【2023年版】EC業界動向ネットショップの開業は今が好機?コロナ禍での今後について
「ネットショップの開業を考えているけど、今のタイミングってどうなの?」
「EC業界って伸びているって本当?将来性は本当にあるの?」
「EC業界のトレンドみたいなものってあるの?」
ネットショップの開業を検討されている方なら、こんな疑問を持たれている方も少なからずいるのではないでしょうか?
そんな疑問にお答えするために、EC業界の過去の歴史から現在のトレンドまでを公的なデータをはじめ、ネットショップ構築サービスを展開するmakeshopの個別のデータも交えてご紹介します。
これを読めば、今の業界事情がどのようになっているかがわかると共に、これからどこに力をいれていけばよいのかの方向性が見えるようになるでしょう。
EC業界とは?歴史からコロナ禍における今後の変化について
それでは、ここから過去から現在までのECの歴史をご紹介していきます。
まずは年表をご覧ください。
年 | 主な出来事 | 市場規模 |
---|---|---|
1993年 (平成5年) | ECの誕生(広島の家電量販店) | – |
1994年 (平成6年) | 国内のシンクタンクがバーチャルモールを立ち上げる | – |
1997年 (平成9年) | エム・ディー・エム(現楽天)の誕生 | – |
1999年 (平成11年) | Yahoo!ショッピングサービス開始 | – |
2000年 (平成12年) | Amazon.co.jpサービス開始 | – |
2005年 (平成17年) | 個人情報保護法施行 | 約3.4兆円 |
2007年 (平成19年) | iPhone販売開始 | 約5.3兆円 |
2008年 (平成20年) | 特定電子メール法改正、Amazon取引高1兆円突破 | 約6.1兆円 |
2010年 (平成22年) | スマートフォン、SNS(Facebook)の拡大 | 約7.8兆円 |
2012年 (平成24年) | CtoC(フリマアプリ)の拡大 | 約9.5兆円 |
2015年 (平成27年) | Amazon Payサービス開始 | 約13.8兆円 |
2016年 (平成28年) | ZOZOTOWN ツケ払いサービス開始 | 約15.1兆円 |
2017年 (平成29年) | Amazonフレッシュ開始 LINEショッピング開始 Google Home登場 | 約16.5兆円 |
2018年 (平成30年) | AmazonGoオープン MFI(モバイルファーストインデックス)スタート Instagramショッピング機能リリース | 約18兆円 |
2019年 (平成31年/令和1年) | 楽天市場が送料無料ラインを統一 ヤフーがZOZOを買収 PayPayモールとPayPayフリマがスタート | 約19.4兆円 |
EC市場の誕生
日本におけるECの誕生は、1993年頃といわれており、1994年頃に米国で事業を開始したAmazonよりも早くなっています。
しかし、日本のECは、それからしばらくインターネットの普及などが障害となって、米国ほど大きく成長しませんでした。
転機となったのは、1997年頃の楽天市場の登場です。
楽天といえば、今や知らない人がいないくらい有名ですが、創業当初の話として、三木谷社長が自分の構想を周囲に話したところ、ほとんどの人に反対されたとのことです。
そこからうかがえる当時の状況として、日本の品質に対するこだわりや安心、安全に対する要求水準の高さなどの国民性についても少なからず影響しているところがあり、好意的な反応が少なかったようです。
EC市場の成長期から現在
インターネットの普及が進むにつれ、EC市場はますます拡大していきます。
楽天と同時期の1997年に価格.comの前身となる会社が創業、1999年にはYahoo!ショッピングがスタートし、2000年代に入ると大小さまざまな企業がEC市場に参入していきます。
Amazonについても急速に拡大・成長を続け、2008年には1兆円の取引高の大台を突破します。
2010年以降はスマートフォンの普及が進み、2023年現在まで年々比率が高まっており、昨今のコロナ渦でECへの関心は更に高まっている状況です。
コロナの影響で今後EC業界はどう変化するのか
2020年は新型コロナウイルスの蔓延が世界中を震撼させました。
感染防止のための外出自粛、商業施設や店舗への休業要請、各種イベントの中止などにより経済は大打撃を受けることに。
しかし、EC業界に限っていえば、皮肉にもコロナ禍は成長の追い風となりました。
まず店を開けられない小売店・飲食店のEC化が一気に加速。
