バーチャル試着システムがECサイトにもたらすメリットとは?システムの種類や導入事例を解説

従来のECの課題の一つに、試着ができないという点が挙げられます。
サイズ感や素材が画像だけだと分からない為、一部のユーザーには避けられてきました。
バーチャル試着とは、実際に店頭に行くことなく服の試着ができるサービスで、デバイスを使用し、その場で服を着ているかのような感覚を味わえます。
企業側と消費者側で2つの側面のメリットや事例を見ていきましょう。

バーチャル試着とは

バーチャル試着とは、実際に店頭に行くことなく服の試着ができるサービスです。
デバイスを使用することで、その場で服を着ているかのような感覚を味わえます。
試着はすべてデータ上でおこなうため、着替えの手間を減らし複数の服を着ることが可能で、バーチャル試着を利用すれば、店舗で試着するのが気になる服やネット限定で販売されている服の試着ができます。
バーチャル試着は、大人・子供に関係なく利用できるサービスですので、試着が苦手な子供に関しても、スムーズに試着可能です。

バーチャル試着をする企業のメリット

企業がバーチャル試着をおこなうメリットは以下の2つです。

  1. ECサイトでの売上向上
  2. 実店舗の試着室縮小によるコストダウン

ECサイトでの売上向上

従来のECサイトでは、試着ができない点が最大のデメリットでした。
サイト上では、複数サイズの用意やさまざまな角度から撮影した写真を掲載することで、ユーザーがより購入しやすくしています。
しかし、実際に試着してみなければ服のフィット感や具体的なイメージがわかないため、一部のユーザーにはECサイトでの購入が避けられていました。
バーチャル試着であれば、服を着た際のサイズ・フィット感をリアルに確認できるため、今までECサイトでの購入を避けていたユーザー層の獲得が可能になります。

実店舗の試着室縮小によるコストダウン

実店舗の試着室が完全になくなることはありませんが、将来的にバーチャル試着が普及することで、実店舗の試着室が縮小される可能性が高いです。
バーチャル試着では、鏡さえあれば利用できるため、試着室を必要とすることはありません。
そのため、今まで場所を取っていた試着室を減らして、新たなスペースとして活用できます。
店舗自体を小さくすることで実店舗運営コストを下げることもできるでしょう。
また、自宅でバーチャル試着をおこなった商品を店舗で購入してもらうといった施策が可能です。

バーチャル試着をする消費者のメリット

消費者がバーチャル試着をおこなうメリットは以下の2つです。

  1. 家の中でも簡単に試着できる
  2. 試着にかけていた時間を削減できる

家の中でも簡単に試着できる

ECサイトの最大のデメリット同様、消費者側もネット上で好みの服があったとしても、試着でき点を考えて購入していないことが多いです。
バーチャル試着を利用すれば、家の中でも簡単に試着ができるため、ECサイトで服を購入する際の心配はありません。
あらかじめ採寸しておけば、ブランドごとに異なるサイズにも対応しているため、スムーズに試着可能なため、ECサイトでも快適に服の購入ができるでしょう。

試着にかけていた時間を削減できる

気になる服が複数ある場合やウェディングドレスなどの試着に時間がかかってしまう服に関しても、バーチャル試着を利用すればすぐに試着可能です。
普通の服に関しても何着も試着していると時間がかかってしまい、疲労も感じてしまいますが、バーチャル試着であれば、時間を削減して疲れを感じることなく試着を続けられるでしょう。

バーチャル試着システムの種類

主なバーチャル試着システムは以下の5つです。

  1. サイネージタイプ
  2. スマホアプリタイプ
  3. ボディスーツタイプ(ZOZOスーツ)
  4. バーチャルモデルタイプ(ZOZOディープフェイク)
  5. サイズ比較ツールタイプ

サイネージタイプとは

サイネージタイプとは、電子看板を使用してバーチャル試着する方法を指します。
電子看板の前に立つだけで試着イメージが表示されるため、実物の衣服を手にすることなく手軽に試着シミュレーションが可能です。
また、バーチャル試着として利用しない際は、通常の鏡として使えるためイベント性も高く、混雑時も効率的にショッピングできることから、実店舗向きのバーチャル試着システムといえるでしょう。

スマホアプリタイプとは

スマホアプリタイプとは、スマートフォンを使用してバーチャル試着をおこなうことを指します。
あらかじめ自身の全体写真を撮影しておくことで、鏡以上に客観的に試着姿を確認できるため、場所を選ぶことなく好きな場所・好きな時間に試着を楽しめるでしょう。

ボディスーツタイプ(ZOZOスーツ)とは

ボディースーツタイプとは、「ZOZOスーツ」と呼ばれる黒を基調としたボディースーツを実際に着ることで、あらかじめ体の細かい部分まで採寸をおこないます。
ZOZOスーツの中には伸縮センサーが内蔵されているため、採寸はすぐに完了しBluetoothを利用することで、すぐにスマートフォンへデータを送付可能です。
細かい採寸が完了することで、自身の体にフィットする商品を選択できるため、ECサイト利用中もサイズの問題で悩むことはありません。
また、ZOZOスーツは送料込み200円で利用が可能です。
今までには無いバーチャル試着体験とコストの低さから消費者の注目を集めているサービスといえるでしょう。

