WordPressを使ったECサイトの作り方はおすすめできない?理由とメリット・デメリットまで解説
ECサイトを作成するにはどうすれば良いのでしょうか。
世界で最も使用されているのは、wordpressというCMSです。
しかし、wordpressの特性を把握した上で、ECサイトを作成しないとセキュリティ等の危険性が増してしまうリスクがあります。
今回はwordpressのメリット・デメリットに触れながら、より良い方法でECサイトを作成する方法をお伝え致します。
WordPressを使ったECサイトの作り方
ECサイトは、Electronic Commerce(電子商取引)の略称です。
Amazonや楽天市場、ZOZOTOWNをはじめとする通販プラットフォーム、企業や店舗が運営する通販サイトなど、オンラインショップ全般を指します。
Webサイトを作成するにはCMS(Contents Management System)というシステムを利用する方法が一般的で、ECサイトもCMSを使えば簡単に作成可能です。
世界でもっとも利用されているCMSのWordPressを使ってECサイトを構築するには、2つの方法があります。
1つはWordPress上でプラグインをインストールする方法、もう1つはWordPressと既存のECシステムを連携する方法です。
以下では、それぞれの方法について詳しく解説します。
WordPressにECカートのプラグインを導入する
ECサイトを構築するにはカート機能や決済機能が必須です。
多くのCMSは、システムや料金プランによって機能が決められているため、ECサイトを作成する場合はECサイトに必須のカート機能を備えたCMSを利用する必要があります。
基本的にカート機能があれば、決済機能も搭載しているため、決済機能については心配ありません。
WordPressは、デフォルトではカート機能を搭載していませんが、プラグインをインストールすることでカート機能を利用できます。
プラグインは、WordPressに新たな機能を追加するための拡張機能です。カート機能を追加するプラグインの中で有名なのは、Woocommerce(ウーコマース)とWelcart(ウェルカート)の2つです。
以下ではそれぞれのプラグインの機能について解説します。
Woocommerce(ウーコマース)
Woocommerceは、世界的に利用されているプラグインです。
Webサイトの構築状況調査ツール「BuiltWith」によれば、2021年5月現在もっとも利用されているEC技術で、EC領域の上位100万サイトのうち28%がWoocommerceを利用しています。
Woocommerceはもともと海外で開発されたプラグインですが、公式に日本語にも対応しており、英語がわからないユーザーでも問題なく利用できるでしょう。
Amazonや楽天市場などのプラットフォーム上に出店する場合、売上に対する販売手数料がかかりますが、Woocommerceでは販売手数料を払うことなく、ECサイトを開設できます。
また、Amazonや楽天市場ではプラットフォームのUI(User Interface)にしたがってデザインされたショップページになる一方、Woocommerceを利用する場合はWordPressでサイトをデザインできるため、自由度が高い点がメリットです。ほかのショップとの差別化にもつながりやすくなるでしょう。
Welcart(ウェルカート)
Welcartは、国内トップシェアのECプラグインです。
商品やサービス、ダウンロードコンテンツなど、さまざまな商材を販売できるうえ、注文情報を自動的にデータベース化します。
データベース上の情報は、価格、日付、商材からソートでき、販売管理にも役立ちます。
販売だけでなく、顧客情報や購買データもワンストップで管理できる点は、Welcartの大きなメリットです。
また、Welcartは、クレジットカードやAmazon Payをはじめとする、16の決済方法に対応可能です。
決済方法の多様化が進み、決済方法にもユーザーニーズが表れる現代において、多くの決済方法に対応することは集客力や購買率を向上させる要素の1つです。
そのほかにも定期購入、自動継続課金などの機能を備えており、ECショップにおける販売の幅を広げられるでしょう。
WordPressでECサイトを作るメリット
WordPressでのECサイト構築には、コスト、集客、機能性の面でメリットがあります。ECサイトを構築する際には検討すべき候補の1つでしょう。
以下では、WordPressでECサイトを作るメリットについて解説します。
コストを削減できる
WordPressは無料で利用できるホームページ作成ツールであるうえ、WordPressにインストールするプラグインも無料のものがほとんどです。
そのため、ECサイトの構築という点においては基本的にコストがかかりません。
一般的なホームページ制作会社に外注する場合、50万円から300万円前後が相場であると考えると、WordPressを利用して自社で作成するメリットは大きいといえます。
ただし、自社内でWordPressの構築ができない場合や、自分で思った通りのデザインができない場合には、外注する必要があるため注意しておきましょう。