加えて、外に出られない・出かけても店がやっていないという状況の中で、買い物する手段としてネットショップを利用する消費者が増えたのです。
ある調査では、10~20代の女性を中心に最近のECの利用状況を尋ねたところ、半数以上が以前に比べて利用する機会が増えたと回答しました。
商材としては家電やアパレル製品がEC売上比率を伸ばしています。
ただし、EC事業者にとってまったく悪影響がなかったわけではありません。
ECのほか実店舗も運営している企業はそちらの売上が大幅に減少しているケースが多く、また海外の生産拠点がストップしてしまい商品の入荷が遅れたり、部品・素材が調達できなかったりといった影響もありました。
さて、今後withコロナの世界でEC業界にはどのような変化が起きるのでしょうか。
商材により需要に格差
感染症の蔓延は経済に深刻な影響を及ぼしました。
そのため、当面は嗜好品への出費を避ける人が増える可能性があります。
代わりに食料品や日用品などの生活必需品や、ステイホームを快適にする娯楽品・インテリアなどへの注目は高まる見込みです。また、衛生用品も引き続き各所で高い需要がみられるでしょう。
またそれに伴い、WEB広告の成果にも変化が現れる予測です。
商材として苦しい状況が強いられる嗜好品やハイブランド品は、もともと広告費への投資額が大きかったジャンルですが、現状それらを扱う企業の広告取り下げが発生しています。
一方で、広く需要を保っている生活必需品などは広告露出が増えてきている傾向で、従来とは逆転した現象が起きています。
競争の激化
今回、多くの事業者が新たにECサイトをオープンさせました。
これまでECとは縁遠かった飲食業界や宿泊業界、教育業界などのサービス事業者の中でもオンライン化・EC化に踏み出した企業があります。今後もこの傾向は続いていくでしょう。
そうなると生じるのが、EC市場での競争の激化です。
ECはもともと、実店舗に比べて価格競争の起きやすい市場。
そこに新規参入の事業者が増えたため、各社での顧客の取り合いは激しくなる見込みです。
こうなると強いのが、大手プラットフォームとなります。たとえば国内トップクラスのECモールである楽天市場やAmazonは、知名度が高く安定した印象のためこうした状況下で消費者から選ばれやすいのです。
また新たにEC市場へ参入する事業者にとっても、自社サイトを構築するよりも手軽で集客に強い大手ECモールは魅力的です。
また、EC戦略に資本をさいてきた企業・ブランドもこの状況下で勝ち残っていく可能性が高いでしょう。
中でも鍵となるのが、顧客とのコミュニケーションを最適化できているかどうかです。
基本的にECサイトは実店舗に比べ、顧客と精度の高いコミュニケーションをとりにくい販売窓口です。
店舗であれば販売スタッフが面と向かってお客様からの質問に答えたり、おすすめの商品を案内したりという接客活動ができますが、ECサイトにとってそれは難しいものでした。
しかし近頃は、AIによるWEB接客や顧客の行動履歴をもとにした、マーケティングオートメーションといったソリューションが登場しています。
また、SNSによる情報発信やライブコマースも盛んになり、よりオンライン上で顧客との密なコミュニケーションが可能になってきました。
こうした分野に力を入れ、顧客にとって印象的で身近な存在として意識されるショップが、今後の市場をけん引していくと考えられます。
EC業界の市場規模・伸び率・EC化率から動向を知る
2021年7月に経済産業省が発表したデータによると、2020年度のBtoC-EC市場規模は19.3兆円となっています。前年比0.43%減とわずかに縮小したものの、ほぼ横ばいの推移です。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、物販分野においてはECに対する需要が高まった一方、旅行やイベントをはじめとするサービス分野は大きな打撃を受けました。1998年の調査開始以来、はじめてマイナスとなっています。
別の視点からのデータとして、インターネット通販の売上高ランキングを掲載している、『ネット販売白書』(月刊ネット販売)の調査結果もかんたんにご紹介します。
2021年10月5日の2020年度調査結果によると、売上高の伸び率は27.9%(前年実績で比較可能な300社が対象)で、こちらも高い伸び率を記録しています。
EC市場はコロナ禍における巣ごもり需要で全体的に成長していますが、特に生活に密着した商材を取り扱うEC事業者に恩恵は大きくなりました。
EC業界でおさえておきたい10つのトレンド
EC業界のトレンドはスピーディーに移り変わっています。ECを展開する中でユーザーニーズに対応するには、トレンドにいち早く対応することが大切です。
