
今注目のBNPL(後払い決済)を解説!クレカ決済との違いからメリット・デメリットまで
BNPL(後払い決済)の基本から、クレジットカード・分割払いとの違い、EC事業者・消費者それぞれのメリット・デメリットを丁寧に解説。最新の法規制や代表サービスまで、BNPL選びに役立つ情報を紹介します。
BNPL(後払い決済)とは

BNPLとは「Buy Now Pay Later(今すぐ購入、後で支払い)」の略語で、主にオンラインショッピングで使用される支払い方法です。特に海外では、若者の間で人気が高く、日本においても年々ユーザー数が増加傾向にあります。
BNPL(後払い決済)の仕組み
顧客がBNPLサービスを利用して商品を購入した場合、BNPLサービス事業者からECサイトへと、各手数料が差し引かれた商品代金の支払いがおこなわれます。
売り上げの入金を確認したら、通常どおり顧客へと商品を発送。商品代金は後払いで顧客からBNPLサービス事業者へと支払われるため、ECサイト事業者と顧客の間では、金銭のやり取りはおこなわれません。
もしも顧客による商品代金不払いが生じたとしても、多くのBNPLサービス事業者は、売上金の入金を保証してくれます。
BNPL(後払い決済)が広まった背景
BNPLは、北米、ヨーロッパ、東南アジアを含む多くの地域で利用されており、日本でも2002年頃から徐々に導入されていきました。
BNPLサービスが大きく普及したきっかけは、新型コロナウイルスの影響です。コロナ禍のステイホームにより、オンラインショッピングの利用者が増え、BNPL市場は急速に拡大しました。
さらに2021年9月には、PayPalが日本のBNPLサービス「Paidy」を買収したことが話題を呼び、日本のBNPL市場のさらなる拡大を加速させる要因となっています。矢野経済研究所のレポートによると、国内でのBNPL市場は2018年以降右肩上がりに成長を続け、2025年度にはその取扱高が1.8兆円に達すると見込まれています。
BNPL(後払い決済)とクレジットカード決済・分割払いとの違いは?

BNPLは後払いという点でクレジットカードと似ていますが、以下の4点で異なる特徴があります。
- すぐに利用開始できる
- 与信審査が簡易的(または無い)
- 分割手数料が原則無料
- クレジットカードが使えないユーザー層でも利用可能
以下、詳しく解説します。
すぐに利用開始できる
BNPLは、利用者のメールアドレスや電話番号などの基本情報を入力するだけで、即座にサービスを利用開始できます。
一方で、クレジットカードの使用を開始するには、主に下記の情報が必要です。
- 顧客の氏名
- 生年月日
- 住所連絡先
- 電子メールアドレス
- 職業や雇用状況
- 居住形態・家庭状況
- 年収
審査にも時間がかかりますし、手軽に利用できるとはいえません。すぐに利用開始できる点は、BNPLとクレジットカードの大きな違いです。
与信審査が簡易的(または無い)
BNPLサービスは、審査が必要ないか、非常にかんたんな審査で利用開始できます。
一方でクレジットカードの利用には、信用情報をチェックする厳格な審査が必要です。過去の支払い遅延や現在のローン返済状況など、信用状況が不十分な場合、カードの発行が難しくなります。
分割手数料が原則無料
BNPLサービスでは、商品を販売するEC事業者側が手数料を負担するため、顧客は分割手数料を負担することなく分割払いを利用できます。
クレジットカードでの支払いの場合、分割支払いやリボ払いを利用するには、分割手数料や金利手数料などを支払う必要があります。
クレジットカードが使えないユーザー層でも利用可能
BNPLは一般的に信用情報などの審査が必要なく、メールアドレスや電話番号の登録だけで利用可能です。
「未成年」や「低収入」などの理由でクレジットカードを作れないユーザー層でも、後払いや分割払いを利用できます。
【EC事業者側】BNPL(後払い決済)を導入するメリット