コンテンツマーケティングによる集客ができる
コンテンツマーケティングとは、情報コンテンツの発信により自社のブランディングや認知度向上、ファン獲得を目指すマーケティング手法です。
情報コンテンツには、ブログ記事、メルマガ、刊行物など、さまざまなものがあります。
中でも、代表的なのは自社で所有するオウンドメディアで発信する記事コンテンツです。
商品や概要や選び方のポイントを解説する記事で顧客未満の層を取り込んだり、商品を紹介する記事を作成して購買意欲を高めたりする効果が期待できます。
WordPressは、コンテンツの作成や発信に関する機能に長けており、メディアサイトとしての機能を持ったECサイトの構築にも適しています。価値あるコンテンツの発信によりSEOや集客に強いECサイトを構築できる点は、WordPressならではのメリットです。
プラグインによる機能拡張などカスタマイズが簡単にできる
WordPressは、Webサイトの構築や投稿の作成などの基本的な機能のほかに、プラグインをインストールして必要な機能を追加できます。プラグインには、セキュリティ強化、バックアップ、画像の自動圧縮など、さまざまな種類のものがあります。
ECサイトを構築する場合、顧客データの取り扱いやサイト上での決済を行うため、セキュリティに関するプラグインは必ず入れておきましょう。
WordPressのようなオープンソースのシステムは、ユーザーやデベロッパーがカスタマイズしやすいように内部のコードを公開しているため、セキュリティ対策をしていないとサイバー攻撃を受ける可能性が高いです。
プラグインはWordPressに便利な機能を追加できますが、プラグインの数が多くなるとWebサイトの読み込みが遅くなるうえ、プラグイン同士で干渉してしまいバグが発生するリスクもある点には注意が必要です。
WordPressでECサイトを作るデメリット
WordPressでのECサイト作成には、さまざまなメリットがある一方、デメリットも存在します。
ECサイトを作成する際は、メリットとデメリットを比べて検討する必要があるでしょう。
以下では、WordPressでECサイトを作成するデメリットを紹介します。
ネットショップとしての機能実装が難しい
WordPressは自由度の高いホームページ作成ツールですが、ネットショップとしての機能を実装するのは難しいのも事実です。
もともとECサイトを作成するためのツールではないため、ECサイトに必要な機能を導入するにはカスタマイズが必要です。
プラグインのインストールにより対応できる機能もありますが、インストール後は自分で設定をしなければいけません。
セキュリティ面で不安がある
WordPressで構築する際の一番のデメリット面がセキュリティ関連です。
WordPressはオープンソースのツールです。オープンソースとは、内部のコードを公開しているツールを指します。
オープンソースのツールは、無料で利用できるうえ、コードの改変が認められているため、自由度が高い点がメリットです。
しかし、ソースコードを公開すると内部のシステムがわかるため、セキュリティ上のぜい弱性も明らかになります。
本来、オープンソースはぜい弱性を発見したユーザーが修正を加えるためにコードを公開しているのですが、中には悪用するユーザーも存在します。
そのため、WordPressはクローズドなツールに比べてサイバー攻撃を受けやすい点がデメリットです。外部ユーザーの不正ログインを防ぐには、セキュリティを強化するプラグインの導入が必須です。
決済方法が限られているため、新しい決済方法などに対応できない
WordPressでECサイトを構築するうえで障壁となるのは、決済方法への対応です。
ECサイトにおいて対応している決済方法の種類は、集客力を左右する要素ですが、WordPressはデフォルトでは決済機能がついていません。また、プラグインを導入する場合でも、そもそもプラグインが対応していない決済方法では決済ができません。
ECサイトに特化したホームページ作成ツールであれば、一般的なECサイトにおいて導入されている決済方法の多くに対応していますが、WordPressのプラグインで対応できるのはそのうちの一部です。
多様な決済方法に対応するECサイトを構築したい場合は、ECサイトに特化したホームページ作成ツール、またはWordPressと連携可能なECシステムを利用するとよいでしょう。
HTMLやCSSなど構築に関して必要な知識が多い
WordPressでWebサイトを構築する場合、HTMLやCSSに関する知識が必要になります。一般的なホームページ作成ツールでは、コーディングの知識がない初心者でも直感的な操作のみでWebサイトを構築できますが、WordPressを使ったWebサイトの構築はまったく知識がない状態では難しい部分もあります。
また、コーディングの知識のほかにもエディタ内で「パーマリンク」や「リダイレクト」などの専門用語が使用されています。1からWebサイトを構築できるレベルの知識は必要ありませんが、基本的な知識を持ったユーザーでないとストレスを感じる場面も多いのも事実です。