以下では、EC業界における10のトレンドについて、2023年の最新情報をもとに解説します。
1. スマートフォン利用者の増加
まず、スマートフォンの普及と共に、年々増えているECのスマートフォン利用があります。
参考になるデータとして、『2021年版:スマートフォン利用者実態調査』によると、ECのスマートフォン利用率はインターネット全体の約80.3%を占めるまでになっているとのことでした。
2. SNSの活況
ふたつ目に、SNSの利用が、Facebookだけでなく、Instagramなど比較的新しいものにまで進み、それを顧客との接点や関係づくりに活用する企業が増えてきたことがあげられます。
これは、最初にご紹介したスマートフォンの普及が進んだことによる影響が多分にありますが、商材によって上手にSNSを活用し、売上アップをしている事例がでてきたからだともいえます。
今後について、早めにSNSの対応をし、関係づくりができれば、ライバルとなる競合企業に差をつけられる、ひとつのポイントになってきそうです。
具体的なノウハウについては、SNS成功のポイントで詳しく解説していますので、ご興味があれば、そちらをご覧ください。
3. 越境ECの周辺サービスの拡大
3つ目は、越境EC周辺サービスのさらなる拡大です。
越境ECは、最近特に話題になっていましたが、一方で法律や言語の壁などの課題がありました。
その課題を解決できるサービスも徐々にでてきて、越境ECの機運到来という感じになってきました。
今後は、この越境ECがネットショップを大きく成長させるための起爆剤として重要な存在になっていくでしょう。
なぜなら、周知の通り、国内市場は少子高齢化によって成長鈍化は避けられないためです。
冷え込む国内の消費を、海外でいかに補えるかが大きな成長のカギとなっていくでしょう。
4. コンテンツマーケティングの拡大
4つ目は、2015年頃より急激に導入する企業が増えた、ブログなどを活用し、売り手の伝えたいことだけを一方的に伝えるのではなく、ユーザー(読み手)の役立つ情報を提供し、選んでもらうようにする、いわゆるコンテンツマーケティングです。
最近では、コンテンツマーケティングという言葉を見ない日がないくらい頻繁に使われていますが、この手法自体は古くから(一説では100年以上前には存在した)ありました。
それでは、なぜ今これほどまでにコンテンツマーケティングが騒がれているのか?
その要因は、主に下記3つがあります。
1. Googleの検索エンジン技術の進歩と変化
いちばん大きな要因は、Googleの検索エンジンがコンテンツ、つまりページの中身の質的要素を最重要視しているからです。
したがって、読み手の役に立つような質の高いページが作れれば、検索順位で上位表示される確率が今まで以上にあがっています。
これは、ページの中身を判定するレベルがあがったことによるものです。
代表的な例としては、Googleランクブレインがあります。
このランクブレインは、機械学習や人工知能を使い、ユーザーの検索期待に限りなく応えるページを返せるようになるものです。
今後は、このランクブレインによって、役に立たないページを判定する精度もあがり、順位の決定がよりシビアになると予測されます。
といっても、Googleは急に質を重視したわけではなく、はじめからユーザーに役立つことを重視しており、それを実現する技術のレベルがあがってきたというだけのことですが。
2. 広告費の高騰リスク
ふたつ目は、広告費が主に競合が増えるのと同時に増えていくリスクがあるからです。
1社独占の市場は、今やものすごく小さいものや、特殊なもの(技術水準が世界レベルで、特許を取得しているなど)以外はあり得なくなってきています。
おいしいと思える市場ほど、競合が増えるリスクがあり、それと比例する形で広告を実施している場合は費用高騰のリスクもあがっていきます。
また、広告にユーザーが慣れてきて、避けられる確率が高くなっていることや、AdBlockという広告自体をブロックする仕組みがでてきたりと、他にも広告の効果が悪くなるリスクがでてきています。
だから、少しでもそのリスクを回避するために、質の高いページを作り、自然検索で流入数を増やす取り組みをする企業が増えてきています。
3. 情報過多による取捨選択
3つ目は、あらゆる情報メディアやキュレーションサイトがでてきたことで、情報が溢れかえり、本当に役立つ情報でないと選ばれなくなってきているからです。
今や移動中でもスマートフォンでかんたんに情報収集、比較できるため、情報の鮮度さえも差がつきにくくなってきています。
