサイトを構築できます。
2.プロモーション
EC事業の売上をアップさせるには、プロモーション(販売活動)が欠かせません。具体的には、「訪問数を増やす」、「購入率を高める」、「客単価を上げる」の3つの施策を行います。
正確なプロモーションを行うために、Web解析ツールを利用して現状の課題を見つけましょう。
- Googleアナリティクス
- Googleサーチコンソール
Googleアナリティクスは、Googleが無料で提供するアクセス解析ツールです。ECサイトにトラッキングコードを実装することで、サイトを訪問したユーザーの行動を記録することができます。行動履歴が蓄積されれば、「どこのページで離脱しているか?」、「よく見られているページはどれか?」などがわかるようになります。
Google Search Console は、検索エンジンにおけるサイトの掲載順位や、サイトの改善点を確認できる無料ツールです。ユーザーがどのようなキーワードで検索して、訪問しているかを把握できるようになります。Googleアナリティクスと併用することで、コンバージョンにつながりやすいキーワードを発見できるため、より高確度のプロモーションが行えます。
(プロモーション)訪問数を向上させるツール
ECサイトの訪問数を増やすには、「ネット広告」や「SEO」で検索エンジンなどから集客します。いずれも売上につながるキーワードを見つけて上位表示させることが大切です。
- Googleキーワードプランナー
Googleキーワードプランナーは、キーワードの月間検索数や、クリック広告の入札単価を調べられる無料ツールです。コンバージョン率の高いキーワードは人気があり入札単価が高くなります。広告投資して十分な利益を確保できるか?SEO施策で上位表示を目指すか?ツールを活用して検討しましょう。
(プロモーション)購入率を向上させるツール
ECサイトにおいて、お客様は「商品ページ」→「カート」を推移して購入します。しかしお客様は想定外な箇所でつまずき、悩んで離脱してしまうケースはよくあります。「欲しい商品が見つからなかった」、「購入ボタンが見つからなかった」、「入力フォームが複雑で断念した」…。お客様の行動や悩みを分析するには次のツールがオススメです。
- ヒートマップ
- PageSpeed Insights
ヒートマップとは、Webサイトにおけるユーザーの行動データに「色」をつけて可視化するツールです。Googleアナリティクスでユーザー行動は把握できますが、具体的にページ内のどのコンテンツを読み飛ばしているか?よく見ているか?を特定することができません。ヒートマップで可視化すれば熟読エリアを把握できるようになります。熟読率が低いエリアに購入ボタンを配置しても購入率は上がりません。購入率が上がらないときは、ぜひ活用しましょう。
ECサイトの離脱率が高い要因のひとつに「サイトの表示速度」の問題があります。Webページの読み込みに3秒以上かかると、53%が閲覧を止めて離脱すると言われています。そこで活用したいツールは「PageSpeed Insights」。自社サイトの表示速度をPCとスマホ別で測定できる無料ツールです。表示速度を改善することで離脱率を抑えて、SEO評価も期待できます。
(プロモーション)客単価を向上させるツール
客単価は「ある期間の売上総額」 ÷「 同期間に購入した顧客数」の式で求められます。つまり、1回の購入金額をアップさせる、あるいはリピート購入してもらうことで、客単価を向上できます。既存顧客へのアプローチは、主に次のツールを活用します。
- メルマガ
- SNS
メルマガを配信することで、優良な既存顧客へリーチできます。定期的な配信で自社ECサイトの想起率がアップし、リピーター化の促進が期待できます。メルマガ配信のツールは多く存在しますが、カートASPで構築していれば標準でツールが備わっています。
SNSは既存顧客へのアプローチはもちろん、潜在顧客に対しても訴求できるツールです。ターゲットユーザーによって好まれるSNSは異なりますが、女性であればInstagram、男性ならTwitterやFacebookが選ばれる傾向にあります。
3.仕入れ管理
仕入業務では、仕入れ伝票の作成や納品書の確認を行い、発注漏れや計上漏れがないかを確認します。仕入れロットや種類が増えるとミスが発生しやすく責任重大な作業です。そこで役に立つツールは「仕入管理システム」です。
