【初心者向け】ABMとは?導入方法や手法・活用のコツを詳しく紹介!

ABMはマーケティング手法のひとつですが、とりわけBtoB大手企業に定評があります。ABMは顧客利益を最大化させるために効果を発揮しますが、どの企業でも効果が期待できるわけではありません。今回はABMの基礎知識を中心に、手順や活用のコツについてご紹介します。

ABMはマーケティング手法のひとつですが、とりわけBtoB大手企業に定評があります。ABMは顧客利益を最大化させるために効果を発揮しますが、どの企業でも効果が期待できるわけではありません。今回はABMの基礎知識を中心に、手順や活用のコツについてご紹介します。ぜひ最後までご一読ください。

ABM(Account Based Marketing)とは?

ABMはAccount Based Marketing(アカウント・ベースド・マーケティング)の略称であり、BtoB企業におけるマーケティング手法のひとつです。自社にとって優良顧客となるターゲットを”アカウント(具体的な企業・団体)”として選び、攻略方法を分析します。最終的に、アカウント群からの売上を最大化することを目標に取り組みます。

ABMは20年前に提唱されたモデル

ABMはアメリカの経営やマーケティング組織「ITSMA」が提唱したのがはじまりと言われています。ITSMAのABMを次のように説明しています。

  1. 顧客となる個別の企業とそのニーズに焦点を絞る
  2. 社内の営業や企画、マーケティングの垣根を超えて協力する
  3. 顧客企業のビジネスゴールを達成する

ABMは2003年に提唱された手法ですが、当時の注目度はイマイチ高くありませんでした。理由は膨大な顧客情報や分析データを、営業やマーケティングの部門を超えて共有するのはコスト的に困難だったためです。

ここ数年でABMが注目されるようになった大きな要因は、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援)、CRM(顧客管理)のツールが急速に発展し、低コストで活用できるようになったためです。ツールの進歩で個々のアカウントへワン・トゥ・ワンのコミュニケーション(One to Oneマーケティング)が行えるようになったのです。

これまでのマーケティングとABMの違い

これまでのマーケティングは、マーケット全体に対してアプローチする手法でありましたが、ABMは具体的なアカウント(顧客企業)に焦点をあてアプローチする点に違いがあります。

従来のマーケティングを漁業で例えるなら「地引網」型であり、魚の種類を問わず一気に捕まえる手法でした。一方でABMは「マグロの1本釣り」型であり、針の大きさやエリア、時期を全てマグロに照準を当てます。マグロ1本釣り漁は、マグロ以外の魚を捕らえることはできませんが、地引網型よりも確実にマグロを釣ることができます。

ABMとデマンドジェネレーションの違い

デマンドジェネレーションとは、見込み客を集めセミナーなどを通して育成し、関心度の高い客を営業部門へつなぐマーケティング手法です。ABMとの違いを比較すると次のとおりです。

ABMデマンドジェネレーション
目標アップセルやクロスセルを含んで顧客の売上を最大化する見込み客を獲得し営業部門へバトンをつなぐ
施策事前にターゲット企業別の施策を設計し実行する見込み客からの反応を待ってから行動・実行する
担当者マーケティングと営業が供に活動マーケティングのみ
施策のクオリティ量>質質<量

デマンドジェネレーションは不特定多数のターゲットにアプローチするのに対して、ABMはアプローチする前にターゲットがすでに決まっている点に違いがあります。

なお、デマンドジェネレーションに近しい手法にLBM(リードベースドマーケティング)があります。LBMはユーザーの位置情報に合わせて情報を配信する手法であり、幅広い見込み客へアプローチを行います。 

ABMが注目を集めている理由

ここ数年でABMの注目度は上がっております。理由は次の3つです。

  • マーケティングツールの進化
  • LTVを向上させて事業の安定化を図る
  • 事業部のチームワークを最適化

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

マーケティングツールの進化

マーケティングにおいて、「One to Oneのコミュニケーション」の優秀さは昔から知られていましたが、膨大な分析データや顧客情報を集約し施策するのは、コスト的にも労力的にも現実的ではありませんでした。

その壁を打破したのがツールの進化です。CRM(顧客管理システム)や、マーケティングオートメーション(MA)、SFAといったマーケティングツールが進化し、低コスト&低労力でABMが実現できるようになりました。豊富な機能を搭載するマーケティングツールは、ABMに取り組みやすい環境を整えてくれました。

LTVを向上させて事業の安定化を図る

LTV(Life Time Value)とは「顧客生涯価値」のことであり、顧客が自社サービス・商品を利用して終了するまでの期間に得られた利益を表す指標です。

新規顧客に販売するコストは、既存顧客に販売するコストの5倍かかると言われます。コロナ禍を経てオンライン商談や営業は幅広い業界で浸透しましたが、オンラインはオフラインより新規顧客の獲得が難しい実情があります。LTVを向上させることで事業収益を安定化させることが期待できます。集客コストを下げつつ売上アップを目指すことが可能となり、かつ顧客満足度を高めることも期待できます。