だから、他よりも質(深い情報が載っていたり、関連した情報が載っていたり)が良くないと、たとえ一度見られたとしても、次にみられる可能性が低くなってきています。
以上の大きく3つの要因から、原点回帰とも呼べる、ユーザーにとって本当に役立つ情報の提供であるコンテンツが話題になっています。
コンテンツマーケティングの具体的なノウハウについては、別ページのSEO成功のポイント、ブログ成功のポイントでも解説していますので、気になる方はご覧ください。
5. D2C(DtoC)の拡大
D2C(Direct to Consumer)とは、メーカーが卸売業者や販売代理店を通さずに、自社ECや直営店で販売するビジネスモデルです。かんたんにECサイトを構築できるサービスが増えたことによって、D2Cも拡大傾向にあります。D2Cは宣伝から販売、物流までを自社で担うため、マージンやコストを最小限に抑えることができ、その分リーズナブルな価格で良質な商品を提供可能です。一方、自社における業務負担が大きい点などのデメリットもあります。
6. オムニチャネルの拡大
オムニチャネルは、あらゆるチャネルにおいてシームレスな顧客体験を実現して、一貫性のあるブランディングをするマーケティング手法です。顧客満足度の向上、機会損失の減少が見込めるほか、複数のチャネルを連携して顧客データの分析がしやすくなる点もメリットです。セブン&アイホールディングスやユニクロをはじめ、大手各社においても導入されています。
7. O2Oの拡大
O2O(Online to Offline)は、オンラインのチャネルを利用して、オフラインの店舗へ誘導するマーケティング手法です。スマートフォンの普及、SNSのユーザー増加にともなって、近年特に注目されています。施策の取り組みから効果が出るまでの時間が短く、顧客のニーズに合わせたプロモーションを展開しやすい点がメリットです。
8. OMOの拡大
OMO(Online Merges with Offline)は、オンラインとオフラインを融合するマーケティング手法です。DXの活用によって、オンラインとオフラインの違いを意識させない顧客体験を実現します。OMOにおいてメジャーなDXツールは、チャットボットやサイネージなどです。2023年現在、OMOはEC大国である中国やアメリカを中心に導入事例が増加しており、日本でも注目されはじめています。
9. ライブコマースの拡大
ライブコマースは、ライブ配信サービスを活用して商品を販売するマーケティング手法です。ECモールのライブ機能を利用する方法、SNSのライブ配信機能を利用する方法などがあります。従来のECでは掲載されている画像やサイズのみを参考に購入するしかありませんが、ライブコマースの場合は動画で商品の紹介を受けたり、コメント機能で質問したりできます。ECのデメリットを解消できる、新たな販売モデルとして注目されています。
10. チャットコマースの拡大
チャットコマースは、チャットによるコミュニケーションを通して、商品を販売するマーケティング手法です。チャットコマースを利用すると、ECでありながら1on1で店舗にいるかのような接客ができます。また、いまやスマートフォンの普及によって、多くのユーザーがチャット形式のメッセンジャーアプリを利用しています。日常的に使い慣れているコミュニケーションツールを利用してチャットコマースを展開すれば、顧客側も安心してオンライン接客を受けられるでしょう。
EC業界が抱える課題と解決法について
ECサイトの運営事業者の多くが、共通した課題を抱えやすい傾向にあります。以下にその解決法とともにご紹介します。
集客ができない
まず大前提として、サイトにお客様が来訪しなくては売上が発生しません。
しかしこのサイトに来てもらう=集客することが、特に新規参入の事業者や中小ショップにとって困難なのです。
集客をアップさせるための施策としては、SEO対策やWEB広告があります。
また、知名度の高いモールへ出店することもひとつの策です。
予算に限りがあるけれども集客を強化したい場合は、ECサイト構築サービスmakeshop(メイクショップ)をご利用ください。
かんたんに設定できるSEO設定やSNS連携、独自の集客機能があり、また販売手数料が発生しないためモールと比較して低コストで強い集客力を実現可能です。
15日間の無料体験から始められるので費用や準備も要りません。
リピーターがつかない
長期的な売上を確保するためには、定期的にサイトで買い物をしてくれる顧客=リピーターが欲しいところ。
しかし、ECサイトではこのリピート購入を得るのが容易ではないのです。
消費者はネット上で立地や時間などに縛られずに買い物できるので、他サイトとの比較もしやすく、価格など少しでもよい条件の他サイトがあればすぐに競合他社へ流れていってしまいます。
