SWOT(スウォット)分析とは?やり方を事例とあわせて詳しく解説!

SWOT分析とは、自社の強みや弱みなどを内面・外面から分析するフレームワークです。マーケティング分析では「3C分析」や「PDCA」などが有名ですが、SWOT分析も代表的な存在です。ビジネスパーソンなら一度は聞いたことがあるSWOT分析ですが、具体的な分析方法を知らない方も多いですよね。今回はSWOT分析の基礎知識から、具体的な作成方法までわかりやすくご紹介します。最後までご一読ください。

SWOT分析とは

SWOT(スウォット)分析は、自社や事業の強みや弱みを分析するためのフレームワークです。自社を取り巻く「外部環境」と資産やブランド力などの「内部環境」をわけて分析をおこないます。

自社の状況を強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つの項目を整理し分析することから、頭文字をとってSWOT分析と呼ばれています。

「彼を知り己を知れば百戦殆からず」

孫子の有名な格言ですが、まさに彼(外部環境)を知り己(内部環境)を知るための手法がSWOT分析です。事業を成功させるためには、敵の実力や状況をしっかり把握すること。そして自分自身の身の丈をしっかり把握することで、どんな戦いにも勝てる。時を経てナポレオンも、この格言を座右の書にしたことは有名ですが、SWOT分析は古来より重宝されてきた手法であると言えるでしょう。

SWOT分析の目的・解決できること

SWOT分析をおこなうことで、次の課題の解決策やヒントの導きが期待されます。

  • 現状で抱える問題点や課題を明確にする
  • 問題点や課題を改善するヒントを出す
  • 事業が成功できるか否かを判断する
  • 将来に起こりうる脅威を把握する

SWOT分析のフレームワークを使うことで、課題や脅威を整理することができます。

SWOT分析のやり方は?

SWOT分析では、自社の資産や環境などの「内部環境」と、自社を取り巻くさまざまな要素の「外部環境」の2カテゴリーにわけて分析をおこないます。

  • 「外部環境」→Opportunity(機会)・Threat(脅威)
  • 「内部環境」→Strength(強み)・Weakness(弱み)

プラスの要因とマイナスの要因を分類した4つの項目について分析をおこないます。それぞれの項目を詳しく解説します。

外部環境(機会・脅威)を分析する【O・T】

外部環境は内部環境に影響されている可能性が高い項目です。まずは外部環境である「Opportunity(機会)」と「Threat(脅威)」から分析をはじめると効率的。たとえば地酒を販売する酒専門ECを例にとってみましょう。

【Opportunity(機会)】

  • 地方の蔵元がTV番組で紹介され話題になっている
  • 海外の日本食ブームで日本酒が注目されている
  • 有名ユーチューバーが地酒を紹介してくれた
  • コロナ禍でECサイトの需要が高まっている

【Threat(脅威)】

  • 健康志向で酒離れが進んでいる
  • ノンアルコール市場が伸びている
  • 日本酒好きなのは高年齢層なので今後需要が減る
  • 競合他社のECサイト出店が増えている

Opportunity(機会)は、メディア紹介などの大きなチャンスだけではなく、小さな口コミであってもチャンスにつながる要因です。

Threat(脅威)は世論や流行といった外部要因であり、自社努力では対処しきれない部分です。脅威をしっかり分析することで新しいビジネスチャンスが切り開かれます。

内部環境(強み・弱み)を分析する【S・W】

次に自社の強み(Strength)と弱み(Weakness)を分析します。先ほどと同じく酒専門ECを例にみてみましょう。

【Strength(強み)】

  • 酒蔵に歴史があり知名度がある
  • 高単価の日本酒が多い
  • 観光地の近くに酒蔵がある
  • 酒造の熟練職人がいる

【Weakness(弱み)】

  • ECサイトの集客力が弱い
  • ECサイトで販売できる商材が少ない
  • ECサイトに関わるスタッフが不足している
  • 粗利率が低い

強み(Strength)は、目標達成に貢献する要因です。一方で弱み(Weakness)は目標達成する際に障害となる部分です。強みを最大限に生かして、かつ弱みをどの程度カバーできるかを見きわめる判断材料になります。

「クロスSWOT分析」でやるべき戦略を可視化する

SWOT分析では内部環境と外部環境の両方から現状を把握することができますが、「具体的にどうすれば良いか?」の答えにはつながりません。

そこで、SWOT分析で洗い出した「強み」「弱み」「機会」「脅威」をそれぞれ掛け合わせる(クロス分析)ことで、やるべき戦略が明確になります。

4つのクロス分析について、詳しく見ていきましょう。

SO戦略(強み×機会)

SO戦略は、強みと機会を最大化させるための戦略です。

  • 強み:観光地の近くに酒蔵がある
  • 機会:海外の日本食ブームで日本酒が注目されている

酒専門ECサイトを例に上記のクロス分析をした場合、「海外ユーザー向けに地元の観光地を紹介しインバウンド集客を見込む」などがSO戦略になります。

WO戦略(弱み×機会)