有料で利用するホームページ作成ツールの場合、サポートサービスがついているため、操作についてわからないことがあれば質問できますが、WordPressにサポートサービスはありません。しかし、世界的に利用されているサービスということもあり、書籍やWebサイトなどの情報は充実しているので、調べながら進められるユーザーであれば便利に利用できるでしょう。
簡単に作るなら既存のECシステムとWordPressの連携がおすすめ
WordPressでは、テンプレートやプラグインを利用して手軽にWebサイトを作成できますが、まったく知識がない状態では難しいといえます。また、もともとECサイトを構築するために作られたサービスとは異なり、カスタマイズが必要となるデメリットもあります。
そこで、より簡単にECサイトを作成する方法として、既存のECシステムとWordPressを連携する方法がおすすめです。とくに、ECシステムの中でもmakeshopやカラーミーショップなどのカートASPは、コストを抑えつつ、機能性の高いECサイトを構築できます。
以下では、既存のECシステムとWordPressを連携するメリットについて紹介します。
ECサイトとブログが同一ドメインで運営できる
ECシステムとWordPressを連携する方法では、ECサイトとブログを同一ドメインで運営できます。WordPressは、単体でECサイトを構築するには向いていないものの、ブログやメディアなどのWebサイトを作成するうえではコストパフォーマンスに優れたツールです。
情報発信に関する機能が充実しており、SEOにも強いメリットがあります。
一般的にECサイトは、オウンドメディアやブログサイトに比べて、SEOによる露出増加が難しく、集客の面で課題を抱えるケースが少なくありません。
しかし、WordPressで構築したWebサイトでコンテンツマーケティングに取り組みつつ、ECシステムでショッピング機能をまかなえば、SEOによる集客を実現できる可能性も高まります。
既存のECシステムとWordPressを連携することで、両者の欠点を補完すると同時に、両者のよさを活かせるでしょう。
セキュリティ面で安心
ECサイトでは、名前や住所、クレジットカード番号などの顧客情報を取り扱うため、セキュリティ面のぜい弱性が指摘されているWordPressでの構築には不安が残ります。
セキュリティを強化するためのプラグインがあるとはいえ、オープンソースのツールである以上、不正ログインや情報漏えいのリスクは高いでしょう。
既存のECシステムとWordPressを連携すると、ECサイトに関連する情報はECシステム側で処理されます。
ECシステムとWordPressのサーバーを分離しておけば、顧客情報をWordPressとは別のサーバーに保存できるため、セキュリティを高められます。
顧客情報の管理体制は、ユーザーの信頼にもつながる部分です。既存のECシステムとWordPressの連携は、ユーザーが安心して利用できるサービスを構築するうえでも有効な手段です。
事業規模と共にサービスの拡大を行いやすい
事業規模が拡大した際にサービスの拡大をしやすい点もメリットです。WordPressのみで構築する場合、プラグインで対応できる範囲内でしかサービスを提供できませんが、ECシステムを利用すれば、事業規模に応じて決済方法を増やしたり、機能を増やしたりできます。
サービスを拡大するタイミングでECシステムに乗り換え、WordPressと連携する方法もありますが、はじめにWordPressで構築してしまうと、ECシステムに顧客データや情報を移す必要があります。
また、すべてのシステムでWordPressからの引き継ぎに対応しているわけではありません。
乗り換えにかかる手間や労力を考えると、ECシステムを利用しておくのも1つの手です。
ECサイトにおける必須機能が初期から備わっている
既存のECシステムを利用する場合、ECサイトにおける必須機能は基本的にそろっています。
そのため、機能を追加するためにプラグインを導入したり、設定をしたりする必要がありません。
とくに、さまざまな機能を備えたECサイトを構築する場合、WordPressのプラグインだけでは実現できないケースが想定されます。はじめのうちはプラグインだけでも十分かもしれませんが、長期的な運用や将来的な拡大を見込んでいる場合には、ECシステムの検討をおすすめします。
まとめ
WordPressでは、WoocommerceやWelcartなどのプラグインを利用してECサイトを作成できますが、機能性やセキュリティの面では不安があります。とくに、ECサイトでは個人情報の取り扱いが必須になるため、万が一漏えいした場合には多大な損害になる可能性にも考慮する必要があります。
また、HTMLやCSS、そのほかWebサイトに関する、一定の知見が求められます。
そのため、より簡単に本格的なECサイトを作成するには、既存のECシステムとWordPressを連携する方法がおすすめです。ショッピングに関する機能はカートASPを利用しつつも、ブログ機能としてWordPressを利用し、コンテンツを発信することで、両者の強みを最大限に活かしたWebサイトを構築できます。