ECサイトの改善ポイントはこれ!売上アップの事例と改善点を解説
ECサイトの売上を決める要素は、「訪問数」・「購入率(CVR)」「客単価」の3つです。
売上をアップさせるためには、足かせの要素を見つけて改善することが鉄則です。
例えば「CVRを1%改善できれば売上が100万円アップする」というように、具体的な改善点が見つかれば成功の道すじが見えてきます。
各要素の改善ポイントを、事例を含めて解説します。
ECサイトを効果的に改善するためにPDCAの回転数を上げる
PDCAとは、Plan(計画)、Do(行動)、Check(評価)、Action(改善)の略語です。
ECサイトの売上を効果的に改善するためには、課題を見つけてPDCAのサイクルを早く、多く回すことが成功の近道です。
ECサイトにおける具体的なPDCAの流れを見ていきましょう。
(Plan→Do)ECサイトのどこに課題があるか明確にする
ECサイトの売上は「訪問数」・「購入率」・「客単価」の掛け算で積み上がっています。
現状の実績を比較して、どの要素をどれくらいアップさせれば改善できるかを把握しましょう。
課題をさらに細分化して分析する
ECサイトを改善するときは、多くのユーザーが通行する場所(ボリュームゾーン)から着手することが、成功への近道です。
ボリュームゾーンは人通りが多い場所なので、課題を見つけて改善すれば、大きな成果(CV)が期待できます。
ボリュームゾーンを探すときは、次の切り口で分析しましょう。
- デバイス(PC、スマホ)
- 最初に閲覧したページ(ランディングページ)
- ECサイトへの流入経路
上述の切り口から分析し、「訪問数は少ないけど購入率(CV)が高いページ」を探しましょう。該当するページは、露出を増やせば売上アップにつながります。
また、「訪問数は多いけど購入率(CVR)が低いページ」も探しましょう。該当するページはせっかく訪問数を稼いでいるので、商品ページや注文ボタンのリンクを設置し、行動喚起(CTA
なお、ECサイトのボリュームゾーンから課題を細分化すると、取り組むべき課題は無数に見つかると思います。すべての課題を同時に取り組むことは難しいので、まずはインパクトが最も大きい課題から優先に取り組みましょう。
(Check→Action)実行後の改善点を検証し課題を見つける
新ページと旧ページを比較し検証しましょう。「毎日」・「毎週」・「毎月」の間隔で結果を比較することで、変化を確認できます。
訪問数・CVRに変化が見られれば、「デバイス」、「ランディングページ」「流入経路」のどこに変化があったかを調べましょう。改善が見られれば、施策は正しいことが証明されます。反対に悪い結果となった場合は、施策前のバージョンに戻し、改めて改善施策を練りましょう。
ECサイトの売上を改善する訪問数・購入率・客単価の施策
それでは、各項目を改善する具体的な施策について解説します。
1.ECサイトの訪問数を増やす
ECサイトの流入経路は、主に次の5つがあります。
- 検索エンジン(SEO)
- ネット広告
- SNS
- 口コミ
訪問数を増やす方法で、最も即効性があるのは「ネット広告」です。
SEOやSNSは広告費をかけずに集客できるのでおススメ。
ただし、効果がでるまで時間を要し、かつコンテンツ作成にも時間と労力(人件費)がかかります。
ECサイトのスタートアップ時においては、まずはネット広告を中心に集客を行い、余力をみてSEO、SNSのコンテンツ資産を蓄える順序がおススメです。
※ECサイトのSEO対策は、こちらのページもあわせてご参照ください。
ECサイトの購入率(CVR)を高める
ECサイトにおいてのコンバージョン(CV)は、「商品やサービスが購入されること」ですよね。ECサイト内のコンバージョン経路は、「ランディングページ(商品紹介ページ)」→「注文カート」→「決済」の流れです。
CVRが低いときは、注文前のページで離脱しているのか、あるいは注文カートの中でカゴ落ちをしているのかを明確にしましょう。CVRが低い原因は、主に次の要因が考えられます。
- ユーザーインターフェース(UI)に問題がある
- 商品やサービスが競合他社より劣っている
- ECサイトの信頼性が低く購入を躊躇している
- 希望する決済が導入されていない
ユーザーインターフェース(UI)を改善する
ECサイトを訪問したユーザーが、サイトの構造に不満を持ち離脱してしまうことがあります。
主に次の原因が考えられます。
- どこに商品があるのか探しづらい
- 特定のデバイス(PC、モバイル)が使いづらい
- ECサイトの表示スピードが遅い
特にモバイル(スマホ)は、パソコンよりも画面サイズが小さく、通信速度が劣る場合が多いです。
どのデバイスにおいても商品を探しやすく、見やすく、使いやすいユーザーインターフェース(UI)の設計が求められます。
また、表示スピードが遅いと離脱に直結します。
Googleの公表(参照:Google Developers Japan: モバイルページのスピードに関する新たな業界指標)によると「読み込みに 3 秒以上かかるページは、 53%のモバイルサイト訪問者が離れている」と言われています。
画像を最適化し容量を抑えたり、リソース(HTML,CSS,JavaScriptなど)の最適化を行いましょう。
商品やサービスの訴求力をアップさせる