WO戦略は「弱み」を最小化し、「機会」を最大化する戦略です。たとえば、

  • 弱み:ECサイトで販売できる商材が少ない
  • 機会:コロナ禍でECサイトの需要が高まっている

というケースでは、「商材を増やしてEC需要の波に乗る」というWO戦略が考えられるでしょう。

ST戦略(強み×脅威)

ST戦略は「強み」を最大限に活用して、「脅威」を最小化する戦略です。たとえば、

  • 強み:酒蔵に歴史があり知名度がある
  • 機会:地方の蔵元がTV番組で紹介され話題になっている

というクロス分析の場合、「話題にされたトピックを店頭やECサイトでPRして、競合と差別化を図る」というST戦略が考えられます。

WT戦略(弱み×脅威)

WT戦略は、「弱み」と「脅威」を最小限に抑える戦略です。たとえば、

  • 弱み:ECサイトに関わるスタッフが不足している
  • 脅威:競合他社のECサイト出店が増えている

というクロス分析の場合、「ECサイト事業から撤退する」というWT戦略が考えられます。

SWOT分析をうまく活用するためのポイント

SWOT分析はフレームワークに沿うだけで比較的かんたんに分析できますが、漠然と進めてもうまくいきません。成功のポイントは次の4つです。

  1. 分析の目的を明確にする
  2. 分析の前提条件を整理する
  3. 分析の目的にマッチした人選をおこなう
  4. アイデア・課題に優先順位をつける
  5. SWOT分析にも落ち度があることを理解する

ひとつずつ見ていきましょう。

1. 分析の目的を明確にする

SWOT分析を成功させるために最も大切なのは目標を明確にすること。「売上をアップさせたい」という漠然な目標よりも、「客単価を向上させたい」や「リピーターを増やしたい」という具体的な目標が効果的です。目標が明確になったら、社内メンバー内で認識のズレがないかをしっかり確認しましょう。

2. 分析の前提条件を整理する

SWOT分析をはじめる前に、「誰」の「何」のための分析かをしっかり固めましょう。

  • 対象の商品(サービス)は何か?
  • 競合のサービス(会社)はどこか?
  • 対象の年齢層や性別は何か?

前提条件があいまいだと、機会・脅威・強み・弱みの結果が異なります。たとえるなら前提条件があやふやなまま分析する行為は、「地図を持たないで航海をする」のと同じくらい無謀です。どこに向かって操船するかわからなく暗礁に乗り上げてしまうので、前提条件はしっかり明確にしましょう。

3. 分析の目的にマッチした人選をおこなう

SWOT分析をおこなうにあたり、「誰と分析をおこなうか?」はとても大切です。EC事業であれば主に次の人選があります。

  • 商品開発
  • バイヤー(営業)
  • Webディレクター
  • バックヤード

人選に偏りがあると思わしい結果がでません。たとえば「商品開発の担当」に偏っていると、商品の使いやすさや不満などの顧客目線が足りないかもしれません。ユーザーと接点が多い営業担当やコールセンター担当を交えると、より多角的に分析できるようになります。

また、SWOT分析では、自由に思考・アイデアを発言できる雰囲気づくりが大切です。発言力の強いメンバーに意見がひっぱられると、SWOT分析の質が失われてしまいます。誰もが発言しやすい環境を整えるために、発言のルールを事前に共有しておきましょう。

4. アイデア・課題に優先順位をつける

SWOT分析によって生み出されたアイデアや課題を放置してはいけません。生み出されたアイデア・課題に対して緊急性の高いモノ、目標達成に大きな影響を及ぼすモノに優先順位を決めましょう。

実際に実現するには予算や労力をようするものや、超えるべきハードルが高いものもあるでしょう。自社だけではなく、業界や社会に対して与えるインパクトの度合いも重要な指標になります。目先のメリットに限らず中長期的な視点で考えましょう。

5. SWOT分析にも落ち度がある点を理解する

マーケティング戦略においてSWOT分析は重宝されるフレームワークですが、完璧な手法ではなく落ち度もあります。自社の強みと弱みや脅威に向き合い改善点が明確になる一方で、見方を変えると「強み」でもあり「弱み」であったりするケースも多くあります。

できるだけ明確に分析をするためには、前述の前提条件をしっかり定めることが大切ですが、それでもSWOT分析に当てはまりづらいケースもあることを理解しておきましょう。

まとめ

マーケティングでは「情報収集」→「課題発見」→「アイデア考案」→「アイデア実行・修正」のプロセスで進みますが、SWOT分析は「アイデア考案」のフェーズを担います。アイデアが考案された後は、PDCAを回してアイデアの実行と修正をひたすらおこないます。

SWOT分析は、どの企業にも必ず「強み」・「弱み」がある前提のフレームワークです。「強み」「弱み」というのはターゲットユーザーを誰に定めるかによって、強み・弱みは変化するので注意しましょう。「仕事は段取り8割作業2割」という格言がありますが、SWOT分析にもしかり。実施する前にしっかり前提条件を定めましょう。

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