どうすれば1度購入してくれた人に「もう1度このサイトで買い物をしたい」と思ってもらえるでしょうか。
まずひとつは、メルマガなどで後追いのマーケティングをすること。閲覧履歴のある商品の値下げ情報やセールのお知らせ、クーポンの配布などで再来店を促します。
1度サイトを訪れたことのあるユーザーを対象に広告を表示させる、リマーケティング広告なども有効でしょう。
またサイト自体にも定期的に新商品を入荷する、コンテンツを随時増やすなど、繰り返し見たくなるような更新性を持たせる工夫も必要です。
CVR(購入率)の伸び悩み
サイトへのアクセス数が増えたとしても、売上に直結するとは限りません。
その中で実際に商品を買ってくれる人の割合を増やす必要があります。
この購入率をコンバージョンレート、略してCVRと呼びます。
多くのネットショップが、CVRがなかなか上がらないことに悩むもの。
解決策として、1度ユーザー目線でご自分のサイトを見つめなおしてみましょう。
欲しい商品を最短ルートで見つけられるか。商品の魅力や特徴は伝わりやすいか。入力フォームが煩雑ではないか。
サイト訪問から購入に至るまでのプロセスで、少しでも不便な点があればユーザーは離脱してしまう可能性があります。
Googleアナリティクスなどからアクセスデータを分析し、離脱の多いポイントを割り出して改善をしていきましょう。
EC業界今後の展望
現在までのEC業界の状況がわかったところで、ここ最近の動きから見る”今後は何が熱いのか?“という今後の展望についてご紹介します。
1. 販売経路の多様化
今後の展望のひとつ目として、販売経路の多様化があげられます。
これは、現在の状況として、ECのスマートフォン利用が80%というデータがあったかと思いますが、利用率はさらにあがっていくことが予測されますし、いわゆるOtoO(実店舗とネット販売の連携)もさらに進んでいくでしょう。
徐々にではありますが、SNSの活用も進んできているため、たとえばキャンペーンをやる場合、複数の経路(DMやSNS、PCやスマートフォン、実店舗やネット)を横断するような取り組みを実施する企業が増えることも予測されます。
そのため、今後はより一層自社のブランドを意識し、「顧客に対してどうしたら複数の経路をまたいでも一貫したメッセージとして自社の世界観を伝えられるか」が重要になっていきそうです。
販売経路を増やす企業がとるべきマーケティング戦略を3つご紹介します。
クロスチャネル
実店舗やネットショップなどの販売経路を含んだ売り手と買い手の接点のことをチャネルといいます。販売経路を多様化することは、このチャネルを増やすことと同義です。
小売業において実店舗のみのひとつしか販売経路を持っていない状態をシングルチャネル、それに加えてECサイトをオープンさせ経路を増やした状態をマルチチャネルと呼びます。
チャネルを増やせばそれだけ顧客との接点が増えますから、自然と販売の機会も増加します。
ただし、それぞれのチャネルがばらばらのままではその効果はあまり期待できません。
たとえばECには在庫があるのに店頭で売り切れのため、来店客の購入機会を逃してしまうといったおそれがあります。
複数のチャネルを最大限活かすためには、相互で在庫や顧客のデータ連携が必要となり、それを達成できている状態がクロスチャネルです。
クロスチャネルについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
オムニチャネル
クロスチャネルをより発展させた形のマーケティング戦略としてオムニチャネルがあります。
オムニ、とは「すべての」という意味。すべてのチャネルが相互に連携されおり、いずれにおいても一貫したサービスを顧客に提供できている状態です。
具体的には、ECで注文した商品を送料無料で店舗受取をする、公式アプリでECと実店舗双方の購入ポイント・履歴を貯める、ショップスタッフのInstagram投稿からECサイトに遷移して、商品を購入するといったことが可能になります。
オムニチャネルの目的は、ブランディングの確立。
各チャネルは統一したブランドイメージ・コンセプトのもとに展開されていて、消費者にチャネルの違いを意識させないようにします。
こうすることでロイヤリティの高いユーザー層=ファンを増やすことができ、競合と差別化ができるようになるのです。
OtoOマーケティング(O2Oマーケティング)
OtoOマーケティング(O2Oマーケティング)とは、WEBサイトやWEB広告、SNSなどによる情報発信で集めた見込み客を実店舗へと誘導する施策のことです。
OtoOはOnline to Offlineの略で、O2OやOn2Offとも表記されます。
