APIとは?基本の仕組みや機能からWeb APIとの違いまでを徹底解説
APIとは、ソフトウェアどうしをつなげるためのシステムであり、連携先のプラットフォームに最適化された形式で、機能やデータを移管できる仕組みです。異なるソフトウェアどうしを連携するAPIは、Webサービスやアプリなどで広く用いられているため、自社がもつシステムとどのようにシナジーさせられるか是非検討してみてください。
APIとは
API(Application Programmin Interface)とは、ソフトウェアどうしをつなげるためのシステムです。通常、異なるソフトウェア間ではデータの連携や機能の共有はできませんが、APIを利用すれば実現できます。たとえば自社のシステム上で入力された予定をGoogleカレンダーに同期させたり、自社ECサイトにAmazon内の商品データを取得したりすることも可能です。
APIの仕組み
ソフトウェアはそれぞれのプラットフォームごとに最適化された形式で機能やデータを保持しています。そのため、外部のプラットフォームにそのまま移管すると、移管先のプラットフォームに最適化されておらず、バグや文字化けなどが発生してしまいます。
APIは連携先のプラットフォームに最適化された形式で、機能やデータを移管できる仕組みです。
APIとWeb APIの違い
Web APIとは、HTTP・HTTPS通信によってやりとりするAPIです。Web上で公開されており、オンラインで呼び出して利用できるため、汎用性の高いAPIとして広く用いられています。
一般的なAPIはAPIを利用するユーザーと同じプログラミング言語で設計されますが、Web APIはHTTP・HTTPSベースで利用する性質上、言語が異なるアプリケーションどうしでも利用可能です。
Web APIの使い方
Web APIを利用する流れは以下のとおりです。
- APIを利用したいアプリケーションをWeb APIサイトに登録する
- APIキー、APIシークレットを取得してアプリケーションに設定する
- アプリケーション上の動作を確認する
簡単な手続きだけで利用できるのがWeb APIの特徴です。無償公開されているものも多く、自社のWebサイトやシステムを連携することによって、業務効率を改善したり、ユーザビリティを向上させたりできます。
APIを利用するメリット
近年ではAPIを利用するWebサイトやアプリケーション、システムが増えています。しかし、実際に利用したことがない方にとっては、具体的にどんなメリットがあるかイメージしづらい面もあるでしょう。
以下では、APIを利用するメリットについて解説します。
開発にかかる工数やコストを抑えられる
異なるソフトウェアどうしでデータを共有するには、新たな機能を開発しなければいけません。ゼロからプログラムを組むには一定の工数や時間がかかるため、コストとリソースの負担は必須です。
しかし、APIを利用する場合、開発にかかる工数や時間を大幅に削減できます。その分、コストやリソースの負担も減らせるため、個人や中小事業者でも手軽に利用できるでしょう。
外部ソフトのデータを活用できる
APIを利用すると、自社のWebサイトやアプリケーション上で、外部ソフトウェアのデータを活用できます。たとえばAmazonが提供しているAPIでは、一日あたりの販売額やアフィリエイトプログラムの紹介料の推移などを公開しています。そのため、市場動向の把握や消費者ニーズのトレンドなどを把握に役立つでしょう。
本来のAPIの用途とはすこしずれますが、大手企業が所有しているビッグデータを取り込める点も特徴的です。
ユーザビリティを高められる
APIの導入によって、自社のWebサイトやアプリケーション上におけるユーザビリティ向上を実現している事例もあります。代表例は、サイト上のアクセス情報としてGoogleマップを埋め込んだり、ソーシャルログインによってTwitterやFacebookのユーザー情報で、会員登録させたりするケースです。
大手企業がコストとリソースを投下して開発した、便利な機能を自社のプラットフォーム上で流用できる点はAPIならではの強みです。
セキュリティ性能を向上させられる
APIのなかにはセキュリティ性を高められるものもあります。たとえば、GoogleやTwitterなどのユーザー情報で本人確認をするソーシャルログイン機能は、シンプルな仕組みで開発した会員登録機能よりもセキュリティ性能に長けています。
二段階認証の実施や不正アカウントの凍結などを行っており、ユーザーとしても安心して利用できるでしょう。
API連携によって何ができる?
