単品通販とは?総合通販との違い、成功事例や売上高ランキングも紹介

今回は単品通販の特徴、総合通販との違いについて紹介します。単品通販とは、特定のジャンルや商品に絞る販売方法のことです。売上の安定性やターゲティングの面で強みをもった販売方法で、総合通販と比べてコストをかけずに参入可能となります。

単品通販とは

単品通販とは、商品ジャンルやブランドを一つに絞って販売するECサイトです。単品通販の形式で販売されている商品は化粧品や健康商品が多く、これらは単品通販のほとんどを占めています。
以下では、単品通販の特徴、総合通販との違いについて解説します。

単品通販の特徴

単品通販の特徴は、取り扱う商品のジャンルが限定されている点です。商品数が少ない分、一つの商品に対する情報量が充実しており、商品ごとのランディングページが用意されています。
また、商品のジャンルを絞っていると、自然とターゲット層の属性も絞られます。見込み顧客に効率的にアプローチしやすいため、広告やマーケティングにかかるコストも抑えられるでしょう。

総合通販との違い

総合通販は、単品通販とは対照的に、幅広い商品を取り揃えているECサイトです。単独のジャンルに特化して販売していないため、見込み顧客を属性から予測することは難しく、広告・宣伝においては多くのユーザーにアプローチする必要があります。
また、総合通販はさまざまな商品を販売する都合上、ほかの総合通販サイトと商品が被りやすい点も特徴です。そのため、価格競争に巻き込まれやすく、顧客は価格をもとに購入サイトを選択することから新規顧客を獲得するリピーター率が低い傾向にあります。

単品通販のビジネスモデル

単品通販は、総合通販に比べてシンプルなビジネスモデルです。そのため、マネタイズの仕組みもそれほど多くのパターンがあるわけではなく、主に3つの販売方法によって利益を出しています。
以下では、それぞれのビジネスモデルについて解説します。

定期購入

定期購入は、単品通販においてもっとも代表的な販売方法です。一度注文すると一定期間ごとに商品が届く仕組みとなっており、事業者は売上を安定させやすく、消費者は毎回商品を購入する手間がかかりません。そのため、事業者・消費者の同胞にとってメリットのある販売方法です。
一方、定期購入を申し込むのに抵抗を感じる消費者がいるのも事実です。はじめて注文する際のハードルを下げるには、初回無料やトライアルセットなどの施策を検討するとよいでしょう。

クロスセル

クロスセルとは、関連商品をあわせて勧める販売方法です。たとえば、ビタミン系のサプリメントを購入した顧客に対して、ビタミンの吸収を促進するドリンクを勧めるのはクロスセルの一例です。特定のジャンルに特化した単品通販は、クロスセルに向いています。
クロスセルの提案が成功すれば、顧客のロイヤリティを高められるだけでなく、さらなる売上の安定にもつながります。個々の顧客に対して、過去の購入商品をもとにレコメンドしたり、サンプル商品を同封したりするとよいでしょう。

アップセル

アップセルとは、よりグレードの高い商品を勧める販売方法です。たとえば、ビタミン系のサプリメントを購入した顧客に対して、さらにビタミン含有量の多いサプリメントを勧めるのはアップセルの一例です。
なお、アップセルには単一商品のまとめ買いによる単価向上も含まれます。特定の個数以上を購入すると送料が無料になったり、複数購入で割引が適用されたりするキャンペーンなどもアップセルといえます。

単品通販のメリット

単品通販は、商品の数やジャンルを絞って販売するため、十分な売上につながるか不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、単品通販にしかないメリットも多く、総合通販よりも単品通販の方が向いているケースもあります。
以下では、単品通販のメリットについて解説します。

参入障壁が低い

総合通販は、あらゆるジャンルの商品を幅広く販売するため、多額の初期投資が必要です。仕入れのコストだけでなく、商品の保管費や人件費なども含めると、固定費は少なくありません。
また、総合通販はAmazonや楽天市場などの大手ECモールが競合になります。そのため、マーケティングやシステム構築にも多額の投資をしなければ、業界内でシェアを獲得するのは難しいのが現状です。
一方、商品数が少ない単品通販はスモールスタートが可能です。なかなか商品が売れなかった場合でも大きな損失が出るリスクは低く、中小規模の企業でも参入しやすいでしょう。