OtoO・O2Oについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
2. 越境EC参入企業の増加と隆盛
経済産業省 商務情報政策局 情報経済課が公表している『令和2年度電子商取引に関する市場調査』《101ページ参照》によると、世界のEC市場規模は、2024年度までに14.9%(2020年度比)の成長が見込まれています。
また、EC 化率は2024年度までに 21.8%まで上昇すると予測されています。コロナ時代において非対面で取引ができるECにシフトする動きが業界を問わず見られます。ECを前提とした商品販売のあり方は世界規模でより問われるでしょう。
参考までに、アジア圏で3位のインドのGDP推移、4位の韓国のGDP推移をご紹介しておきます。※アジア1位は中国、2位は日本です。
引用元:世界の名目GDP(USドル)ランキング(世界経済のネタ帳)
インド
韓国
GDPは、国内で生産された商品の合計額を表すものなので、経済の規模と成長率を図る指標になります。また、GDPは所得や消費も反映する指標で、GDPがあがれば所得や消費も拡大するとされています。
そのGDPがご覧の通り、アジア地域のインドと韓国だけをみても、右肩あがりに伸びています。この成長曲線が示す通り越境ECでも、大きなチャンスがあると捉えられます。
3. コンテンツマーケティングの進化
3つ目にコンテンツマーケティングがありますが、これは、今までのコンテンツマーケティングよりもさらに範囲が拡大していく可能性があります。
範囲の拡大とはどういうことか?
それは、販売経路と重複する部分もありますが、ブログやネットの情報だけでなく、SNS、メールマガジンなどを組み合わせる企業が増えていくということです。
これは、現在でも一部の企業ではできていますが、まだまだ多くの企業が暗中模索しながら、顧客にとって役立つ情報(ブログなど)を考え、提供している段階だと思います。
そこが、次第に実績(売上)としてでてくるようになり、SNSその他と統合してさらに良質な体験価値を提供していく、そんな段階へと進化していくと考えられます。
4. 運用効率化、自動化ツールの進化
最後に、自動化や運用を効率化できるツールの発展、進化があります。
2020年のキーワードとしてはxTech(クロステック)や5G×オープン・イノベーション、XRなどがありました。
最近でも、数年後・十数年後にコンピューターに仕事を奪われ、なくなる仕事があるという言及がされますが、2021年以降はこれら新しい技術がどんどんリリースされ、進化をしていくと予測されます。
これからEC業界へ参入する際に知っておきたい基礎知識
ECサイトの構築・作り方って?
ECサイトをオープンさせる手段はまず、モール型ECか自社ECかの2種類に大きく分けられます。
モール型ECとは、その名の通りオンライン上のショッピングモール。複数のショップやブランドがひとつの大きなサイトに出店・出品をします。
楽天市場やAmazonなどがその例です。
モールサイト自体の知名度や強い集客力を利用できますが、その代わり手数料がかかる、モール内の価格競争に巻き込まれやすい、思うようにブランディングしにくいなどのデメリットもあります。
反対に自社ECサイトは、集客に弱い面もありますが、サイトデザインなどの自由度が高く長期的にブランド力を高めたい場合おすすめ。
構築するためにはベースとなるシステムが必要で、このシステムをプラットフォームと呼び、以下のようなものがあります。
- ショッピングカートASP
- ECパッケージ
- クラウドEC
- オープンソース
- フルスクラッチ
プラットフォームによって予算感や構築にかかる労力・時間、作ったECサイトでできることが異なります。
ECサイト構築方法の種類や費用はこちらの記事で解説していますので、ご覧ください。
EC・ネットショップの運営に必要なスキルは?
近年では、誰でもかんたんにECサイトを開設できるサービスが多くリリースされています。そのため、ひと昔前に比べるとEC運営に対するハードルは大幅に下がっています。しかし、基本的な業務スキルはもちろん必要です。ECやネットショップの運営においては、以下のようなスキルが求められます。
- 商品企画
- 商品の仕入れ・製造
- サイト制作・更新管理
- プロモーション
- 受注処理
- 在庫管理
- 出荷
- 配送
- アフターサービス(問い合わせの管理)
ECサイトの運営についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
EC業界に必要なマーケティングスキルとは?