APIによって提供されている機能はプラットフォームごとに異なるため、どのような機能を利用できるのかは事前にチェックしておくことが大切です。しかし、今や膨大な数のAPIが各社から提供されているため、まずは大手サービスのAPIを中心にみてみるとよいでしょう。
以下では、Amazon・Google・YouTube・LINE・TwitterのAPIについて紹介します。
Amazon
AmazonのAPIでは、商品の最新情報を取得したり、アフィリエイトプログラムにおける一日あたりの販売額・紹介料を表示させたりする機能が提供されています。Amazonによるクラウドコンピューティングサービス「AWS」もAPIを活用したシステムです。
GoogleはあらゆるサービスをAPIによって提供しており、一般ユーザーにも広く利用されています。たとえばフリーメールとして利用できるGmail、クラウドサービスのGoogle Cloudなどが代表例です。
また、Webサイトのアクセスを分析できるGoogleアナリティクスもAPIによって提供されているシステムの一つです。そのほかにもさまざまなサービスが提供されているため、Google CloudのAPIライブラリでチェックしてみるとよいでしょう。
YouTube
YouTubeもGoogleが提供するサービスの一つですが、一つのプラットフォームとして完結しているため、YouTubeに関してさまざまなAPIがあります。具体的には、動画の管理や効果測定はもちろん、チャンネルのデータの一括取得などです。
チャンネルを運営する際に活用できれば、競合他社に対してアドバンテージをとれる要素にもなります。
LINE
LINEのAPIでは、ソーシャルログインをはじめ、Bluetoothデバイスの接続、LINE Payによる決済機能などを提供しています。LINE for Businessを活用した企業アカウントの運用も注目されています。
Twitterでは、タイムラインの取得やツイートの投稿をはじめ、リツイートやフォローなどの行為もすべてAPIによって動作可能です。ただし、悪意をもったユーザーがAPIを用いて大量のツイートを投稿するなどの行為もできてしまうため、APIによるリクエストには制限が課されています。
Web APIの開発におすすめの言語
Web APIを開発するにはプログラムを組む必要があります。しかし、プログラミング言語にもさまざまな種類があるため、どの言語で開発すべきか悩んでしまう方も多いかもしれません。
以下では、Web APIの開発によく使われる言語について紹介します。
Ruby
Rubyは、オブジェクト指向にもとづいてつくられたプログラミング言語です。多くのプログラミング言語のなかでも扱いやすい言語として評価されており、Rubyによる開発を得意とするエンジニアも多いため、Web APIの開発にも用いられています。
PHP
PHPは、Webページの開発に優れたプログラミング言語です。世界でもっとも多く利用されているCMS「WordPress」において用いられている言語としても知られています。使い方や解説をはじめ、日本語の情報が充実しているため、初心者でも習得しやすいプログラミング言語といえるでしょう。
Python
Pythonは、シンプルな構造が特徴のプログラミング言語です。短い構文で多数の処理を行える仕組みとなっており、PHPと並んで初心者が学びやすい言語といえます。
また、あらかじめ標準ライブラリとして多くの機能が備えられているうえ、外部ライブラリを用いた拡張性に長けています。
Java
Javaは、汎用性の高さが特徴的なプログラミング言語です。C++やPythonと並んで、Googleが開発に用いる三大言語の一つとなっており、Webサービスやアプリはもちろん、業務用システムに至るまで幅広く用いられています。開発環境とは異なる実行環境でも動作する点が高く評価されています。
APIの勉強におすすめの本
APIは日常的に利用されているシステムの一つではありますが、エンジニア以外の方にはなかなか仕組みが理解しにくい部分もあります。そのため、本やネット上の情報を活用して基本をおさえておくと理解しやすくなるでしょう。
以下では、APIの勉強におすすめの本について解説します。
絵で見てわかるクラウドインフラとAPIの仕組み
「絵で見てわかる」シリーズは、システムやインフラなどの分野を中心に解説している人気シリーズです。直感的に理解しにくい仕組みについて、図解を交えて丁寧に解説しており、初心者でも理解しやすいような工夫が凝らされています。
Web APIの設計
長年に渡ってAPIを設計してきた著者による書籍です。APIの基礎から一歩発展して、ユーザー指向のAPIを設計できるようになりたい方におすすめです。ただし、訳文の表現がかためであることから、初心者にわかりやすく解説している本を求めている方にはあまり適していません。
FastAPI入門: Python製高速Webフレームワーク
Pythonによる高速APIを開発するフレームワークを解説した書籍です。体系的な理解と実践的なノウハウを兼ね備えており、基礎から応用までを網羅したい方に向いています。
まとめ
異なるソフトウェアどうしを連携するAPIは、Webサービスやアプリなどで広く用いられています。コストやリソースを抑えて、ユーザビリティに優れたサービスを開発するには必須ともいえる要素です。
また、GoogleやLINEなどの大手事業者もさまざまなAPIを提供しているため、自社がもつシステムとどのようにシナジーさせられるかを検討することが大切です。