ECサイトをアプリ化すれば売上は上がる?メリット・デメリットと成功のコツ
スマホユーザー増加に伴い、EC業界でもアプリ化の波が押し寄せています。では、とりあえずECアプリを作ればいいかといえば、当然そうではありません。
ECサイトをアプリ化する際のメリット・デメリットを正しくおさえ、計画的にアプリ開発をしないと費用ばかりがかさんで目指す成果が得られないリスクがあります。
本記事では、ECのアプリについて分かりやすく解説していきます。
ECアプリとは?サイトとの違いはある?
ECアプリとは、ECサイトと同じ販売機能を持ったスマートフォンのアプリケーションのことです。
数多くの企業やブランドがEC販売に乗り出している今、少しでもユーザビリティを上げて、顧客との接点を増やすための施策として、ECサイトのアプリ化が注目されています。
代表的なアプリの機能では、スマホならではのプッシュ機能や位置情報機能、カメラ機能などをサービスに活用できますよね。加えて、検索せずにホーム画面からかんたんにアクセスができたり、実店舗で会員カードとして使用できたりするなど、ECサイトよりもさらにユーザーにとってのサイト利用がより便利になります。
現在、国内のスマホ普及率はかなり高い水準にまで達しており、同時に携帯端末からのEC利用の割合も年々伸びてきています。ECサイトのアプリ対応は、時代の流れに即したものといえるでしょう。
ECサイトをアプリ化・開発するメリット・デメリット
ECサイトをアプリ化すると、どのような効果が得られるのでしょうか?反対に、開発するにあたって注意すべき点は?メリット・デメリットをそれぞれ見ていきます。
ECアプリ化・開発のメリット
まず利用者にとって利便性がかなり向上するという点が大きなメリットです。ユーザビリティの向上はリピート購入につながり、結果売上がアップします。
具体的には、操作が軽快になる点。スマホからECサイトを閲覧するとき、Google ChromeやSafariなどのブラウザアプリからアクセスすると、通信の影響でしばしばページ読み込みに時間がかかってしまう場合があります。その点、アプリはパーツをある程度内蔵しているため、比較的通信の負担が少なく快適な操作を実現します。
また、ほかのアプリとの連携が販促効果をもたらすことも。位置情報アプリと連携すればユーザーに近隣店舗をアピールできますし、SNS連携で口コミ発信を期待できます。
そして、実店舗とECサイトの相乗効果を狙うO2Oマーケティングにも役立つのがアプリです。プッシュ通知でクーポンを配布したり、アプリ会員証で店舗と通販の購入履歴を一括管理したりといった施策で、オンライン・オフラインともに顧客へ効果的なアプローチをしかけられるのです。
ECアプリ化・開発のデメリット
アプリ開発には当然コストがかかります。ですが、せっかく開発したアプリでも、ダウンロードされなくては意味がありません。このダウンロードのハードルを越えなくてはいけない点が、アプリ開発のリスクといえます。
ユーザーの多くが、無暗やたらとアプリを端末に入れたがりはしません。ダウンロードをしてもらうためには、すでに顧客が店舗について知っており、かつアプリを使うことのメリットをよく理解していてもらう必要があります。
さらに、アプリ開発で注意しなくてはならないのが、OSごとに開発やアップデートをしなくてはいけないという点。AndroidアプリとiOSアプリ、それぞれで対応することになるので、手間とコストが発生します。