販売促進しやすい

単品通販では、取り扱う商品のジャンルが絞られるため、顧客の属性もある程度限定されます。顧客の属性とは、年齢や性別、居住地や趣味嗜好などです。たとえば、アンチエイジング化粧品を販売する単品通販の場合、40代以上の女性がメインターゲットになります。
顧客の属性を限定できると、見込み顧客に的確にアプローチできるため、販売促進の効率化につながります。見込み顧客を適切にセグメント化できれば、幅広い顧客層が利用する総合通販に比べて、コストを抑えてプロモーションできるでしょう。

価格競争に巻き込まれにくい

総合通販では多くの商品をラインナップするために、あらゆるブランドの商品を販売するケースがほとんどです。メーカー側も販売チャネルを増やすうえで複数のECサイトに卸しており、ECサイトどうしで価格競争が発生します。
一方、多くの単品通販サイトでは、オリジナル商品やOEM商品などを独自に販売しています。つまり、販売の窓口を自社サイトのみにしておけば、顧客はそのサイトを利用するしかありません。そのため、販売価格をコントロールしやすく、一定の利益率を確保できる点も単品通販の強みです。

単品通販のデメリット

単品通販は、中小規模の事業者にとってメリットの大きな販売方法ですが、同時にリスクもはらんでいます。そのため、参入を検討する際はデメリットにも目を向けるべきです。
以下では、単品通販のデメリットについて解説します。

売れなかったときのリスクが大きい

単品通販は、リピート購入やサブスクリプション購入によって支えられているビジネスモデルです。そのため、中長期的な安定性には長けていますが、新規顧客を獲得するまでにはハードルがあります。
さらに、商品のジャンルを絞ってしまうと需要が低かった場合に、ほとんど売上がたたない状況におちいるリスクも高くなります。
また、単品通販は顧客一人ひとりに依存しやすい販売方法です。顧客が離れてしまうと、売上に響きやすいといえるでしょう。

ターゲットが限定的

前述のとおり、単品通販ではターゲットを絞りやすく、見込み顧客に効率的にアプローチできます。しかし、これは適切にターゲティングできている場合です。見込み顧客の属性を見誤ってしまうと、どんなに魅力的な商品を販売していても売上につながりません。
そのため、広告宣伝の効率化を図りやすい一方、セグメンテーションやマーケティングの精度が問われる販売方法ともいえます。誰でも見込み顧客になりうる総合通販に比べて、顧客層が限定的であるため、PDCAを繰り返してターゲティングの精度を高めていく必要があるでしょう。

単品通販を始めるためのステップ

単品通販に参入する際は、商材選定、システム整備、サイト制作のステップが必須です。いずれも単品通販で成功を収めるうえで重要なステップとなるため、一つずつ丁寧に対応していかなければいけません。
以下では、各ステップについて解説します。

販売する商材を決める

はじめのステップは、販売する商材を決めることです。特定ジャンルの商品を展開する単品販売において、どんな商品を販売するかがあやふやなままでは何も進みません。
また、商材を決める際は単品通販に適した商品を選択することが大切です。前述のとおり、単品通販を支えるのはリピート購入やサブスクリプション購入です。具体的には、コスメやサプリなどのジャンルを中心に検討するとよいでしょう。

カート・決済のシステムを整備する

単品通販をはじめとするECにおいては、カートや決済の仕組みが必須です。オンラインで商品を購入できるシステムを整備しなければいけません。なお、カートや決済システムを整備する際は、顧客層を絞り込んだうえで利用しやすい仕組みを導入すべきです。
たとえば、若い世代をターゲットにする場合、SNS上で購入できるカートシステム、クレジットカードがなくても購入できる決済システムなどがニーズとしてあげられます。

LP・サイトをつくりこむ

LPやサイトのデザインは、ECサイトの売上を左右します。デザインにおいて重視すべき要素は、訴求と導線です。
まず、訴求の面ではポイントを絞って、ターゲット層に響く訴求を考える必要があります。商品の購入を検討する際、顧客はどんな部分を見ているのかを仮定したうえで訴求に含めます。ユーザーの混乱を招かないよう、訴求のポイントを増やしすぎないことも重要です。
また、導線の面ではスムーズに購入まで進める設計を意識すべきです。ページの遷移回数や入力フォームの項目を少なくできれば、離脱の防止につながるでしょう。

