【2022年版】EC業者とは?EC市場の事業者数の推移や概要まとめ

ECサイトの立ち上げに使用するパッケージなどを販売している事業者のことを、ECベンダーと呼びます。EC業者にはAmazonや楽天のような大手モールを運営するところがあれば、メルカリなどのCtoCアプリ、BASEなどの自社ネットショップ作成サービスを提供する会社もあります。今回の記事では、皆様がEC事業を取り巻く環境について理解し、業者選定のきっかけになれば幸いです。

EC事業とは?

英語のElectric Commerceを略したECという言葉。直訳すると電子商取引という意味で、広い意味ではネット回線を利用した取引の総称です。しかし一般的には、商品やサービスをオンラインショップで販売することとして捉えられています。

ECとは?業界やメリットから通販サイト運営の基本知識や参考事例まで徹底解説!

ECに関わる事業を展開するEC事業者には複数種類があります。自らオンラインストアを運営しているEC運営会社をはじめ、企業から運営業務を任されている代行会社、制作会社、コンサル会社など。
中でもECサイトの立ち上げに使用するパッケージソフトを販売している事業者のことを、ECベンダーと呼びます。
ベンダーとは売り手や販売者という意味ですが、ECベンダーの多くはただシステムを販売するのではなく、開発元であるケースが多いです。

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EC市場の事業者数について

現在、インターネットは消費者の生活基盤となっています。それに伴い、ECの市場規模も拡大傾向にあります。

そのEC市場の経済活動に携わる事業者の全体像ですが、2008年時点の経産省の調査で対象となった事業者数が5万6,199件。そのうち有効回答数が2万7,558件でした。EC市場に参入する事業者は年々増加傾向にありますので、今はさらにその総数は膨れ上がっていると考えられます。
このときの回答データによれば、そのうちのおよそ半数である約47%が小売事業者、次いで製造が16%を占め、12.7%が卸売事業者でした。
また、事業者の経営スタイルから見てみますと、法人が86%程度、個人事業主が13.5%程度となっています。

今後のEC市場はユーザー・事業者共に急増する

2020年7月、経済産業省が取りまとめた「令和元年度 内外一体の経済戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」という報告書で、2019年度時点での国内のEC市場についてのデータが発表されました。

これによれば、BtoC-EC市場において、物販系分野は前年比108.09%の10兆515億円。宿泊施設や飲食店の予約サイトなどを含むサービス系分野は107.82%の7兆1,672億円。定額制動画配信・音楽配信サービスを含むデジタル系分野が105.11%の2兆1,422億円と、いずれの分野においても拡大を見せています。

中でも物販系について、市場全体に占めるEC取引額の割合であるEC化率は6.76%でした。この数字、低いように思えますが、注目すべきはその成長速度です。2010年度からの9年間で約2.5倍にまで数字を伸ばしています。

これは、消費者の中のネット通販への需要がどんどん高まってきたことの表れとみてとれます。
さらに鍵となるのがCtoC、消費者間のEC市場です。フリマアプリのメルカリやハンドメイド作品販売などが含まれますが、近年その動きは活発で、2019年度の市場規模は前年比109.5%の1兆7,407億円でした。今後もこの拡大傾向は続き、消費者自身が積極的にEC市場に関わってくると見られています。

一方で、事業者からの注目が高まっているのが越境EC。品質のよい日本製品は海外ユーザーからの支持も厚く、その需要の高さへの期待から、海外へのEC販売に乗り出す企業が増えてきています。
また、2020年には世界的な感染症の流行により、接触を避けて買い物ができる手段としてECが以前にもまして活発に利用されるようになりました。
それまでオンラインストアでの買い物に慣れ親しんできた層はもちろん、あまり活用して来なかった人でも使いはじめた、というケースも出ています。

事業者側でも、これまで実店舗を中心に運営していたアパレル店や飲食店が、売上確保のためEC分野へと積極的に参入するように。SNSやライブ配信プラットフォームを活用した新しい販売活動の形も普及してきており、今後ますますEC市場は大きくなっていくと見られます。

拡大するEC市場の課題に取り組むEC事業者協議会

ところで、日本ではいつ頃からネット販売が始まったかご存知ですか?
ECサイトの黎明期は1990年代半ば。PCの普及率が高まり、かつインフラが整ったことによりネット利用者が増え、それに伴ってショッピングサイトも次々と登場してきました。

そんな中、1997年に産声をあげたのが、あの楽天市場です。同年にはカゴメ、味の素、小林製薬、ヨドバシカメラ、ノジマなどの大手メーカー・販売事業者が通販をはじめています。

それから25年。世界でも日本でも、EC市場は急速に拡大をしてきました。これに伴い、EC販売に関わる事業者数もまた、著しいスピードで増加してきています。
となると、市場では新たな問題や課題なども発生することに。たとえば、事業者と消費者間でのトラブル。安全なEC販売を推進するためのルールは設けていますが、それではまかないきれないようなケースもEC事業者の増加に伴い発生しています。

また、CtoC-EC市場の伸びについてはすでにお伝えしましたが、こうした消費者間のやり取りにおいても、転売や金銭問題といったトラブルがあとを絶ちません。

こうした課題を解決し、EC業界の健全な発展を実現することを目的として発足したのがEC事業者協議会です。

この組織は2017年にメルカリとYahooが共同で立ち上げたもので、現在はそこにDeNAのEC事業を引き継いだKDDI、多数のECサービスやプラットフォームを手掛けるGMOペパボも構成員として加わっています。経済産業省、警察庁、消費者庁もオブザーバーとして参画しており、このEC事業者協議会によって、主にBtoC-EC市場を中心に不正利用対策などが協議されています。

