【2021年度】個人事業主がIT導入補助金を申請する方法と流れ

IT導入補助金は、中小企業にかぎらず個人事業主も申請することができます。
条件を満たせば最大450万円まで補助される大型事業です。ITツールの導入を検討中であれば、ぜひ申請を検討しましょう。
このコラムでは、個人事業主の方を対象に、IT導入補助金を申請する方法と、採択率を上げるポイントをわかりやすく紹介します。

IT導入補助金2021とは?

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者の「業務効率化」や「売上アップ」をサポートするための制度です。
生産性を向上させるITツールを導入することで、経営力の強化を目指しています。

2021年度のIT導入補助金について簡単に説明すると、次のとおりです。

  • 個人事業主も申請が可能
  • 最大450万円を補助してもらえる
  • ソフトウェアの申請が対象
  • 購入済みの設備や投資費用も申請できる
  • ITツールの導入により1年後の労働生産性が3%以上、3年後に9%以上の向上が条件

労働生産性とは、粗利益(売上-原価)/(従業員数×1人当たり勤務時間(年平均))により算出された値です。

申請可能な個人事業主の条件

個人事業主(小規模事業者)の場合は、次の従業員数であれば、申請の対象となります。

業種従業員(常勤)
商業・サービス業5人以下
宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下
※出典:事業概要 | IT導入補助金
https://www.it-hojo.jp/overview/

従業員とは、「解雇の予告を必要とする者」と定義されています。
個人事業主の場合は、「解雇予告が必要な者」に該当しないため、従業員としてカウントされません(労働基準法第 20 条の規定に基づく)。
また、同一生計の家族従業員(専従者)も従業員数に含まれません。

【IT導入補助金2021】4つの類型と補助額

2021年度のIT導入補助金は4タイプ(A類型~D類型)あり、それぞれ条件が異なります。

類型補助額補助率主な補助対象
A類型30万~150万円未満1/2ソフトウェア(単体)
B類型150万~450万円1/2ソフトウェア(複数機能必須)
C類型30万~450万円2/3連携型ソフトウェア
D類型30万~150万円2/3クラウド・テレワークツール

A類型~D類型の特徴を見ていきましょう。

A類型(通常枠)

A類型は、単体のソフトウェアを導入したい方向けの枠です。
ソフトウェアの業務プロセス(詳しくは後述します)を1つ以上満たすだけでOKです。
また、賃上げ目標は「加点要素」となり申請要件は低く設定されています(賃上げ目標の詳細は後述します)。

B類型(通常枠)

B類型はA類型と同じ通常枠ですが、ソフトウェアの業務プロセスは4つ以上を満たす必要があります。
補助額は最大450万円と大型の枠ですが、賃上げ目標が必須です。賃上げ目標が未達の場合は返還が求められます。

C類型(低感染リスク型ビジネス類型

C類型は、「非対面化ツール」で かつ「連携型ソフトウェア」が対象です。
ソフトウェアの業務プロセスは2つ以上満たす必要があります。
また、申請額が300万円以上になると、「賃上げ目標」が必須となります。

D類型(テレワーク類型)

D類型は、「非対面化」かつ「クラウド化」の要件を満たすITツールが対象です。
ソフトウェアの業務プロセスは2つ以上が条件です。

IT導入補助金で申請できるITツールの条件

IT導入補助金で申請できるITツールは、事務局が認定したソフトウェアに限ります。
また、次の条件を満たす必要があります。

  1. 生産性の向上、テレワーク等の業務環境改善するソフトウェア
  2. 上記「1」のソフトウェアのオプション
  3. 上記「1」の役務(付帯サービス)

「1」は最低1つのITツールを選択します。「2」、「3」は必要に応じて組み合わせます。
なお、対象は「ソフトウェア」であるため、サーバーやPC、POSレジなどのハード機器は含みません。
ただし、テレワーク用のPCレンタルやキャッシュレス決済端末レンタルであればC・D類型の対象となります。

業務プロセスの種別と内訳

業務プロセスとは、ITツールを利用することで、生産性が向上する項目のことです。
次の業務プロセスを組み合わせて必要な数を満たします。

 種別Pコードプロセス名
業務プロセス共通プロセス共P-01顧客対応・販売支援
共P-02決済・債権債務・資金回収管理
共P-03調達・供給・在庫・物流
共P-04会計・財務・経営
共P-05総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス
業種特化型プロセス各業種P-06業種固有プロセス
汎用プロセス汎P-07汎用・自動化・分析ツール
(業種・業務が限定されないが生産性向上への寄与が認められる業務プロセスに付随しない専用のソフトウェア)
※出典:申請区分について|中小企業・小規模事業者のみなさま | IT導入補助金
https://www.it-hojo.jp/applicant/application-sections.html

複数のソフトウェアを組合せてプロセス数を稼ぐことは可能ですが、同じプロセスの重複は1つとして計算されるのでご注意ください。

【重要】IT導入補助金2021の審査項目

IT導入補助金の審査項目は、法人・個人事業主を問わず、次の項目が審査対象となります。

  • 経営課題を理解し、経営改善に向けた具体的な問題意識を持っているか?
  • 改善すべきプロセスが「ITツール」の機能とマッチしているか?
  • データ分析や共有を取り入れて継続的な事業成長に取り組んでいるか?
  • 国が推進する「クラウド導入」に取り組んでいるか?
  • インボイス制度の導入に取り組んでいるか?