そのほかにも、Apple StoreやGoogle Playなどのアプリストアを通してアプリを配信する際は審査や手続きが必要となります。
大手ECサイトのアプリ導入・成功事例
すでに多くの有名サイトが、ECアプリのリリースをおこなっています。ジャンルごとにその導入・成功事例をご紹介します。
【モール】Amazonアプリ
世界トップクラスのECモールであるAmazon。アプリからの利用者数も非常に多いです。
Amazonアプリでは、セール情報や商品の配送状況をプッシュ通知でユーザーに届けています。
そのほか、商品を音声やスキャン画像から検索できるなど、スマホならではの機能と連携したサービスでユーザビリティを向上。商品画像を長押しするとその商品を欲しいものリストに追加できる機能も、アプリだからこそ実現できるサービスです。
【モール】楽天市場アプリ
Amazonと同じく大手ECモールの楽天市場もアプリをリリース済み。楽天ポイントの還元率の高さやグループ内別サービスとの連携で、多くの顧客の囲い込みに成功しています。
アプリでは、商品バーコードのスキャンで最安値ショップを探せたり、お気に入り商品の値下げ・再入荷商品がプッシュ配信されたりなどといった機能を搭載。また、提携している店舗でアプリ画面を提示するとポイントが当たる企画に参加できたりといった、ポイ活(ポイントを集めて買い物時の割引に使ったり、商品と交換したりして節約をすること)ユーザーにとってもうれしいサービスが充実しています。
【ファッション】UNIQLO(ユニクロ)アプリ
ファストファッションの王者UNIQLOは、全国に展開する店舗と公式オンラインショップのオムニチャネル化で顧客体験の向上に成功していますが、その鍵を握っているのが公式アプリの存在です。
アプリには会員証機能があり、店舗の無人レジでスキャンすると購入商品の履歴を残すことができます。会員証のIDは通販サイトとも共通のため、どちらで買っても購入履歴をアプリから確認可能。
また、位置情報サービスと連携してユーザーの近くの店舗のセール情報をプッシュでお知らせするなど、店舗送客効果も担っています。
さらに、ユーザーのアイテム探しにも役立つサービスがあります。自分の体のサイズをアプリに登録しておくと、試着なしでもあうサイズの服を見つけられるのです。そのほか、コーディネートを紹介するコンテンツもあり、着こなしの参考を得られます。
【ファッション】ZOZOTOWNアプリ
取り扱いブランド数8,000以上のファッションECモールZOZOTOWNも、アプリから利用するユーザーが多いです。
商品やブランドをお気に入り登録しておくと、値下げやセールの情報をプッシュでいち早く届けてくれます。
また、商品の検索機能も充実。ブランド名やアイテムカテゴリだけでなく、カラーや袖の長さ・デザイン・素材などで絞込み検索が可能です。すでにZOZOTOWNで買い物をしたことがあれば、持っているアイテムと欲しいアイテムでサイズの比較ができる機能も便利です。
【コスメ・雑貨など】無印良品(MUJI passport)アプリ
シンプル志向のコスメや雑貨、食品の販売などで人気の無印良品のアプリは、実店舗への来店促進に貢献しています。
アプリではマイルを貯めることができるのですが、これが実店舗・オンラインショップでの買い物だけでなく、来店でも加算されるのです。ほか、商品に関する情報や、ユーザーがフォローするお気に入り店舗の情報をプッシュで通知。店舗に足を運びたくなる工夫が施されています。
ECアプリの制作・開発費用は?