事業部のチームワークを最適化

従来のマーケティング手法は、営業部門とマーケティング部門が分かれていたため、お互いに何をやっているのか進捗が把握しづらい側面がありました。ABMは部門を超えて横断的に関わるため、必然的に縦割りではないスムーズな組織運営が求められます。結果的に作業効率がアップし、顧客においても「かゆいところに手が届く」満足度の高いサービスを得ることができます。ABMの実践をすることで事業部間の連携強化が期待できます。

ABMを実施する5つのステップ

ABMの手順は次のとおりです。

  1. アカウント企業・団体を選定する
  2. アカウント企業のキーパーソンを洗い出す
  3. キーパーソンへ訴求するメッセージを考える
  4. ターゲットへのアプローチを把握する
  5. キーパーソンへアプローチする
  6. 効果検証を行う

詳しく見ていきましょう。

1.アカウント企業・団体を選定する

ABMの実践において、最も重要なのがアカウント企業の選定です。選定のポイントは次のとおりです。

  • 成長産業に属する企業
  • 取引単価が大きい企業
  • LTVが高い企業
  • クロスセル・アップセルが期待できる企業

ABMは時間と労力がかかる手法なので、最初のターゲット選定を誤るとすべてが台無しになります。自社にとって優先度の高いアカウント企業をピックアップしましょう。選定に際してマーケティング分析はもちろん、営業部門や経営陣を含めてディスカッションすることも大切です。数社ピックアップしたあとは、自社の経営戦略と照らし合わせて、優先度の高いアカウントを選びましょう。

2.アカウント企業のキーパーソンを洗い出す

アカウント企業が決まれば、次にアカウント企業内で商品やサービス導入の決定にかかわるすべてのキーパーソンの情報を取得します。最初に社内にある顧客管理データの中を集約し、キーパーソンの部門や役職を整理します。もちろん大手企業ほど意思決定にかかわるキーパーソンは複数いるので、現時点で接点が「ある」「なし」を分別しましょう。

接点が無いキーパーソンに対しては、接点の持ち方を検討します。接点をもつ方法として、テレマーケティングやDM、セミナーなどがあります。

3.キーパーソンへ訴求するメッセージを考える

キーパーソンに対して、成約につながる「刺さるメッセージ」を考えましょう。成約に至るまでの課題や、検討するプロセスを整理し、それぞれのフェーズでメッセージやコンテンツを用意します。刺さるメッセージを効率的に分析するには、SFAツールを利用して以下の「BANT情報」を読み解きましょう。

  • Budget(予算)
  • Authority(決裁権)
  • Need(ニーズ)
  • Timing(タイミング)

例えばBudget(予算)が少ない場合、異なる商材の提案や、Timing(タイミング)時期が未定であれば、導入に向けて伴走することが考えられます。また、BANT情報は営業部門に情報がある場合が多いので、連携しながらメッセージを構築しましょう。

4.ターゲットへのアプローチを把握する

キーパーソンがどのような情報源を重視し、どのチャネルで情報収集しているかを把握します。メールや電話といった直接的な接触だけでなく、ウェビナーや業界イベント、SNS、専門メディアなど、複数のタッチポイントをマッピングしましょう。ターゲット企業の「自然な情報接触の流れ」を理解したうえで、どのチャネルからアプローチすべきか優先度を決めることが大切です。

5.キーパーソンへアプローチする

これまでの手順で「いつ」「誰に」「どんなメッセージを送るか」が明確になれば、いよいよキーパーソンへアプローチを行います。ここまでの作業でキーパーソンの特定が完了しており、的を絞ったアプローチが可能となります。

直接手紙や電話アポ、キーパーソンがよく見る専門誌などの出稿が有効です。また、ネット広告においては業種やエリアなどをセグメントすることで、ピンポイントにアプローチが可能となります。

6.効果検証を行う

これまで検討したアプローチを実行し成果を測定しましょう。測定では下記のような指標をもとにエンゲージメントが高まっているかを測定します。

  • 新規アカウントの新規顧客を獲得できているか
  • 商談の回数が増えているか
  • 既顧客のLTVが高まっているか
  • キーパーソンとの接触回数は増えているか

MAツールを活用してエンゲージメント率を効率的に計測しましょう。想定どおりの効果が得られていない時は、原因を究明し新たな施策を実行します。仮説⇒実行⇒測定⇒行動のPDCAを早く回転させることで成果の向上が期待できます。

ABMを導入するメリット

ABMを導入する利点について、詳しく見ていきましょう。

コストを削減しROIの向上が期待できる

従来のマーケティング手法では、幅広い見込み客に対してアプローチを行うため、ROI(投資利益率)が低くなりやすい傾向にありました。ABMにおいては、ターゲットが明確であるため、ピンポイントで投資し成果を上げることができます。人材と予算のリソースを集中させることでコストカットし、安定した高利益を期待できます。