これらの審査項目を満たし、かつ次に説明する「加点項目」を満たすことで採択率が上がりやすくなります。

採択率を上げる加点項目

できるかぎり次の加点項目を取りにいきましょう。

  • 地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を得る
  • 事業計画を策定し賃上げ目標を従業員に表明する
  • インボイス制度対応製品を選定する

この中で特に重要な項目は、「賃上げ目標」です。

IT導入補助金の賃上げ目標とは?

IT導入補助金事業では、ソフトウェアの導入で労働生産性を向上させて、従業員の賃金アップを目指しています。
賃上げの条件は次のとおりです。

  • 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加すること
  • 事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること

将来的に従業員を雇う予定のある個人事業主は、賃上げの事業計画や従業員向けの表明書類、規約を作成し提出します。

※出典:(IT導入補助金)よくある質問 <交付申請について>
https://www.it-hojo.jp/r02/doc/pdf/r2_faq_application.pdf

採択率を下げてしまう減点項目

過去3年間に、次の補助金の給付を受けている場合は、減点の対象となります。

  • 平成29年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業
  • 平成30年度2次補正サービス等生産性向上IT導入支援事業
  • 令和元年度補正 サービス等生産性向上IT導入支援事業
  • 令和2年度補正サービ ス等生産性向上IT導入支援事業

また、類似の補助金も減点の対象となります。過去に交付の経験がある場合は、事務局に確認しましょう。

IT導入補助金は申請から交付までのスケジュール

IT導入補助金は、IT導入支援事業者を通じて申請を行います。ITツールの商談~交付までの流れは次のとおりです。

※出典:IT 導入補助金 まるわかりハンドブック|株式会社内田洋行
https://www.uchida-it.co.jp/its_wp/wp-content/uploads/dl_pdf/ikgaqahkiqddlx141gjih6wafpvwxa6d.pdf

IT導入補助金は、商談を開始し交付されるまで、少なくとも半年はかかります。
また、交付されるまでの費用は全額自分で支払う必要があります。

IT導入補助金の締切日と交付決定日

2021年8月現在、第4次締切分まで公開中です。

A・B類型3次締切分締切日9月30日(木)17:00
交付決定日10月29日(金)(予定)
4次締切分締切日11月中予定
交付決定日12月中予定
C・D類型3次締切分締切日9月30日(木)17:00
交付決定日10月29日(金)(予定)
4次締切分締切日11月中予定
交付決定日12月中予定
※出典:スケジュール | IT導入補助金
https://www.it-hojo.jp/schedule/

2020年度は12月まで募集が実施されました。今年も同様の実施が予想されますが、早期に終了する可能性もあります。
早めの申請をおススメします。

IT導入補助金の申請に必要な個人事業主の書類

個人事業主の申請書類は次のとおりです。

縦並びのテーブル

本人確認書類運転免許証または運転経歴証明書または住民票
事業継続確認書類(1)所得税の納税証明書(その1またはその2)
事業継続確認書類(2)所得税確定申告書B
※出典:交付申請の手引き|サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局
https://www.it-hojo.jp/r02/doc/pdf/r2_application_manual.pdf

履歴事項全部証明書及び本人確認書類は、交付申請提出時点で発行から 3 ヶ月以内のものです。
納税証明書は、納税した領収書ではなく、納税証明書その 1 もしくはその 2 が必要です。

また、確定申告書は、税務署が受領したことが分かるものが対象です。
確定申告書第一表の控えに、収受日付印が押印されていることを確認しましょう。

なお、IT導入補助金の申請後は訂正や差し替えができません。十分に内容を確認のうえで申請しましょう。

申請前に「gBizIDプライム」を取得する

gBizIDプライムとは、1つのアカウントで複数の行政サービスにアクセスできる認証システムのことです。
印鑑証明書を一度提出するだけでIDを取得することができ、補助金の電子申請が無料で可能となります。

登録は次のページからどうぞ。

■GビズID | Home
https://gbiz-id.go.jp/top/

個人事業主がgBizIDプライムの申請する際は、3か月以内に発行された「地方公共団体が発行した印鑑登録証明書の原本」が必要です。

まとめ

2021年度もあとわずかとなり、IT導入補助金の期日も迫ってきました。2021年度IT導入補助金は人気が高く、毎年多くの申請があります。
応募状況によっては、追加募集が中止となる可能性もありますので、できるだけ早めの申請がオススメです。

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