それでは、実際にアプリをリリースするのにはどれくらいの費用がかかるものなのでしょうか?アプリの種類ごとにみてみましょう。
WEBアプリ
WEBアプリとは、インターネット上で使えるアプリのことです。利用する際はスマホにはダウンロードせず、Google Chromeなどのブラウザ上でアクセスします。YouTube・Gmail・SkypeなどがこのWEBアプリの一種です。
費用は約30万円~。ほかの種類に比べて安く、開発もしやすいです。ただ、使用感としては通常のECサイトと大差なく、プッシュ通知の配信などアプリならではの機能は制限されます。ですが、その代わりダウンロードしなくても使える、OSごとの対応が必要ないなどのメリットもあります。
ネイティブアプリ
アプリと聞いて多くの人が思い浮かべるのがこのネイティブアプリではないかと思います。App storeやGoogle Playで配信されているもので、各端末にダウンロードして使用されます。動作ははやく、オフラインであっても機能の一部を使用可能。スマホならではの機能が使えるなどのメリットがあります。
こちらは開発費用が約100万円~。コストはかなりかかります。また、アプリストアで配信すれば多くの人にダウンロードしてもらえる可能性が高まりますが、それには厳しい審査基準をクリアする必要があります。
ハイブリッドアプリ
ハイブリッドアプリはWEBアプリとネイティブアプリ、それぞれの特徴をあわせもったアプリのことです。
基本的にはネイティブアプリと同様に端末にダウンロードして使用しますが、たとえば一部のページはネットにアクセスしてWEBアプリとして使用するなど、ところどころ主要な部分はWEBアプリの形をとっています。
費用は約10万円~と、開発費用を抑えることが可能です。動作は少々遅くなりますが、OSごとにメンテナンスを分ける必要がなく、かつカメラ機能や位置センサーとの連携も可能といったメリットがあります。
ECアプリを成功させるための戦略や工夫のポイント
それでは、いざ実際にアプリを開発した際、うまくその効果を得るためにはどうすればよいのでしょうか。いくつか抑えておきたいポイントをご紹介します。
アプリをダウンロードさせる導線を確保
まず、顧客にアプリをダウンロードしてもらわないことには始まるものも始まりません。
ネイティブアプリの場合、ユーザーの多いApp storeやGoogle Playといったアプリストアで配信するのがおすすめ。ただし、再三お伝えしているとおり、それには審査を通る必要があります。
そのほかのプロモーションとしては店頭のPOPや配布チラシにアプリのダウンロードQRを掲載したり、ECサイトに掲示したりなど。SNSを使った告知も有効でしょう。
軽く使いやすいアプリの開発
スマホユーザーが過半数を占める現在、スマホアプリは一般消費者の日常に浸透しています。あらゆる場面でアプリダウンロードを求められることが多く、スマホ自体が重たくなってしまうので、ユーザーは使えないと判断したアプリはすぐにアンインストールしてしまいます。
操作したとき使いにくい、起動に時間がかかるといった難点のアプリは、落とされてしまう可能性があります。ユーザビリティ向上のため、軽くて使いやすい操作性を維持してください。
顧客との接触回数を増やす、利用率アップ施策
アプリの活用メリットとして、ECや実店舗のみの運営より顧客との接触機会を格段にアップできるというものもあります。
基本的に顧客との接点は多ければ多いほど販促には有利とされています。そのためにプッシュ通知などを積極的に利用しましょう。ちなみに、プッシュ通知の開封率はメルマガの3~5倍といわれています。
ただし、あまりに多すぎても煩がられて通知をオフにされてしまいかねませんので、配信する内容とタイミングはよく検討しましょう。
また、アプリ自体に更新性のあるコンテンツを配置するのも効果的です。そうすることで、ユーザーは買い物以外の目的でもアプリを開いてくれるようになる可能性があります。
アプリからECサイトへの導線の確保
ECサイトのアプリ化といっても、一般的な手法はアプリからWEB上のオンラインショップに遷移させるというもの。なぜなら、アプリ上でショップサイトを構築するのには非常に高いコストがかかる割に得られるメリットが少ないのです。それどころか、WEB上のサイトと二重管理になってしまうというデメリットすらあります。
なので、よほど大規模なサイトでないかぎり、アプリからECサイトに遷移させたり、アプリでWEB版のECサイトを表示させたりします。この誘導をいかにスムーズにするかが成功のキーポイントです。
なお、ECサイトとアプリを連携するには、顧客管理やポイント管理といったシステム連携の開発が必要となります。
アプリ開発の前段階で悩んだら?
前述のとおりECアプリにはメリット・デメリットがあり、やみくもに開発をしてもコストだけかかって目指す成果が得られないリスクがあります。
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まとめ
他社の成功事例や導入エピソードを見ていると、アプリ活用による効果への期待値が高まってきますよね。今はまだ大手の例ばかりが目立ちますが、今後はさまざまな規模の企業やブランドでのアプリ活用事例が増えていくと思います。
もしECサイトを運営しているのであれば、ぜひこの記事を参考にアプリ開発も検討してみてはいかがでしょうか。