バーチャルモデルタイプ(ZOZOディープフェイク)

バーチャルモデルタイプとは、「ZOZOディープフェイク」と呼ばれる技術を用いて、3Dモデルの顔と実際の人物の顔を入れ替えるシステムです。
ZOZOはディープフェイク技術を用いて、4人組ファッションモデル「Drip」を誕生させ、インスタグラムなどのSNS上で活動させています。
ディープフェイク技術を応用することで、自分の顔をネット上に表示させ、バーチャル試着体験が可能です。
実際に「Drip」は実在する人物を元にAIと人物画像合成技術を使用することで、実現しています。
また、近い将来ですが前述しているZOZOスーツと組み合わせることで、体型と・顔をCGで新たに作り出し、顧客一人ひとりに合った試着体験を提供できるでしょう。

サイズ比較ツールタイプ

サイズ比較ツールタイプとは、自身の体の情報を専用システムに入力することで自身に近いシルエット作り出し、閲覧している商品を自由に試着できるシステムです。
ヒートマップ技術を用いることで、オンライン試着では難しかった試着した際の体と服のシルエット比較が可能になりました。
実際に「バーチャサイズ」では、サイズ比較ツールタイプのバーチャル試着システムを提供しています。
スマートフォン上で、自身のシルエットを元に試着したシーンを確認したり、フィット感・サイズ感もサイズ比較しながらショッピングが楽しめるようになっています。

バーチャル試着システムの導入事例

渋谷パルコ

渋谷パルコは、2019年のリニューアルオープンと同時に5階の「PARCO CUBE」にて、サイネージタイプの「FXMirror」と呼ばれるバーチャル試着システムを導入しています。
FXMirrorでは、サイネージ上に利用者のアバターを生成することで、バーチャル試着が可能です。
店頭に置いてある商品はもちろんのこと、店頭には無い商品や予約・ネット限定商品に関しても、サイネージを利用することでバーチャル試着を可能としています。
また、専用アプリと連携させることで、アプリ内でのバーチャル試着も可能です。
大人だけではなく子供にも対応しているため、試着が苦手な子供に対してもスムーズにイメージの確認をおこなえます。

JINS

JINSとは、メガネの研究開発から生産・販売まで一貫して対応しているメガネブランドです。
JINSでは、メガネ専用のバーチャル試着システムを導入しており、公式ECサイトで利用できます。
ECサイトから「WEBカムで撮影」もしくは「写真ファイルをアップロード」することで、メガネのバーチャル試着が可能です。
実際に試着してみないと似合っているのか判別しづらいメガネですが、JINSのバーチャル試着を利用することで、自分に似合っているのかを確認できます。
また、JINSのバーチャル試着システムでは、メガネの似合い度合いをAIが「マッチ度」として判定してくれます。
自身が気に入ったメガネがあれば、ECサイト内からそのまま購入できますので、スムーズにメガネの購入ができるでしょう。

PayPayモール

PayPayモールとは、ヤフー株式会社が運営しているモール型ショッピングサイトです。
スマホアプリ専用にはなりますが、PayPayモールで販売している1,000点以上のメガネ、55,000点以上のイヤリング・ピアスのバーチャルフィッティングが可能です。
自身の顔写真を撮影した後は、自分が試着したい商品の形・色を選択することでスマートフォン上に試着画像が表示されます。
メガネを選択した際は、自身の顔の輪郭とメガネの相性度をパーセンテージで表示してくれる「相性診断」が存在します。
バーチャルフィッティングした商品は、その場で写真撮影やSNSへの投稿も可能です。
相性診断をおこなった後は、相性度の高い商品がおすすめとして表示されるため、自分に合った商品の購入ができます。

SHOPLIST

SHOPLISTとは、服や小物などを数多く取り扱っているファストファッション通販サイトです。
iOSスマホ専用アプリ内にて、bodygramと呼ばれるバーチャル試着システムを採用しており、4つの情報入力と2枚の全身写真だけでバーチャル試着を可能にしています。

必要な4つの情報は以下の通りです。

  • 身長
  • 体重
  • 性別
  • 年齢

全身写真を2枚撮影するだけで、登録が完了します。
bodygramを使用してショップ内の商品を試着可能となり、気にいる商品があればその場で購入可能です。
サイズ感に関しても細かく確認できるため、安心して商品購入まで進められます。
また、レコメンド機能が備わっているため、採寸データを元にユーザーに最適な商品をおすすめしてくれるので、自分にフィットする商品をすぐに見つけ、購入できるでしょう。

まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございました。
バーチャル試着システムは、販売者・消費者共にメリットが大きいシステムです。
また、ARや通信技術の発達により、バーチャル試着システム自体が実現可能になったため、上記で紹介してい4社以外にも導入する事業者が増えてくると予想されます。

そのため、コストはかかりますが、いち早くバーチャル試着を導入することで他のアパレルブランドと差別化した運営が可能です。
今後さらに注目の集まる技術ですので、今回紹介しているバーチャル試着システムを試してみてはいかがでしょうか。

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