EC事業者がBNPLサービスを導入する際、主に下記3点のメリットがあります。
- 幅広い顧客層を取り込める
- 顧客単価のアップが見込める
- カゴ落ちリスクを軽減できる
以下、詳しく解説します。
EC事業者のメリット1.幅広い顧客層を取り込める
BNPLを採用すると、クレジットカードを所持していない顧客でも、後払いで商品を購入できるため、幅広い顧客層を取り込めます。
また、クレジットカードを持っていない顧客層だけでなく、クレジットカード情報の入力が面倒くさいと感じる人や、商品を実際に受け取ってから支払いたいと考える人にとって、BNPLは魅力的な選択肢です。
クレジットカードを持っていない若年層や、後払い・分割払いを気軽に利用したい顧客層を取り込める点は、大きなメリットといえます。
EC事業者のメリット2.顧客単価のアップが見込める
BNPLを利用すると、追加手数料なしで分割払いが可能となるため、顧客が購入を諦めやすい「高単価商品」でも購入されやすくなります。結果的に、顧客の平均購入額の増加を見込めるのです。
ECサイトで高単価な商品は「今はそんな金額支払えない」という理由で購入を見送られることがあります。また、クレジットカードの分割払いも「手数料がもったいない」という理由で敬遠されがちです。
高単価商品を多く取り扱っている事業者は、導入を検討してもよいでしょう。
EC事業者のメリット3.カゴ落ちリスクを軽減できる
BNPLを利用する場合、クレジットカード決済の際に必要なカード番号入力やパスワードによる本人確認が省略されます。必要情報を入力する際のストレスでカゴ落ちするケースも多いため、カゴ落ち率を低減できるでしょう。
また高単価な商品の場合「一度カートに入れたけど、商品価格が高いから辞めた」という顧客も多いです。手数料無料で分割払いが利用できるBNPLだと、高単価商品でも購入しやすくなり、カゴ落ちリスクを軽減してくれます。
【EC事業者側】BNPL(後払い決済)を導入するデメリット

ECサイトでBNPLを導入する際、下記のようなデメリットも存在します。
- 決済手数料の負担が必要になる
- 貸し倒れのリスクが高い
- 今後規制対象になる可能性も
以下、詳しく解説します。
EC事業者のデメリット1.決済手数料の負担が必要になる
BNPLでの分割払いの場合、手数料はEC事業者が支払う必要があり、利益率が下がってしまうというデメリットがあります。
通常、クレジットカードなどで顧客が分割払いを選択した場合、分割手数料を支払うのは顧客側であり、EC事業者は支払う必要がありません。
また、BNPLの決済手数料は一般的にクレジットカードよりも高く設定されているため、決済手数料を負担に感じる事業者も多いでしょう。
EC事業者のデメリット2.貸し倒れのリスクが高い
BNPLは与信審査などをおこなわないため、貸し倒れリスクが増加します。
クレジットカード決済では、信用情報機関の審査を通して支払い能力の有無を調べているため、貸し倒れリスクがある程度軽減します。多くのBNPLサービス事業者は与信審査を実施しないため、クレジットカード決済に比べて貸し倒れになるリスクが高まりやすいでしょう。
ただ、BNPLサービス事業者によっては、売り上げ入金を100%保証してくれる場合もあります。BNPL導入の際には、事業者選びに注意が必要です。
EC事業者のデメリット3.今後規制対象になる可能性も
BNPLに貸し倒れのリスクがあることを考慮すると、将来的に規制されることもあり得ます。実際に国際的には規制の動きが活発で、特にアメリカではBNPL市場の成長に伴い支払い遅延者が増加していることが問題視され、米国消費者金融保護局(CFPB)などの機関が規制に向けた動きを加速しています。
日本においても、BNPLの普及が進むことで、法的な規制が検討される可能性は否定できないでしょう。
【消費者側】BNPL(後払い決済)を利用するメリット

ここでは消費者目線に立って、BNPLを利用するメリットを解説します。主なメリットは下記の3つです。
- 簡単に利用開始できる
- 分割手数料が不要で買い物できる
- 手元に商品が届いてから支払える
以下、詳しく解説します。
消費者側のメリット1.簡単に利用開始できる
BNPLは後払いや分割払いが利用できるにもかかわらず、信用調査が必要なく、メールアドレスや電話番号を入力するだけでかんたんに使用開始できます。
クレジットカード決済の際に必要となる「カードの発行」といった手間を省略し、後払い決済をおこなえるというのは、大きなメリットといえるでしょう。
消費者側のメリット2.分割手数料が不要で買い物できる
BNPLでは、分割払いに関する手数料は主にEC事業者が負担します。追加の分割手数料を気にしなくてもよいため、高単価商品でも購入しやすくなるでしょう。
消費者側のメリット3.手元に商品が届いてから支払える
BNPLを利用すると、商品を受け取った後やサービスを使い始めてから支払いができます。
商品を実際に見たり触ったりできないオンラインショッピングでは、一定の不安がつきものです。商品代金を後払いできると、安心してショッピングを楽しめるでしょう。
【消費者側】BNPL(後払い決済)を利用するデメリット