顧客に合わせた施策が行える

営業電話を例にあげると、日常的に「広告」や「求人」の電話がかかってきますが、キーパーソンに電話を繋いでもらえる割合はとても低いですよね。キーパーソンが誰なのか?実際に広告や求人を欲しているのか?という情報が無いまま営業をするため上手くいかないのです。ABMはターゲットを絞って企業分析やマーケティングを行います。個別の見込み客に応じたメッセージをベストなタイミングで訴求するため、高い関心を得ることができます。

PDCAを高速に回せる

アカウント企業やキーパーソンを事前に決めて実施されるABMは、施策のスピードが飛躍的に向上します。素早く施策を実行することで検証結果がスピーディに得ることができます。変化の激しい業界においてスピードは命。無駄なく的確な施策で、PDCAの高速化を実現します。

組織全体が連携して取り組むことができる

従来のマーケティング手法は、営業部門とマーケティング部門がバラバラに施策を実施していましたが、ABMは必然的に共通の施策として取り組みます。お互いに情報共有が円滑になり可視化されることで、施策の質とスピードを上げることができます。結果としてサービスの質も向上するため、顧客満足度を高められます。

ABM導入のデメリット

続いてABMの欠点を詳しく見ていきましょう。

複数の商材がないと効果は出しづらい

ABMはLTV(顧客生涯価値)を最大化する目的で実施します。ターゲットから得られる売上を最大化させるには、クロスセルやアップセルは欠かせません。自社の商材が少ないケースにおいては、ABMの効果は期待できません。

営業・マーケット部門の連携がうまくいかないと成果がでない

サッカーや野球を例にすると、相手を分析し優れた戦術を練り上げたとしても、チームワークが悪いと勝つことはできません。ABMにおいても、高度なMAやSFAツールを駆使したとしても、現場で動くのはロボットではなく人間です。連携がうまくいかないと成果が出る前に挫折してしまうことがあります。

導入に時間がかかる

ABMのターゲットは「取引単価が高い企業」がメインとなります。予算が高い企業は中堅・大企業が多く、かつ予算が高いほどキーパーソンは複数人います。ABMに取り組んでから実際にアプローチをするリードタイムに加えて、ターゲット企業の予算請求や稟議をとおすリードタイムも加わるため、成果がでるまで年単位の歳月がかかります。

ABMの導入に向いている企業

これまでの説明でABMを導入できる企業が何となく分かった方もいるかとおもいます。あらためて導入に向いている企業を整理してみると、次のとおりです。

  • 企業規模が大きい会社
  • 顧客単価が高い
  • 複数の商材を保有している
  • 顧客管理やMAツールを導入している
  • 営業担当者が複数名いる

ABMは汎用的なマーケティング手法ではありません。手法が合う企業と合わない企業がはっきり分かれます。自社サービスとマッチするかしっかり検討することが重要です。

ABMの代表的なツールと費用相場

最後に、ABM実践に欠かせない「MA」「SFA」「CRM」ツールの代表例をご紹介します。

リード獲得→育成→商談→アップセルのフェーズにおいて、それぞれのツールを用いります。

ABMの代表的なツールと費用相場

それぞれ特徴と費用感を見ていきましょう。

MAツール

MA(マーケティングオートメーション)は、マーケティング活動を自動化できるツールです。見込み客獲得から商談に至るまでを可視化できて効率アップします。代表的なツールは以下のとおりです。

ツール名月額費用(税込)特徴
BowNowo円~36,000円今すぐ始められる完全無料のフリープランがある
Hubspot Marketing hub5,400円~CRMが無料で利用可能
List Finder0円~79,800円BtoB向けの基本機能を低価格で提供

SFAツール

SFA(Sales Force Automation)は営業支援ツールです。顧客情報や営業ステータスの一元管理や共有ができ、案件管理や顧客管理などを効率化、自動化ができます。代表的なツールは以下のとおりです。

ツール名月額費用(税込)特徴
Salesforce Sales Cloud3,000円~36,000円競合相手やパートナー企業の情報などを一元管理できる
Senses27,500円~チームメンバーの行動を時系列で確認できる
Zoho CRM1,680円~6,240円画面デザインを自由にカスタマイズが可能

CRMツール

CRM(ustomer Relationship Management)は顧客関係を管理するツールです。顧客満足度や信頼度を向上させて収益アップを目指すためのものです。代表的なツールは以下のとおりです。

ツール名月額費用(税込)特徴
UPWARD3,800円~スマホで簡単に使える
Knowledge Suite50,000円~簡単3ステップで営業日報データを蓄積できる
Sansan要相談名刺管理をはじめとするさまざまな機能あり

まとめ

コロナ禍以降は、オンラインでの商談やセミナーが増え商談を増やすハードルは以前より上がっております。営業担当の経験値やカンに頼ることなく、ターゲットごとに最適なアプローチができるABMは現代にマッチした手法です。ただし、企業タイプによっては相性が合わないケースもあります。むやみにABMに飛びつくことはせず、自社のビジネスモデルやターゲットにマッチしているか慎重に判断しましょう。

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