ECサイトを訪れる購買意欲の高いユーザーは、必ず競合ECサイトと比較し購入を決めます。そのため、他のサイトより訴求力が劣れば購入率に影響がでてしまいます。ユーザーに対して魅力を十分に訴求できるよう改善しましょう。
- ランディングページ(LP)にストーリー性はあるか
- 見出しと本文のメリハリがあるか
- 商品のデメリットも伝えているか
- 事例や口コミをアピールできているか
- FAQをしっかり用意できているか
- 購入完了までのステップを見える化できているか
ランディングページ(LP)などにおいて、滞在時間が短かったり、離脱が多い場合は、商品やサービスの魅力が十分に伝わっていない、あるいはユーザーが求める情報が少ないことが考えられます。ストーリー性を持たせてしっかりコンテンツを作りましょう。
また、FAQや購入完了までのステップを「見える化」し、ユーザーの悩みを先回りして解消させることも有効です。購入に対するユーザーの不安を解消できれば、購入率のアップが期待できます。
「信頼性」を向上させて購入率アップさせる
ユーザーにとって「購入する」という行動は、ECサイトの運営者が想像する以上に勇気がいる行為です。とりわけ新規ユーザーであれば、決済し購入することに不安を感じる方が多いです。
不安を解消してもらうために、次の施策が有効です。
- クレジットロゴやトラストサインをわかりやすく表示する
- 問い合わせは迅速に対応する
- 利用規約やプライバシーポリシーをしっかり表示する
上記はECサイトにおいて必須の要素でありますが、手薄になっているECサイトが多く見受けられます。
仮想空間のECサイトであるからこそ、ユーザーが不安に感じる個所を手厚く明記し、可視化することで安心を与えることができます。不安を解消できれば購入率アップに繋がります。
入力フォームを見直して購入率を向上させる
注文カートや資料請求などの入力フォームに記入するのは、誰しもが煩わしくストレスを感じますよね。
ユーザーに対して予想以上のストレスを感じさせてしまうと、離脱やカゴ落ちの原因につながりかねません。
入力フォームの項目はできるだけ減らしましょう。
入力フォームを改善する施策は「入力フォーム最適化(EFO)」と呼ばれています。
ASPカートやECモールを利用している場合は、EFOが実装されているのでそれほど心配はいらないでしょう。
フルスクラッチなどで自社ECサイトを立ち上げるときは、EFOを留意した設計が必要です。
決済方法を充実させて購入率をアップさせる
カードやコンビニ決済、代金引換など多用な決済方法がありますが、ユーザーの年齢層や性別によって好みが異なります。
最も人気のある決済はクレジットカードですが、近年は若者であってもセキュリティ面に不安を感じるユーザーや、カード情報の入力が面倒に感じるユーザーも増えています。
決済に対する不安や不満は、カゴ落ちの原因に繋がります。
ターゲット層に支持される決済方法を充実させて、購入率アップを目指しましょう。
※決済方法の詳細は次のページをあわせてご参照ください。
3.客単価を上げる
客単価を上げるには、次の施策を検討しましょう。
- 1顧客あたりの購入数を増やす(クロスセル))に問題がある
- 高単価商品をオススメする(アップセル)
クロスセルの場合、「あと〇〇円以上購入すれば送料無料」などお得感をアピールする方法がオススメです。また、例えば「ひげ剃り」の商品であれば、関連商品の「シェービングフォーム」を同時に購入してもらうことで客単価を上げることができます。
アップセルでは、機能性が高い類似商品を紹介することで、1顧客あたりの客単価を向上させることができます。さらにキャンペーンやサービスを打ち出してユーザーの囲い込みができれば、安定した売上を見込むことができるでしょう。
ユーザーテストで売上を20倍アップに成功した事例
筆者自身これまで10年に渡りECサイトの運営・コンサルに携わり、数多くの改善施策に取り組みました。
改善施策はWeb分析ツールを用いることが多いですが、最短でかつ最大限に効果を発揮できる手法は、ユーザーの「生の声」をもとにした改善施策だと感じております。
みなさんも経験あるかとおもいますが、Web分析ツールで「離脱率」や「閲覧時間」を知り得ても、「なぜそうなったか?」を解読するのは容易ではありません。
空想の中で改善施策を実行しても空振りで終わることも多いです。
そのため、特に大規模な改善を行うときは、実際のユーザー(できればあなたのECサイトを知らないユーザー)にECサイトを操作してもらい、その様子を見て感想を集めるようにしています。
ユーザーテストにおいて知り得たデータは、予想外の結果も多くて驚かされます。
しかし収集したデータをもとに仮説を立てて施策すると成功の確率は高く、実際に私自身この方法で売上を20倍まで伸ばしました。
みなさんも改善施策で行き詰まったら、ぜひユーザーの「生の声」を集めてみてください。
まとめ
今回はECサイトの改善施策について解説しましたが、いかがでしたか?
現状を分析し施策を考えて検証する過程は、決して華やかではなく、どちらかというと地味な作業です。
また、実際に課題を見つけて施策を実行しても全てが成功するとは限らず、空振りすることも多いかとおもいます。
ですが、ゴール(改善)へ到達するのに必ず通る道ですので、一歩ずつ着実にPDCAを実践し、頂上を目指しましょう。