仕入管理システムは、仕入先から届いた商品や部品を発注データと照らし合わせて、検品や仕訳入力などの業務を自動化してくれるツールです。在庫を適正に管理することで、ミスを防いで過剰在庫を防ぐことができます。
代表的な仕入管理システムは次のとおりです。
- 販売王 / ソリマチ株式会社
- 蔵奉行10 / 株式会社オービックビジネスコンサルタント
- flam(フラム) / 株式会社フリップロジック
- EX/EX-Slim販売管理システム / 株式会社ジャスト・ワーク
仕入管理システムの多くは無料トライアルが可能ですので、実際に試用してみると良いでしょう。
4.在庫管理
在庫管理は、入荷と出荷をコントロールするために、仕入れた商品を適正な量と状態に保つ業務です。単店舗であれば在庫管理はシンプルですが、多店舗運営になると管理は複雑になります。そこで重要になるのが在庫管理の一元化。欠品時などにおいて各ECサイトやモールにリアルタイムで更新する必要がありますが、その作業を自動化できるツールが「一元管理システム」です。
代表的なツールは次のとおりです。
- CROSS MALL/株式会社アイル
- TEMPOSTAR/NHN SAVAWAY株式会社
- ネクストエンジン/Hamee株式会社
- アシスト店長/株式会社ネットショップ支援室
- 助ネコ/株式会社アクアリーフ
一店舗であれば、エクセルなどの表計算ソフトでも管理可能です。カートASPを利用していれば在庫管理の機能が標準でついており、在庫検索や残量に応じたアラート通知などのツールが備わっています。
5.出荷・配送
ECサイトの運営において商品のピッキング~梱包・発送作業は欠かせません。取り扱うジャンルや商材によっては季節変動が大きく、保管コストや人件費の負担が重く感じる方も多いかと思います。そこでオススメなのが物流の「アウトソーシング」です。
物流のアウトソーシングは、物流だけ委託する3PL(3rd Party Logistics)があります。また、注文に関わるアフターサービスや決済も委託できるフルフィルメントのサービスもあります。代表的なフルフィルメント会社は次のとおりです。
- Fulfillment by Amazon (FBA)
- 楽天スーパーロジスティクス
- ヤマトシステム開発
- 佐川グローバルロジスティクス
物流をアウトソーシングすることで、自社はプロモーションなどの基幹業務に集中することができます。
ECツールを導入する前に確認すべきこと
便利なECツールですが、いざ導入してみると「現場のスタッフが使ってくれない」、「使う機会がない」…。と失敗するケースはよくあります。次に紹介する3つのポイントを抑えて失敗を避けましょう。
1. 現状の問題と原因・解決法を明確にする
まずはECサイトの運営において、しっかりと「問題点・課題」を把握しましょう。あやふやな状態で検討すると、「ECツールを導入すること自体が目的になってしまう」ケースは珍しくありません。
「何が問題か?」を現場スタッフと確認・共有しましょう。そして問題を解決する方法としてECツールを検討します。ECツールを検討する際は、スタッフの「ITスキル」も重要な要素です。実際に使いこなせるか?サポートできるスタッフはいるか?をあわせて確認しましょう。
2.他社ツールと比較検討する
導入を検討しているECツールには必ず競合サービスが存在します。料金はもちろん、機能面、既存システムと連携可能かを調べましょう。また、ITスキルに自信が無く、スタッフ数も限られるのであれば、ECツールのベンダーがどの程度サポートしてくれるかも大切です。
3.導入前に試用版で運用し検証する
慣れ親しんだ従来の業務フローから新しいECツールに移行するのは、予想以上に労力を要します。まずは導入前に試用版・体験版を使い込んでみましょう。ECツールの導入で問題解決となり得るか?ECツールのコストパフォーマンスは期待どおりか?の見極めが大切です。導入が決定した際は、新しい業務フローと運用ルールを社内スタッフに共有しましょう。
まとめ
業務に応じたECツールが多く出ていますので、どのツールが自社にあっているかを調べるのも一苦労かもしれません。ECツールは毎日の業務で使い多くのスタッフが使用します。まずは多機能よりもシンプルに使えるツールが受け入れやすくオススメです。