メディアコマースとは?メディア×ECのメリットや成功事例を解説
メディアコマースとは、メディアサイトにおける情報発信、ECサイトにおける商品販売の両面をもった施策です。競合ECサイトに対して商品や価格以外の面から差別化を図れるため、売上を大きく成長させられる可能性もあります。EC事業者様必見です!
メディアコマースとは
メディアコマースとは、メディアサイトとコマースからなる造語です。メディアサイトにおける情報発信、ECサイトにおける商品販売の双方を兼ね備えたWebサイトを指します。
メディアコマースが台頭した理由
本来、別ものであったメディアサイトとコマースが一体となった背景には、ECサイトの集客力や販促力を高める狙いがあります。従来のECサイトに求められていた役割は、商品情報を掲載して販売することだけでした。
しかし、情報量の多いメディアサイトに比べてSEOに弱く、商品の情報だけでは十分に購入を後押しできない点が課題とされていました。そこで登場したのがメディアサイトのように情報を発信するECサイトです。
メディアコマースのメリット
前述のとおり、メディアコマースはECサイトの集客力・販促力を高める手段として有効ですが、具体的にはどんなメリットが期待できるでしょうか。
以下では、メディアコマースのメリットについて解説します。
SEOによって集客力を高められる
メディアコマースは、単体のECサイトに比べて情報量が多くなります。Webサイトにおけるコンテンツ量はSEOにおいて重要な要素です。SEOとは、Googleをはじめとする検索エンジンのなかで上位表示させるための施策です。
つまり、メディアコマースによってECサイト内の情報量を増やせると、検索結果画面で上位表示させやすくなるといえます。その結果、Web上の露出の増加につながり、さらなるユーザーの流入が見込めるでしょう。
また、SEOによって流入が得られるようになると、広告費用を抑えられる点もメリットです。ECサイトにおける流入チャネルは、リスティング広告やSNS広告が大半を占めているケースが多く、自然検索経由で流入を確保することは広告費の削減につながります。
ユーザーの購買意欲をかきたてられる
メディアコマースにおいては、ECサイトで扱っている商材と関連する情報を発信すべきです。たとえば、アパレルECではファッションのトレンドやコーディネートに関する情報、日用品ECであれば生活の豆知識や商品レビューなどがあります。いずれもユーザーの購買意欲をかきたてられるため、スムーズな導線を敷ければコンバージョンにつながるはずです。
また、商品に関連する疑問や悩みをもったユーザーを獲得できるため、じっくり育成していければ将来的に顧客になる可能性が高まります。
信頼性の向上につながる
企業やWebサイトへの信頼性は、ECサイトの売上を左右する要素の一つです。ECでは実際に商品を手に取れないため、サイト上の画像や説明文などの情報をもとに購入を決定します。
つまり、ユーザーから十分な信頼を得られていないと、購入控えにつながるおそれもあります。とくに初回の購入に対して、ハードルを感じるユーザーは少なくありません。
大手企業の運営するECサイトであれば信頼を獲得しやすいものの、中小規模の事業者の場合は初回購入に至るまでにどう信頼を得るかが課題です。
一方、ECサイトが正しい情報を発信していれば、ユーザーの信頼度は自然と高まります。日々、ユーザーのためになるコンテンツを発信することによって、心理的なハードルを下げられるでしょう。
メディアコマースのデメリット
メディアコマースにはさまざまなメリットがある一方、注意しなければいけないデメリットもあります。メディアコマースに取り組むうえでは、デメリットについてもリスクとして認識しておく必要があるでしょう。
以下では、メディアコマースのデメリットについて解説します。
メディア担当者の負担が大きい
メディアコマースを実施するには、発信するコンテンツの制作が必要不可欠です。たとえば記事コンテンツの場合、記事の構成作成・執筆・画像の選定・校正・入稿などの作業工程があります。
早い段階で成果を出すには一定の投稿ペースが求められるため、一人ですべてを担当するのは現実的ではありません。
また、質の高い記事を速いペースで投稿していても、SEO評価を得られるまでには時間がかかります。早くても数か月から半年、一般的には1年以上をかけて徐々に順位を上げていくため、中長期的に安定して記事を制作できる体制を整える必要があるでしょう。
記事や画像を盗用されるおそれがある
近年ではSEOに取り組む企業の数も増えており、一度上位表示できたとしてもコンテンツの内容を盗用されてしまうおそれもあります。もちろん盗用されたコンテンツは上位表示されないよう、Googleがアルゴリズムを組んでいますが、優れたライターのリライトによって検索上位を奪取されてしまうケースも多くあります。
また、盗用によって上位表示されるケースがあるとはいえ、自社が検索上位を目指すうえで上位サイトの内容を盗用するのは適切なアプローチではありません。
メディアコマースで発信するコンテンツ
メディアコマースにおいては、発信するコンテンツが必須です。どんなコンテンツを発信するかによって獲得できるユーザー層が異なるほか、商材によって適したコンテンツも存在します。