Lは利用がかんたんで便利な反面、主に下記2つのデメリットが存在します。
- 支払い遅延のリスクが高くなることも
- 分割払いができないサービスもある
以下、詳しく解説します。
消費者側のデメリット1.支払い遅延のリスクが高くなることも
BNPLは与信審査などを省略しているため、利用限度額は比較的低いものの、月々の支払いが収入を超えてしまうリスクあることは否定できません。
分割手数料が無料なので、消費者の購入へのハードルは下がります。ついつい購入しすぎてしまい、気づいたら「月々の支払いが大きく膨れ上がっていた」ということもあるでしょう。
消費者側のデメリット2.分割払いができないサービスもある
BNPLサービスを提供している事業者によっては、分割払い未対応や、追加の手数料がかかる場合など、サービス内容はさまざまです。
使用予定のBNPLの支払いオプションや、手数料の詳細をしっかりとチェックし、すべての条件を確認したうえで支払いをおこなうことが重要になります。
BNPL(後払い決済)の不正利用・不適切利用

BNPL市場の成長と利用者数の増加により、詐欺や不正利用の可能性が高まります。
EC事業者はBNPLに関する不正行為の手法を理解し、適切な防止策を考えておきましょう。以下では、BNPLでの不正利用・不適切利用の典型的な手段と、対策について解説します。
アカウントの乗っ取り
アカウントの乗っ取りはクレジットカードでもあり得るものの、BNPLアカウントを何者かに乗っ取られ、不正利用されるというケースが考えられます。
利用者は商品を購入していないのに、BNPL事業者から請求が届きます。EC事業者も対応に迫られることがあるでしょう。
不正アカウントの作成
BNPLはかんたんにアカウントを作成できるという魅力がある一方で、不正アカウントを作成されやすいというリスクがあります。
架空のアカウントでBNPL決済をおこない、その後の支払いを踏み倒されるということも十分に考えられるでしょう。
BNPL(後払い決済)の不正利用・不適切利用への対策
BNPLの不正利用・不適切利用への対策として、BNPL事業者は以下のような対策が求められています。
- 本人確認の厳格化
- 不正検知の精度向上
- 与信枠の段階的な調整
不正利用に対する対策措置が実施されているかどうかも、BNPLを導入する際の判断基準となるでしょう。
対策1.本人確認の厳格化
支払いの踏み倒しを防ぐため、BNPL事業者が本人確認プロセスを強化し、不正アカウントの作成を未然に阻止する取り組みが必要でしょう。
ただし、このような厳格な本人確認は、BNPLの「かんたんに利用できる」というメリットを半減させる可能性があります。そのため、不正アカウント作成を試みたアカウントをリアルタイムで捉え、素早く対応するシステムの導入が効果的な対策として考えられています。
対策2.不正検知の精度向上
不正を働く者は絶えず新たな手法を企てるため、BNPL事業者には不正検出システムの開発やその精度の向上が求められています。
BNPLに関する最新の不正動向を常に把握し、ほかの決済手段で得られた不正情報やブラックリスト情報を活用することにより、不正行為の検知精度を向上させる必要があります。
対策3.与信枠の段階的な調整
不正利用による損害を最小限に抑えるために、BNPL事業者は限度額を段階的に引き上げることが推奨されます。
たとえば、新規顧客に対しては低い限度額を設け、取引を通じて徐々に限度額を引き上げる対策などが挙げられます。
BNPL(後払い決済)の法規制に関する動向

今後、ECサイトでBNPLを導入しようと考えている事業者は、法規制に関する動向にも注目しておきましょう。
国内と国外、両方の観点から解説します。
日本国内の法規制動向
日本国内において、BNPLに関する法規制は存在しません。通常、後払いシステムは「割賦販売法(かっぷはんばいほう)」や「犯罪収益移転防止法」の適用範囲内と見なされています。
上記の法律では支払期間が2ヶ月を超える場合、消費者の支払状況や支払い能力に関する報告が必要です。ただ、支払期間が2ヶ月以内かつ、クレジットカードを使用しない場合は適用外となります。
そのため、BNPLはかんたんな登録で利用できるのですが、BNPLに関する問題が多発するなどの状況になれば、国としても規制の強化などの対応に迫られるでしょう。
日本国外(海外)の法規制動向
海外のBNPL市場は急速に成長していますが、拡大に伴い消費者の過剰な借入れが問題となっており、一部の国々では規制の強化が進んでいます。
具体的には、アメリカでは主要な5社(Affirm、Klarna、Afterpay、PayPal、Zip)のBNPLサービス利用者間で負債が増加していることが指摘され、2022年9月にはこれらのサービスに対する規制を厳格化する方針が示されました。
また、オーストラリアとシンガポールでは、支払い遅延への対応策としてBNPL業界のガイドラインである「BNPL Code」が策定され、公表されています。
代表的なBNPL(後払い決済)サービス