国内の代表的なEC事業者

活発化する国内ECですが、ではこの市場をけん引しているのはどのような存在なのでしょうか。
以下に、大手EC事業者をご紹介します。

Amazonジャパン

国内最大級のマーケットプレイス型ECモールを展開。商品アイテム数は4億点を越え、2019年度の推定流通額は3兆4,238億円です。
Amazonのサービスの中で特徴的なのが、Amazonプライム。Amazonお急ぎ便を送料無料で利用できるほか、動画のサブスクリプションサービス「Amazon Prime Video」や写真のストレージサービス「Amazon Photos」なども利用できます。プライム会員のアカウント数は2020年1月現在で500~850万にものぼると見られています。

楽天市場

日本の老舗ECモール。Amazonのマーケットプレイス型とは違うテナント型のモールサイトで、2020年10月時点での店舗数は51,815店でした。

2019年度の流通額は3兆9,000億円と、国内ではトップレベル。なお、ここには楽天トラベルなどの宿泊流通事業や楽天デリバリー、ラクマといった同グループ内のサービスの流通額が含まれていますが、これらサービスの相互連携こそ楽天の膨大な商圏を形作っているものです。
2020年9月時点での会員ID数は1億1,590万件と、その人気の高さが伺えます。提携する楽天カードは、楽天市場内はもちろん多店舗の買い物でもポイント還元がされるので、この点も会員の囲い込みに寄与しています。

Yahoo!ショッピング

楽天市場・Amazonの2強に続く大手ECモールがYahoo!ショッピング。2019年3月時点で、登録店舗数は872,289店。2019年度、LOHACOやPayPayモールといったサービスも含めた流通額は8,901億円でした。

ZOZOTOWN

ファッションECモールの大手であるZOZOTOWN。2020年の第一四半期の時点で1,348店舗、7,989のブランドのアイテムを取り扱っています。本店のみの2019年度の流通額は1,446億円でした。

ZOZOスーツのような先進的なオリジナルプロダクト、さらには前社長である前澤氏のSNS上でのアグレッシブな活動から、なにかと話題を目にする機会も多いですよね。スタイル検索アプリのWEARと連携し、気に入ったコーディネートと同じ、もしくは似たアイテムをZOZOTOWNで購入できるなど、買い物体験を向上させるサービスを展開しています。

ヨドバシカメラ

国内でECサイトが台頭しはじめた初期段階から、EC化に力を入れてきたヨドバシカメラのヨドバシ.com。2016年度の時点で、単独の自社ECサイトでありながら売上高は1,000億円を超えており、全社売上の約15%を占めています。

家電量販店としてのイメージが強いヨドバシカメラですが、通販サイトでは書籍や日用品、食料品など商品ラインナップはかなり充実しています。
そしてヨドバシ.comの大きな特徴のひとつが、手厚い配送サービス。日時指定の配送サービスを送料無料で利用でき、またその配送スピードは非常に速いことで知られています。
中でも、指定のポスト投函可能商品で利用できる「ヨドバシエクストリームサービス便」は、1アイテムから送料無料で申し込みできるうえ、注文から最短なんと2時間半で配送をしてくれます。

メルカリ

年々拡大傾向にあるCtoC-EC市場の中で、中心的存在となっているのがフリマアプリのメルカリでしょう。
「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションとして掲げ、幅広いユーザーに対して、それまでは廃棄してきた不用品をフリマアプリに出品するという選択肢を提示しました。中にはハンドメイド品の販売窓口として使用し、副業収入を得ているユーザーもいます。

スマホひとつでかんたんに商品の出品や購入が可能です。ユーザー同士のやり取りもすべてアプリ上で完結し、最適な配送サービスを選ぶためのガイドがあるなど、ユーザビリティの高い設計になっています。
サービスを開始したのは2013年から。その6年後、2019年9月時点での総取引件数は5億件を越え、月間の利用ユーザー数は1,350万人以上となっています。
一方で、いわゆる「転売ヤ―」による商品の不当な高額出品などのトラブルもしばしばみられています。

BASE

最近では、無料でだれでもかんたんに自社ECを立ち上げられる質のよいカートASPが増えてきました。その中でも香取慎吾さんの出演するCMでお馴染みのBASEは、その手軽さと知名度の高さから人気を集めています。
BASEでは、ネットショップをオープンさせる費用は0円。最短1日でサイトを開設できます。デザインは無料テンプレートから感覚的に選択可能、シンプルな決済機能も使いやすく、サイト制作の初心者にはおすすめのサービスです。もちろん、課金で機能追加もできます。
2021年1月現在、BASEでオープンしたオンラインストアの総数は130万店舗。その中には、外食需要がおちこむなかで売上確保のための通信販売や、テイクアウト・デリバリーの注文・決済受け付け用として利用する飲食店も少なくありません。

まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございました。
この記事では、最新のEC事業者を取り巻く現状についてお伝えしました。国内のEC市場の動向が見えてきたでしょうか?
EC事業は、今後ますます国内の経済活動に大きな影響を与えていくでしょう。いま現在EC事業に関わっている方はもちろん、あるいはそうでない方にとっても、参考になれば幸いです。

※本記事の参考サイト一覧

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