UXの意味と定義は?UIの違いと改善するためのコツをわかりやすく解説

UXは「ユーザー体験」を表す指標です。改善することでブランド力がアップし売上向上が期待できます。ただ、UXで取り組むべき範囲は広く、どこから手をつければ良いか分からない方も多いですよね。今回はUXを改善するためのポイントを、わかりやすく解説します。最後までご一読ください。

ユーザーエクスペリエンス(UX)とは?

UXは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略語です。ユーザー(User)が、商品やサービスから得られる体験・経験(Experience)を表す指標です。例えば、ECサイトにおけるUXはつぎのとおりです。

  • どのページからでも欲しい商品まですぐたどり着ける
  • お問い合わせが簡単でレスポンスが早い
  • 希望配達日に確実に届けてくれる
  • 商品やサービスを手に入れてワクワクする

ユーザーは「○○を解消したい」「○○が欲しい」と思い立ってからスマートフォンなどで検索し、類似品と比較のうえで購入します。UXはこれら一連のストーリーをUXととらえて、それぞれの体験がユーザーを満足させることができれば「UXが高い」と言えるでしょう。

UXの歴史は人間工学からはじまる

UXの起源は1940年代にさかのぼり、工業製品における「人間工学」の進歩がはじまりと言われています。その後、1960年代にウォルトディズニーがディズニーランドを開園し、「すべての人をおもてなし」の思想が注目されました。

1990年代からは、コンピュータとユーザーをつなぐ設計にUXが注目されるようになりました。以降はスマートフォンやタブレットなどデバイスが変化する中で研究が進んでいます。

UXの歴史は長いですが、ユーザーとつながる対策が時代とともに変化しているため、UXの学術的な定義や規格は不完全です。海外ではアプリやWebサイトなどのデジタルにUXは限定されますが、日本ではモノやコトを含むすべての体験をUXとして議論されることが多いです。

【UX白書】時系列でユーザー体験を認識する

学問的なUXの定義は未完成ですが、2010年にドイツでUX概念の議論が行われ「UX白書」が世に広まりました。

UX白書では、商品やサービスの「利用前」から「利用後」と「全体」を期間別に分類する手法を提唱し、わかりやすさが評判となりました。時間軸でUXを認識することで、「どの期間のUXなのか?」を理解できます。

UXとUIの違いは?

UXと近しい用語にUI(ユーザー・インターフェース)があります。UXは「ユーザーが得られるすべての体験」ですが、UIは「ユーザーと商品やサービスをつなぐ接点」を表します。

UIはUXの一部分であり、UI無くしてUXの向上はありません。例えば商品が数万点取り揃える巨大ECモールにおいて、UXは「欲しい商品がすぐに見つかる」こと。そしてアプリ操作で「商品メニューが見つけやすい」、「どのページにいても迷子にならずにTOPページに戻れる」、「入力項目が少なくてストレスが少ない」などレイアウトや機能はUIです。UXを向上させるためには、最適なUIの考慮が求められます。

UXを改善するメリット

UXを改善することで、Webサイトや商品を快適に使えるようになり、ユーザー満足度が向上します。EC事業においては、UXを改善することで次の効果が期待できます。

  • 購入率がアップする
  • 客単価が向上する
  • 訪問数がアップする

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

UX改善で購入率がアップする

米国のSEOツール会社「Kissmetrics」の調査によると、「ページの表示に3秒以上待たされると40%のユーザーが離脱する」とのこと。ECサイトの場合、商品紹介の画像や動画コンテンツが多く、他のWebサイトと比べて表示速度が遅くなりやすい傾向にあります。表示スピードを改善できれば、サクサク快適に閲覧できUX向上につながります。また、探している商品が簡単に見つかるようレイアウトや構造の改善も、離脱を防ぐことが期待できます。

UX改善で客単価が向上する

事業継続を安定化させるには、ファンを増やしリピーター顧客を囲い込めるかが大切です。あなたのECサイトが使いづらかったり、サービスに不満を持たれたりすると、ユーザーは二度と利用しなくなるでしょう。

  • ユーザーの悩みを解消する方法を教えてくれた
  • 急な注文だったけど即日配送してくれた
  • 不良品だったけどすぐに交換してくれた

上記は一例ですが、ユーザーに対して期待以上のサービスを提供することで、信頼を得ることができます。信頼はブランド力にもつながり、ファンが増えればLTV(顧客生涯価値)の向上が期待できます。