日本でも徐々にBNPL(後払い決済)サービスが普及してきており、サービスの導入を迷われている事業者も多いのではないでしょうか。
以下では、国内の代表的なBNPL事業者を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
NP後払い
NP後払いは、日本国内でいち早くBNPLサービスの提供を開始した事業者の1つです。
商品購入後、NP後払いでの決済を選択すると商品に請求書を同封(または後日郵送)。商品到着後に代金を支払ってもらう仕組みです。
最大の特徴はBNPLサービスで「ポイントが貯まる」という点でしょう。導入店舗も20万店舗を超えており(2023年3月31日時点)、人気のサービスとなっています。
Paidy(ペイディ)
Paidy(ペイディ)はスマートフォンで気軽に利用できるBNPLサービスです。メールアドレスと電話番号を登録して本人確認をすれば、すぐに利用開始できる手軽さが人気の理由でしょう。
また、顧客側は最大12回払いまで分割手数料無料なので、高価格帯の商品を多く取り扱っているECサイトにおすすめです。
Atome(アトミー)
Atome(アトミー)はアジア最大級のBNPLサービスです。2019年から東南アジアや中華圏を中心にシェアを広げています。
分割手数料無料で3回払いまで設定でき、高単価商品でも売れやすくなります。
ただ、Atomeはクレジットカードやデビットカードを登録する必要があるため、クレジットカードを持っていない顧客層は、取り込むのが困難になるでしょう。
atone(アトネ)
atone(アトネ)は、当月内の利用代金を翌月にまとめて支払えるBNPLサービスで「NP後払い」を運営するネットプロテクションズが提供するサービスです。
atoneの特徴は、業界最低水準の決済手数料2.5%という安さや、顧客に0.5%のポイント還元がある点です。
すでに「NP後払い」決済を導入している事業者であれば、非常に相性のよいサービスなので、導入を検討してみてください。
メルペイスマート払い
株式会社メルペイが2019年から提供しているサービスである「メルペイスマート払い」。当月の利用代金を翌月にまとめて支払える後払いサービスを提供しています。
フリマアプリ「メルカリ」の利用者は日本国内で非常に多く「メルペイで払えるなら……」という顧客層も一定数以上見込められるため、導入を検討してもよいでしょう。
PayPayクレジット(旧あと払い)
PayPayクレジットは、PayPayで利用した購入代金を翌月にまとめて支払えるサービスです。
PayPayは国内で6100万人以上(2023年12月時点)のユーザー数で、キャッシュレス決済サービスとしては圧倒的なシェアを誇ります。
日常的にPayPayを使用しているユーザーも多いため、ECサイトの決済手段として導入を検討してもよいでしょう。
楽天ペイ
楽天ペイは「楽天市場」でのお買い物で、後払い決済を利用できます。商品到着後14日以内に、コンビニ払いや銀行振込で代金を支払うというシステムです。
基本的に楽天市場で出店している事業者は全店導入される決済方法ですが、事前にサービス内容を把握しておきましょう。
GMO後払い
GMOペイメントサービス株式会社が提供している「GMO後払い」は、商品購入後にコンビニや銀行、郵便局で後払いできるBNPLサービスです。
顧客の支払いを待たずに売上金を入金してくれるため、未回収リスクがなく安心して利用できます。
SmartPay
SmartPayは、顧客側の手数料無料で3回の分割払いを提供できるBNPLサービスです。
最大の特徴は、日本で初めて「Smartpay Bank Direct(バンクダイレクト)」に対応したBNPLサービスだということ。オンライン決済時「銀行口座から直接支払える後払い決済」に対応しています。
銀行口座から直接支払えることで、顧客も安心してBNPLサービスを利用でき、購買のきっかけにつながるでしょう。
まとめ

BNPLサービスはEC事業者も、顧客側も非常にメリットの大きいサービスです。積極的に導入することで、売上を向上させられるでしょう。
月額費用などの固定費はかからない事業者が多いので、まずは導入してみて、売上にどう影響するのかテストするのがおすすめです。
導入の際は、今後の法規制の動向をチェックし、正しく運用しましょう。




