マーケティングとは「モノが売れる仕組みをつくる」ことです。
小売業や訪問営業でそれぞれ商品やサービスを売るのに最適な方法やセオリーがあるのと同じく、ECサイトにはECサイトの売り方=マーケティング手法が存在します。
以下に、ECサイトのマーケティングで必要となる基本的なスキルをご紹介します。
- SEOについての知識
- WEB広告の運用スキル
- HTMLやCSSについての基礎知識
- サイトのアクセス解析スキル
これらのスキルは、ECの売上を構成する3つの要素、アクセス数(集客)・CVR(購入率)・客単価をそれぞれアップさせるのに役立ちます。
ECマーケティングについてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
EC業界で成功するための売れるデザインって?
自らのネットショップを人気サイトにするためには、そのデザインも大切な要素。
ユーザーにとって見やすく使い心地のいいサイトにしておくことは、リピーターの獲得につながります。
ここで陥りやすい罠が、いいデザイン=おしゃれ・かっこいい・かわいいという考え。ECサイトにおけるいいデザインとは、必ずしも見た目がいいことと同義ではありません。
それよりも重視すべきは、「商品の価格や特徴など購入する人が欲しい情報がきちんとわかりやすく表示されているか」や「購入完了にいたるまでの導線でわかりにくい・使いにくい点はないか」など。
要するに、よりユーザビリティの高いサイト設計=いいデザインなのです。
ECサイトのデザインについては、詳しくはこちらの記事で解説していますのでぜひご覧ください。
EC業界におけるECサイト売上高ランキングを知っておこう
EC市場で今後生き残っていくためにどうすればよいのか。
その戦略を立てる上で、ぜひ国内の売上高ランキングもチェックしておきましょう。
市場の全容を知られます。
ECモールとECサイト、それぞれ最新の全体ランキングは以下のとおりです。
【ECモール】
- 1位 楽天 3兆9,000億円
- 2位 Amazonジャパン 3兆4,238億円(推定)
- 3位 Yahoo!ショッピング 8,519億円
参考:https://www.rakuten.co.jp/ec/start/merit-demerit/?l-id=PC_sitemap_to_start_merit-demerithttps://ecclab.empowershop.co.jp/archives/65543https://www.z-holdings.co.jp/wp-content/uploads/2020/01/jp2019q4_presentation-1.pdf
【ECサイト】
- 1位 Amazonジャパン:2兆1,852億円
- 2位 ヨドバシカメラ:2,221億円
- 3位 ビックカメラ:1,487億円
※AmazonジャパンはECモールランキングとECサイトランキングで算出方法が異なるため金額が異なっております。
Amazonの売上高については、日本国内でAmazonが売主となるものと、第三者が売主になるものの手数料10%程度が合計された値となっており、マーケットプレイスのシェアは引き続き拡大していると考えられることから、2019年の割合は55%であると推定。このことから、2019年の流通総額は3兆4,238億円と推測する。
Amazonはマーケットプレイス型といって、ショップが出店するのではなく商品ごとに出品するタイプのECモールであるため、モールとサイト両方のランキングに登場しています。
モールランキングの楽天、Amazon、Yahoo!はいわば3強。
特に楽天とAmazonは突出していて、Yahoo!がそれを追いかけるかたちになっています。
ECサイトの2位ヨドバシカメラや3位ビックカメラは、物流基盤の強さを活かしたサービスを提供しランクインしています。
もちろん、全体のランキングに加えてご自身のサイトが展開する業種のランキングもチェックするとよいでしょう。
成功しているトップ企業・ブランドの戦略からは、市場のトレンドや正攻法を学べるはずです。
より詳しいランキングが知りたい方はこちらの記事もあわせてご覧ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ECの業界は、まだまだ伸びている業界だとご理解いただけたかと思います。
また、今後についても、
- 越境ECの拡大
- スマートフォンの一層の普及
によって、さらに伸びていくのは経済産業省その他のデータから見ても、間違いないといっても過言ではないでしょう。
ただし、時間が経てば経つほど、競合が増え、ビジネスチャンスが減っていく可能性があります。
もし今まだあなたがネットショップをはじめていないようなら、一刻も早くはじめることをおすすめします。