単品通販での売上アップのコツ

単品通販で売上をアップさせるには、いくつかの方法があります。一般的なECサイトと共通する部分もありますが、なかには単品通販ならではのコツもあるため、単品通販を展開する事業者の方はチェックしておくとよいでしょう。
以下では、売上アップのコツについて解説します。

具体的なペルソナを立てる

単品通販では特定のターゲットにアプローチするため、ペルソナを設定することが大切です。ペルソナとは、ターゲットとなる見込み顧客の像です。ペルソナ設定においては、年齢や性別、家族構成や悩みなどについて詳細に定義します。ペルソナは、商品企画や広告配信をするうえで重要な要素です。明確なペルソナを指定することによって、ターゲティングの精度を高められます。

リピート購入やサブスク購入ユーザーを増やす

前述のとおり、単品通販はリピートやサブスクリプションによる売上が大半を占めます。そのため、リピートやサブスクリプションの購入につなげることがポイントです。リピート回数が多くなるほど、お得になるポイントや会員ランク、リーズナブルなサブスクリプションプランなどを導入するとよいでしょう。

トライアル・お試し商品で初回購入のハードルを下げる

単品通販における課題は、新規顧客の獲得です。一度購入してもらえれば、リピート施策によって売上を安定させられますが、初回購入のハードルが高いとなかなか顧客数が増えません。
そのため、無料トライアルやお試し商品を導入して、初回購入のハードルを下げるのがおすすめです。一度、商品やサービスの魅力に気付いてもらえれば、継続購入やサブスクリプション加入につなげやすくなります。

購入後のシナリオメールを設定する

継続型のビジネスモデルにおいて販売を促進するには、シナリオメールの配信が効果的です。シナリオメールとは、一人ひとりの顧客の行動や状況に応じて、メールを自動配信する仕組みです。メールの開封、Webサイトの訪問などのアクションをもとに配信条件を設定できるため、適切なタイミングでアプローチできます。

単品通販業界の売上高ランキング

通販新聞社は、単品通販業界に絞った売上高を調査しています。以下では、同社が2019年12月に発表したデータをもとに、業界大手各社の売上高について紹介します。

サントリーウエルネス

サントリーウエルネスは、健康食品を中心に展開する企業です。2020年12月期には 1,028億円の売上を記録しており、同社初の1,000億円を突破しました、とくに台湾におけるEC売上の増加が要因となったそうです。

オルビス

オルビスは、スキンケアを中心に展開する企業です。基礎化粧品のオルビスユーを主力として、299億円の売上を記録しました。
オルビスは、1999年にECサイトをオープンしてから衣食を含む、さまざまなジャンルを展開してきましたが、2018年にはスキンケアに特化した単品通販に切り替えました。あえて取り扱いジャンルを絞るリブランディングによって、成功を収めています。

新日本製薬

新日本製薬は、医療分野の知見をもとにコスメを展開する企業です。基礎化粧品のパーフェクトワンモイスチャージェルを中心に、272億円の売上を記録しました。年々、EC化率を向上させており、今後はさらなるEC売上を記録するとみられています。

単品通販の成功事例

ジェイフロンティア

ヘルスケア領域に特化したジェイフロンティア株式会社は、単品通販によって60億円以上の売上を記録しています。同社の成功の要因は、キャスティングによるプロモーション活動です。なかでも力を入れているのは、タレントを起用してメディア露出と兼ね合わせた施策です。タレントに商品を使ってもらうだけでなく、実際に効果を実感してもらい、訴求につなげています。

まとめ

まとめ

単品通販は、特定のジャンルや商品に絞る販売方法です。売上の安定性やターゲティングの面で強みをもった販売方法で、総合通販と比べてコストをかけずに参入できます。 一方、ペルソナの設定がシビアである点には注意すべきです。たしかな仮説にもとづいて適切にペルソナを設定することが単品通販の成功に導くでしょう。

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