UX改善で訪問数がアップする

UXの改善は直接的にSEO効果ありませんが、結果として高評価を期待できます。

  • ユーザーにわかりやすいコンテンツを提供する
  • ユーザーのニーズを満たす商品・サービスを提供する
  • ページ速度を向上させる
  • ユーザーが快適に操作できるようレイアウトを改良する
  • ユーザーが迷わないようサイトを設計する

上記はUX/UIの改善施策の一部ですが、施策を打つことで「直帰率」や「離脱率」、「サイトの滞在時間」を改善できます。これらの指標はSEOにおいても重要視されているため、結果的に訪問数を増やす条件が整います。

UX/UIを改善するポイント

UXを改善するには、ユーザー心理を理解することが大切です。ユーザーが何を悩んでいるか?何を解決すれば快適性や満足度がアップするのか?さらに事業において、ユーザー心理を読み解くことで、どんな目標(ゴール)を達成したいかを明確にしておきましょう。ゴールを達成するために、次のPDCAを実行します。

  • 【Plan】課題を洗い出す
  • 【Do】改善施策を立案し実行する
  • 【Check】効果測定をする
  • 【Action】検証結果をもとに新たな課題を洗い出す

ひとつずつ解説します。

【Plan】課題を洗い出す

例えばEC事業において「購入率が低い」という課題があれば、ユーザーは何かしらの不満を持っているかもしれません。商品やサービスに課題があるのか?Webサイトの構造やコンテンツに問題があるのか?調査し洗い出しましょう。

調査方法は、GoogleAnalyticsなどのWeb解析ツールを用いた「定量分析」と、実際のユーザーに試用してもらう「定性分析」の2種類があります。定量分析は大まかな傾向はわかりますが、具体的なユーザー心理を知ることができません。そのため適宜、定性分析を行うことでスムーズに課題の洗い出しができます。

【Do】改善施策を立案し実行する

上述のPlanを実行後は、課題が多数みつかっているかとおもいます。次にやるべきことは、それらの課題に優先順位を決めること。UXの改善効果が高い課題から着手することが大切ですが、課題によっては時間と労力の負荷が大きい案件もあるとおもいます。

また、成果の見えづらいUX改善への投資は「経営的に厳しい…」と感じる事業者の方も多いかと思います。その場合は、最も売上貢献するUX施策から着手するのがオススメ。ECサイトを例にあげると、最初に「購入率」や「客単価」の改善から着手し、その後に「訪問数」に取りかかると効率的な売上アップが期待できます。

【Check】効果測定をする

UX施策は、実行して終わりではありません。施策は「仮説」をもとに実行するため、想定どおりの成果が出ているかをしっかり確認することが大切です。施策で期待通りの結果がでないことはよくあります。場合によっては施策前より悪くなることも…。1週間~1ヶ月のスパンで測定し、次の1手を検討しましょう。

【Action】検証結果をもとに新たな課題を洗い出す

PDCAのゴールは当初に掲げた目標を達成したときです。全体をとおして1回や2回の施策で達成できることはありませんので、可能な限りPDCAのサイクルを高速に回すことが大切。チーム内はもちろん、経営陣を含めて現状の成果とゴールまでの達成率を定期的に確認し、チーム一丸となって努めることが大切です。

ユーザーを理解するには「顧客視点」が大切

UXを向上させるためにはユーザー目線(顧客視点)が大切ですが、アンケートやレビューの「意見」は改善につながらないことがあります。その理由は、ユーザーは自分が本当に求めているモノやコトを言語化できないためです。

セブンイレブンで販売する「セブンゴールド」を例にあげると、同社は一斤250円の高額な食欲の販売に成功を収めています。もしユーザーへ「一斤250円の高級食パンをコンビニで買いますか?」と販売前に質問しても、否定的な意見しか出ずに企画は却下されていたでしょう。ユーザーは「いまはないもの」については答えられません。UX改善の答えは、必ずしもユーザーが持っているとは限らないことを理解し、施策に取り組みましょう。

まとめ

UXを改善するにはユーザー心理を理解することが大切ですが、心理を読み解くことが最も難易度が高く苦労します。とくにECサイトのようなWeb上での取引においては、ユーザーの顔や態度が五感で伝わらず難易度は高くなります。「素晴らしいUX」を知るためには、自分自身が良いユーザー体験をすることも大切です。ライバル店のサービスを利用して良い点や悪い点を体験することや、異業種のサービスを体験することも視野が広がりオススメです。

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