以下では、メディアコマースで発信すべきコンテンツの例について紹介します。
ブログ記事
ブログ記事は、メディアコマースにおいてもっともメジャーなコンテンツの一つです。近年ではさまざまな企業がメディアコマースを実施していますが、多くの企業は記事コンテンツを発信しています。
記事コンテンツの強みは、SEOへの影響が大きい点です。画像や動画などのコンテンツも重要ではありますが、テキスト情報が少ないWebサイトはSEOに不利になりやすい傾向があります。そのため、記事コンテンツを充実させられると上位表示につながります。
記事コンテンツを制作する際は、商品に関連するキーワードやサジェストワードなどからユーザーのニーズを把握することが大切です。ユーザーの疑問を解決できる記事を公開していきましょう。
コーディネート例
コーディネート例は、アパレルやインテリアなどの業界と相性がよいコンテンツです。実際の着用シーンやレイアウトを見せることで、自分に似合うファッションか、自宅のインテリアと調和するかをチェックできます。単体の商品画像を見ても、具体的なイメージがわかないユーザーも一定数いるため、商品の訴求においても重要な役割を担っています。
また、コーディネート例は自社の取扱商品を組み合わせられるとより効果的です。コーディネート全体を気に入ってもらえれば、複数商品の同時購入によってクロスセルを実現できるでしょう。
動画コンテンツ
動画コンテンツは、ユーザーにわかりやすく情報を伝えられます。テキストや画像に比べて情報量が多く、映像として立体的に認識できるため、より具体的に商品をイメージしやすくなるでしょう。とくに近年ではYouTubeやInstagramの人気もあいまって、動画コンテンツに対する需要も高まっており、訴求力の高さが注目されています。
また、動画コンテンツをブログ記事やSNSとあわせて活用するのも有効です。ECサイト内で完結させるのではなく、ブログ記事のなかに動画を掲載したり、YouTube上にアップロードしたりと、さまざまな活用法が考えられます。
メディアコマースの成功事例
メディアコマースに限らず、マーケティング施策に取り組む際は、他社の成功事例から学ぶことも重要です。
以下では、メディアコマースの成功事例について解説します。
※こちらの事例では、makeshopで構築したECサイト以外についてもご紹介しております。予めご了承ください。
【雑貨】北欧、暮らしの道具店
北欧、暮らしの道具店は、インテリアからコスメに至るまで、幅広い商品を取り扱っているECサイトです。同サイトの特徴は、商品の利用シーンをまとめて雑誌のようなコンテンツに仕上げている点です。スタッフが実際に利用している商品を紹介するシリーズは、とくに人気となっています。
また、メディア内で紹介された商品はすぐに購入できるよう、リンクが掲載されており、スムーズに購入まで進める点も魅力的です。その結果、2年間で売上が2億円を突破しており、今後もさらなる成長が期待されています。
【インテリア】NOCE
NOCEは、インテリアを専門に販売するECサイトです。インテリアの組み合わせ例を掲載している点は多くのECサイトと共通していますが、NOCEではコーディネート例の全商品を一括購入できるボタンが設けられています。比較的リーズナブルな商品が多く、少ない商品数でコーディネートを組んでいるため、ユーザーは手軽にモデルルームを再現できます。
また、商品を購入した顧客のコーディネート例を掲載している点も特徴的です。プロが厳選したコーディネートとは異なり、日常のワンシーンにおいて家具のイメージを確認できるコンテンツとして人気となっています。
【ホームセンター】コメリ
コメリは、全国的に展開するホームセンターが運営するECサイトです。専門的なアイテムを多く取り扱っているため、作業手順や使用方法などをわかりやすくまとめたコンテンツを発信しています。ページ内には作業に必要な商品をまとめて購入できるよう、商品リンクが掲載されており、買い忘れが発生しにくいのも評価されているポイントです。
さらに、ガーデニングやDIYに関する豆知識なども公開しており、商品に関連する興味をもったユーザーの集客にも力を入れています。
【コスメ】石けん百貨
石けん百貨は、掃除用品やスキンケアグッズを販売するECサイトです。石けんの基礎知識を紹介する「石鹸百科」、スキンケアを科学的に分析する「読んで美に効く基礎知識」をはじめ、複数の姉妹サイトを運営しています。コンテンツの内容ごとにメディアサイトを分けて、各サイトの専門性を高めている点が特徴です。
Webサイトの専門性は、SEOにおいても重要な要素の一つであるため、ジャンルごとにサイトを分けてたてるのも効果的な方法です。一方、SEO評価はドメイン単位で与えられるため、複数のサイトを別ドメインやサブドメインで運用すると、サイト評価を高めるのが難しくなるデメリットもあります。
まとめ
メディアコマースは、集客と訴求の両面でメリットをもった施策です。競合ECサイトに対して商品や価格以外の面から差別化を図れるため、うまく活用できれば売上を大きく成長させられる可能性もあります。
一方、メディア運営にはノウハウやリソースが求められるため、ECサイト単体を運営する場合に比べて負担が増えるのも事実です。メディアコマースに取り組む際は、しっかりと社内の体制を整えたうえで実施することがポイントです。